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公国の歌姫  作者: 南雲司
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エースを狙え!

コーチ!

[プヨとドロシーの会話(実は一秒以内)]

『プヨ、外からの襲撃の気配はありますか』

『定かでは有りませんが、こちら方面へ移動中の所属不明の武装集団を確認しております』


『検索網の活用状況は如何程いかほど

『極めて僅少、現在、[歪なコア]へ神樹様へ対しこちら方面への、検索ライン増加リクエストを依頼している処です』


『最悪な事態を想定しての対応を願います』

『それなら風竜を一頭、隠蔽付で召喚願います』

『了解、ダンジョン入り口付近に出現させます、退避宜しいか』

『問題有りません』


[アマーリ]

 驚いた事に、発動に成功した者が三人、

 起動はしたが発動までは行かなかった者が五人も出た。

 うち一人は基本問題を二つも落とした魔導師志望の者で、

 難問を二つ解いている事からうっかりミスで

 落としたのだろうと思われた。


 カーシャは起動すら出来なかった。

 気落ちからその後の得意魔術の試験でもミスを連続で冒し

 明らかに五十位以内には入っていなかった。


 帰り間際、合格確定の者の受験番号が張り出された。

 筆記の上位五名、実技の八名であるが、

 一人両方で合格した者がいるので合計は十二名である。


「君も寄宿舎かい」

 カーシャに話し掛けてきた者がいた。

 筆記と実技両方で合格した青年だった。

「あ、おれアマーリ、アマーリ・チムタカ」

 カーシャが口を開く前に自己紹介をする。

 中々にせっかちな性格の様だ。


「カーシャ」

 少し付き合って気をはらすのも良いかもしれない。

 カーシャはそう考えた。


[翻訳]

「悪いな君達の天馬はまだ調整中なんだ、明日…明後日あさってには仕上がってるからその時来てくれ」

 虎治とサスケラは眼を剥く。

 そう流暢に話したのが森人だったからである。

 森人がイバーラク語を片言以外で話すのを聴いた事が無い。


「ああ、言葉か、これさ」

 胸元から細鎖に繋がれたペンダントを取り出す。

 魔石が填まっており、淡く光っていた。

「翻訳魔法か!」

 ニヤリと笑って親指を立てる森人。

 仕草までイバーラク風に翻訳されているのだろうか。


[多すぎ]

 プヨは召喚された風竜にリンクを繋げると周辺の偵察を指示した。

 人や家畜を見付けても、

「襲うなよ」

「クギャー」

 風竜は、分かったのか分からなかったのか、

 そう返事して飛び立った。

 隠蔽が機能して直ぐに空に溶け込み見えなくなった。


『ヴン』

 幻聴ではあるのだが、やけにリアルな音がした。

 視遣るとぶっとい検索ラインの束が土塁の上で揺れている。

 神樹の支援だろう。

 だがしかし…。


「多すぎ」

 プヨは呟いた。


[不調]

 翌日、翌々日の試験でもカーシャは起動させられなかった。

 やばい、焦りが高じ、得意魔術も散々だ。

 明日で最終、どうしよう。


 もし、カーシャが魔導科なら、とグル師は思う。

 魔導科、魔術科、共にリザーブがある。

 魔導科は筆記の上位十名、魔術科は実技の上位十名が

 合格確定となる。

 各科最低限の人数を担保する為の措置である。


 カーシャは筆記で好成績を残した分、

 多少実技で心許ない成績であったとしても、

 魔導科なら悠々合格圏内にいた。


 魔術科だと、シャオの術式を起動するだけでは足りず、

 発動まで持っていかなければならない。

 尤も、発動させれば他の成績がどうあろうと

 無条件で合格ではある。


[中尉]

 中尉は地図を視る。

 あと半日程で到達できそうな事を確認する。

 しかし、時間が悪い。

 夕暮れ時に疲弊したまま戦闘に入る可能性がある。

 部隊に停止を命じた。


「ここで夜営するぞ」

 何しろ、怪しげな伝聞ばかりで、

 何が敵となるのかすら分からないのだ。

 万全の態勢で向かいたい。


[デュプリケイトコア]

 鞍上にあってサスケラは眷族の気配を感じていた。

「虎治、風竜が出ている様だ」

「えー、ボルト積んでないよ」

「いや、うちの眷族だ」

「へっ?城から出張?」

「恐らく、小さなダンジョンのデュプリケイトが呼び出したのだろう」

「なんでまた…」

「分からんが、なにやらトラブルが発生したのかもな」

「…訊いてみよう」


 虎治は小さなダンジョンのデュプリケイトコアにリンクを繋げる試みを始めた。

 すぐに繋がった。

『はい、こちらプヨ』

「誰?」


[私を信じろ]

「老師」

 カーシャはドワーフが自分の師匠を呼ぶ時の呼称を使った。

「どうしたね」

 夕げの席である。

 余り重たい話題は勘弁して貰いたいが、

 どうもそうも言ってられない声音である。


「明日の試験で」

 此処で、言葉を切る。

 グル師は先を促すように見詰めている。

「明日の試験で失敗したら、内弟子を解除してくれ」

 グル師の顔が見る間に真っ赤になる。


「見損なうな、小娘!私はシャオ・ハイマオを育てたグルだ!」

 シャオからの書簡はグルを力付けてくれていた。

 先生がいなかったら私は此処(空軍技官の地位)に居なかった、

 そう書いてくれていたのだ。

 凡そ社交辞令の不得手のシャオが言うのだ。

 本心からなのだろう。


 これに依りグル師の伯楽としてのプライドは取り戻せた。


「失敗続きで自分を信じられなくなっているのは、分かる。ならば私を信じろ!お前に才能があると見込んだ私を信じろ!シャオを育てた私を信じろ!」


 実の処、グルは自分がシャオを育てた等と

 毛ほども信じてはいない。

 シャオ程の天才なら何処にいても勝手に育って、

 一流の魔術師になっただろう。


 しかし、いま一つの才能が潰れようとしている。

 それを防ぐ為ならどんな嘘でもく。

 教育者として間違っているかも知れないが、

 それが魔導師としてのグルだ。


はい、恒例のパクり入りました。

引用元は言わずと知れた、日本の誇るテニス漫画。

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