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マドレーヌ13歳、秋。~雑草対策も進行中~

「王立学院の剣術場が正式に第三部隊(ウチ)のスカウト場になる」


 夕食後の団欒の席でダルドワーズがそう宣言したのは、1ヶ月あった遠征休暇も残り1週間ほどになった頃だった。


 聞けば、剣術指南の合間に学院生から第四騎士団員の乱暴狼藉ぶりを聞き取り調査。出るわ出るわの犯罪行為の数々に第二小隊長カリソンとの共同署名で第三部隊長に提出。第四部隊の長と渡りをつけて貰い、()()()()()()()()()したそうだ。


「部隊長なんて、マディが心を痛めていると言ったら率先して第四部隊に乗り込んで行って“手出し無用”の確約書もぎ取ったよ。今頃は額装して学院のどこに掲げるか思案してんじゃねぇかな?」


「ダダール殿か。少しばかりだが骨折りの礼をしなくてはな」


「お養父様、カリソンさんにもお礼してくださる?」


「無論。まずは第三部隊への差し入れを手配させよう」


「何が良いかしら?皆が喜ぶものならお酒かお菓子か、食べ盛りも多いからお肉もいいかしらね」


 ダルドワーズが帰省のたびに村に連れて来ていたので第三部隊の面々とはすっかり顔馴染みである。というか、第三部隊長のダダールとカリソンはコメルシー村の住人なのでマドレーヌのご近所さんでもある。留守がちな職のため妻子が頼れる人間が側にいて欲しい、というのが移住の決め手だったとか。公私混同、の文字が高速で頭を(よぎ)ったが気にしない。


「他の小隊の連中にも声掛けたらみんなノリノリでさ、王都にいる奴が交代で剣術指南するって決まったよ。…それでも手ェ出す気なら、それが奴らの命日だ」


 第三部隊の青田買い(スカウト)場として正式認定されたにも関わらず、それでも荒らすようなら部隊員総出で抗議する正当な理由となる。抗議が口頭によるものか、手足が出るか、ついでに武器も登場するかは相手次第。


「ダル義兄さま本当にありがとう。せっかくのお休みだったのに、ゆっくり出来なかったでしょう?ごめんね」


 暇を見つけてはあちこち奔走しているのは知っていたが、まさかこれほどとは。ダルドワーズの想像以上の影響力にマドレーヌは感謝すると共に内心ちょっとだけ引いた。


「気にすんな。どうせ部隊長やらカリソンの子供も近いうち入学するんだし、その前にケリつけといた方が安心だろ?それに、これで入団志望者が増加したらめっけもんだ」


 ダダールには12歳の男児が一人、カリソンには10歳の双子の男児がいる。どちらもまだまだヤンチャで、口よりも先に手が出るタイプだ。彼らがもし学院に入学していたら親と学院と二つの部隊を巻き込んで今よりもっと大ごとになっていただろう。容易に想像できてしまうのが恐ろしい。


「やっぱりダル義兄さまに相談して良かった。こんなに早く解決するなんて」


「まだ解決ってほどでもないがな、釘刺し程度だ」


「それでもよ。皆が安全に学院生活を送れるんだもの」


 第四騎士団に脅かされることなく剣の腕を磨き、それぞれが望む将来(みち)に少しでも近づけたなら。ジョニーの姿を思い出し、マドレーヌは義兄にぎゅっと抱きついた。




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