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公国の歌姫  作者: 南雲司
8/21

手打ち

ネタバレぎみですが、戦闘回ではありません

[やるなら一気に]

「虎治!」

 大きな影が差したかと思うと、竜種が虎治を襲った。

 しかし、あぎとを閉じる寸前、

 虎治はスルリとロールを打って抜け出し、

 ピタリと竜の背後に付いた。

 風竜だった。


「あれ?あー、この天馬ボルト積んでなかったんだ」

 ボルト処か銃器の類いは取り外してある。

 民間機なのだから。

 諦めきれないようになおも発射レバーをカチカチしている虎治。

「この馬鹿風竜が!あるじの夫を食い殺す気か!」

 サスケラの怒号に萎縮する風竜。


 彼としたら臨時の上司であるプヨ=コアの命令に

 従っただけの積もりなのだ。

 プヨは、人と家畜は襲うなと言った。

 どちらも地ベタを這いずるものだ、

 空を飛ぶならどちらでもない。

 なので襲った。


 何故怒られているか分からずに風竜は、

 ただただ萎縮している。

「大体あの機動はなんだ」

 筋が逸れていく。

「大方、最初私を狙って途中(あるじ)と気付いたのだろうが、途中で変針するから勢いがなくなる。やるなら一気にいけ」

「クァー」

 これは納得したようだ。


「俺、死んじゃうじゃん」


[迷路]

 風竜の偵察で侵攻があるのは明日の午前中だろうと予測された。

 構築された夜営地を風竜に襲わせれば話しは早いのだか、

 それでは人族全体を敵に回しかねない。


 プヨは掩体の構築をいそがせる。

 先程マスター虎治から人形二個中隊の召喚許可を貰えたのは

 僥倖ぎょうこうだった。

 歪なコア様では二個小隊の許可も貰えたか分からない。


 構築はみるみる進み、夜が更け東の空が白む頃には

 大まかな迷路と言って良い陣が完成していた。

 後は要所に人形を配し遅滞させ、風竜のブレスで残滅する。


[資質]

「君も分からん奴だな」

 試験官に呼ばれた応援の文官は、それなりの地位なのだろうか。

 やや横柄な口調は、それとも痺れが切れ掛けているのか。

「今日で最後なのです。お願いします、受けさせてください」

「最後だから、合格してない者にチャンスを回すと、言っておろう。貴君は筆記一位で合格しているではないか」

 受けさせろとごねているのは、魔導科の合格を決めたトムオスであった。


「いつまでも場所を塞がれては叶わないな。余りしつこいと合格取り消しになるかもしれないよ」

 来たばかりではあるが状況を飲み込んだグル師が口を挟む。

「本望です」

 顔が強ばっている。

「ほぉ、理由を聴こうか」

 グル師にしても見込みの有りそうな青年を放追するのは、本意ではない。

「一番で受かると決めました。これを起動出来なければ良くて二番です」


 なんと、わがままな。

 しかし、我が儘のために合格を不意にする事も辞さずと言うのも、魔導師らしい資質ではある。

「受けさせてやりなさい」

 失敗すれば恥じて帰郷するのだろう。


 だが良い、来年がある。


[決断]

「なんだこれは」中隊長は呻く。

 ダンジョンの有るとされるポイントの周囲を

 数メートルの高さの塀が丸く囲っていたからである。

 しかも大きい、直径で二百メートル程か。


「あちらに切れ目があります」

 行ってみると二メートル程の幅で開いており

 直線の通路に為っている。

 最奥には、どう視ても銃器を指向しているゴーレムが二体。

「中尉!これを」

 兵が何かが書かれたプレートを示した。


[此処から先は当ダンジョンの最重要施設です。許可なく侵入を試みる者は射殺されます。尚、周辺一帯も当ダンジョンの管理領域です。通り抜けは自由ですが資材、土壌、その他の持ち出しは禁止します]


「なんだと?」

 これは知性があり管理能力があると

 ダンジョンマスターが宣言したのと同じだ。

 キーナンが認知すれば一つの国家と見なされる事になる。

 では、あの銃器はキーナンの援助で手にいれたのか?

 此処を陥として、大丈夫なのか?


 中尉は決断した。


[コンタクト]

「頼もう!」

 前時代的な呼び掛けに成ってしまったのは、

 緊張の所以であろうか、中尉は手の汗をズボンで拭う。

「ダンジョンマスター殿にお目通り願いたい!」

 ややもあって、いらえがあった。


『そこでお待ちください、代理の者が伺います』

「否、国の遣いとして、御目文字おめもじしたい」

『では、我があるじの安全を担保する為に、そちらの武器弾薬を預かる事になるが、宜しいか』


 中尉は[代理の者]で、手を打つ事にした。

 これは手強い、交渉に慣れている。

 相応に長い期間を、イェードゥ、或いはキーナンとの

 交渉に費やしてきたのではないか。

 我が国の情報インテリジェンスの粗雑さが恨めしい。


[発動]

 カーシャは感動していた。

 トムオスは許可された三回の内の二回を失敗し、

 魔力欠乏症でフラフラに成りながら、

 最後の試技て術式を発光させたのだ。

 ありやなしやの光度ではあったが、

 確かに起動したと見なされた。


「おめでとう、これで五ポイントアマーリ君を抜いて君がトップだ」

 祝福したのはグル師ではなく、試技を拒んでいた試験官だった。

 うっすら眼が潤んでいるところを見ると、彼も感動したのだろう。


 あぁ、彼は自分を信じたのだ。

 だから式は起動した。

 ではアタシは何を信じる。


 カーシャの番になり、術式はこれ迄になく光った。

 現れた光球は、素晴らしい速度で、的を粉砕し

 後ろの土塁を深く抉って消えた。


「今のでトップ変わってませんよね?」

 トムオスは泣きそうだった。


たぶん省略する事になるんで書いときます。

カーシャは二ポイント足りずに二位です。

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