あなたに出会うために世界を滅ぼしました。異世界転生の勇者が来る前のお話
「あなたは……女神様? すごくきれいな人だ」
「私の髪の色……赤色だよ?」
「炎のように煌びやかで、長い髪。思わず吸い込まれてしまいそうだ」
私はあなたを待っていました
この壊れた世界で。
王様が住んでいた王城も
聖杯があった神殿も
私が住んでいた町も
一緒に遊んだ友達も
家族も
すべて壊れた。
でもそれでいいんです。
あなたに出会えるのであれば。
希望に満ちた笑顔を浮かべながら
目の前に現れたあなたを迎え入れた。
◆◆◆◆◆◆◆
―――数日前―――
私のお運命の人はどこにいるの?
「「ふふふ。きっとアンにもいつか運命の人に会えるわよ」」
お母さん……嘘つかないでよ。
ぜんぜん縁談の話、ましてやお食事の誘いすらない。
私、来年で21歳になるのよ。
学校を卒業して、15歳の成人式を終えてはや5年。
わたしの友人だった人たちは全員結婚していた。
このままじゃ婚期を逃して一生独身で過ごすことになるんだわ。
あぁ、どうして私の髪はおばあちゃんににて赤毛なのかしら……
――占い――
「え? あなたの運命の人を占ってほしい?」
「はい、お願いします! あなたは世界一の占い師と聞いております。」
「わかりました。お題は全財産で。」
「はい。これが私が今まで貯めたお金です」
「あなたの覚悟、伝わりました。」
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目の前の女性は謎の術式を始める
「あなたの覚悟がマナとなり未来を見通す……でました。あなたの運命の人は」
「わたしの運命の人は?」
「この世界にはいません」
「え?」
「あなたに運命の人はこの世界にはいません」
「ずっと独身なの? 全財産を失った上に結婚できないの?」
「落ち着いてください。この世界にはいないとだけお伝えしておきます」
「つまり他の世界があると?」
「詳しくは秘密の蔵書を見てください」
「まって、どういうこと?」
「占いはここまでです。私が見えるのはそこまで。それ以上はわからないわ」
「わっかったわ……ありがとう」
――――王立図書館にて――――――
「なんとかこの図書館の秘蔵室に入り込むことができたわ。あれ? この密書……なんか書いてある」
『世界の理を守る石。これがある限り世界は平穏を取り戻すことができたのだ。
この石を盗む悪しきものあれば、その報いとして世界は壊れるだろう
安心してほしい。その悪しき石手に入れたものを滅ぼすため、
一人の勇者が別世界より現れる。』
一人の勇者が世界に現れる?
―――――秘密の碑石にて――――――
碑石の場所ね。
この石を取り外せば……
!!!
なにこれ!!!
◆◆◆◆◆◆◆
終わった世界にて
「わたしはあなたを待っていました」
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