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マドレーヌ13歳、秋。~算術のセンセイ始めました〜

 優しそうに見えて実はスパルタだったスュトラッチ先生や真実優しい同期生のおかげで、マナーや貴族言葉もなんとか板に着いてきた今日この頃である。


「モニカ様、想像してみてください。わたしとモニカ様が街で待ち合わせをしているの。でもわたし、モニカ様に早く会いたくって、モニカ様がいらっしゃる方向に歩いて行くんです。そうしたら、お互いが会えるのはどこになりますか?」


「わたくしとマドレーヌ様が――ッ!そうですわね、このあたり…ああ!これはそういう意味の算術なのですね」


 各教師からも及第点を貰えたので、せめてもの恩返しに、とモニカを始め算術の苦手な同期生に補習を請け負った。そうしたら日を追うごとに人数が増加。どうせ放課後は図書館で時間を潰すしか予定のないマドレーヌだ。ランチ後、乗合馬車が出発するまでの小一時間ほど食堂の片隅を借りて簡単な勉強会をする許可を得たのだった。


「ここは少し面倒ですが2つの要素に分けて考えてみましょうか。そうすると…。そうです、はい。解けましたね」


 モニカが参加するなら当然ジョンも居残りだ。「教えることは私の勉強にもなりますから」の有難い言葉に、教師役2人体制で勉強会を行っている。

 

「わたくし今日の算術の授業で先生にお褒めいただきましたわ」


「わたしもです。いちど解けると面白いものですね」


 入学前まで接点のなかった学院生同士も例の『マ会』繋がりですっかり打ち解けている。身分や生まれの別なく笑い合うその様子を見た王立学院の職員らの間で今年の新入生は仲が良いと話題になっていた。


「メッセン様はお困りの問題はありませんか?」


「ほわあっ?!だいっ、だいじょうぶですぅッ」


「そうですか。なにかあったら気軽にお声がけくださいね」


「あ!ありがとうございます」


 モニカと絵画の授業で親しくなったというカタリナ・メッセンは一つ歳上のご令嬢。素朴な人柄でマドレーヌは勝手に親近感を抱いていた。社交は苦手というけれどたくさんのご令嬢と親しげで、あちこちの家にお呼ばれしている。さすがは生まれついての貴族だ。お誘い一つなければ無難に熟せる自信もないマドレーヌは素直に感心している。


「カタリナ様、今のシーンはいかが?」


「ばっちりです」


 マドレーヌが居なくなった隙をみてモニカがカタリナに小声で尋ねると、サムズアップとともに小声だが力強い答えが返ってくる。ひそひそと何事か企む2人の姿を、ジョンだけは呆れた眼差しで眺めていた。


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