浮気現場は覚悟なく遭遇すると吐き気する
「邪竜か…」
「魔王がいなくなった今になって…どうして?」
レオとヴァルゴは王が先程悩んだのを納得したかのように、少し動揺していた。
俺達は魔王を倒す旅路の途中で邪竜を全て討伐した筈だった。今この世界にいるのは、比較的温厚な竜だけだったはずだ。
邪竜は周囲の生物にただ『死』を与える…
人が当たり前のように呼吸するように、邪竜に近付いた生物が当たり前のように死ぬ。
周囲とは邪竜の呪いや魔力に比例し、巨大な力を持つ竜は半径50メートルに及び死体が転がる程になる。
空間を操る力や耐性が無ければ魔王とは違う意味で厄介な敵になる。
その為、討伐には『死』への耐性を持つ特殊な人間や遠距離からのサポートに特化した人間達が召集される。
-魔力無効化の力を持つレオならばギリギリ行けるが…
本来は自然に発生するわけではなく何らかの介入があり竜から邪竜と変化する。
例えば仲間を殺され自らに呪いを募らせたり、魔王の様な強大な魔力を持つ者に呪いを受けたりなど…
俺達が討伐した邪竜は皆、魔王から呪いを受けた人に危害を加える邪竜だった。
更に邪竜が厄介なのは邪竜は生き物を殺す度に呪いと魔力を増す。時間が経てば立つほど、精鋭部隊でも勝ち目が少なくなっていく。
「呪いと魔力が強くなる前に、奴らを駆逐せねば…」
王は溜息を吐く。
「奴ら?という事は邪竜は複数体なのですか…」
この時俺達の脳内には最悪の事態が想定されていた。本来邪竜は群れる事が無い。
呪いによりお互いを殺し合ってしまうからだ。
「そう…邪竜は複数存在しているようじゃ…」
本来あり得ない事象に王は頭を抱える。
-つまり何か特殊な状況だ…
魔王を倒し平和になった筈の世界で、今まででは予想がつかない事が発生し始めていた。
「何体いるのですか?」
これが一番重要だ。1体でさえ面倒な竜だ…それが複数群れて連携まで取っていたならば、世界を滅ぼしかねない。
俺達でもなんとか出来ない程の有事だと判断されれば隣国や妖精王国とも協力しなければならない…
「数は3体…みなまだ成熟しきっていない小型じゃ。」
-小型であれば『死』の半径は20メートル程だろうか?
「もう一度、国を守る為勇者の力を貸して欲しい。」
王が俺達に頭を下げる。
「まぁ私は気が進まないけど、アルにとってはチャンスじゃない?」
「あぁそうだな!!なんたってドラゴンボールが取れるからな!!」
ヴァルゴとレオは少し楽しそうに言う。
ドラゴンボール…それは精力剤として使われる秘薬だ。材料はもちろんドラゴンの金〇だ!!
沢山集めても願いは叶わない…
だが俺のイン〇はドラゴンボールを使えば治るかもしれない。
-つまり俺の願いは叶えられる…
「ならば邪竜討伐に行くしかないな!」
俺はベガの事が気になりつつも、現在の最重要任務となった邪竜討伐に向かう事にした。
むしろこの案件を解決すれば、俺の聖剣も元通りになる可能性が高い為一石二鳥になり得る…
「ドラゴンボールを使えば、お前のショートダガーも包丁くらいの大きさになるかもしれんな!!がっはっは。」
「ブッ」
その場にいる者は、俺以外は皆吹いた。
バリンッ
バーのマスターは再びグラスを地面に落として割った。
-もうマスター、実はこの職業向いてないでしょ…
邪竜討伐を俺達が引き受けたのを、王は悩みが一つ消えて満足そうな顔になる。
「では今日はワシのおごりじゃあ!!皆の者、思い残しが無いように飲むぞぉぉぉぉい!!」
そしていつものようにテンションの高い王になる。
-思い残し?え、俺ら死ぬかもってことなの?
だが俺は王がどこか無理やりテンションをあげているような違和感を感じた…
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こうして俺達は夜が明けるまで夜のお店で飲み続けた。
早朝、俺は家に帰るとプロキオン王が付けてくれた衛兵たちが見回りをしていた。
俺は家の門を開けようとするが…
「あのすみません…現在、アルタイル様、ベガ様は就寝されていますので…」
門の前で見回りをしている衛兵2人に話しかけられた。
-ん?あれ?
「俺がこの家の主のアルタイルだけれども…」
衛兵は明らかに「おかしいな?」という様相で顔を見合わせた。
-少し嫌な予感がする
俺は急いで門を開けて、ベガのいる寝室に向かう…
寝室の扉を開ける。
そこには窓から満月を眺める人影があった…
「ベガ?」
人影はこちらを向く…月明かりに照らされてその姿が浮かび上がる…
「いや、俺?」
そう…俺の姿をした人間が上半身裸で右手には刀を携えていた。
「帰るのが遅かったじゃないか?勇者アルタイル…」
-あり得ない…
「てめぇ」
俺は再び偽物の俺の姿を見て、今回は最初から殺すつもりで攻撃しようとした。
俺は急いでツクヨミを出して銃弾を撃てるように魔力を込める。
しかし遅かった…
だが相手はニヤリと笑い、左手をグーパーと握ったり離したりしてバイバイと俺をおちょくっているようだった。
「空間を裂け、アマテラス」
そう言って俺の姿をした偽物のアルタイルは空間を切り裂き逃げて行った。
こうして俺は再び婚約者を『俺』の偽物に寝取られている事を知った。
前回とは違い、俺の偽物はアマテラスを使い空間操作能力を使って逃げた。
つまり明らかに宣戦布告をしているようだった。
「一体俺に何の恨みがあるんだよ…」
「どうしたの?アル?」
俺の呟きにベガは目を覚ましたようだった…
上半身裸のベガがベッドから起き上がろうとしていた…
月明かりに照らされたベガの姿は、この世の者とは思えないほど美しかった。
「なんでもないよ…ただ月が綺麗だなって思って…」
窓の外には満月が輝いていた…
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