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公国の歌姫  作者: 南雲司
13/21

走る歌姫

次第に核心に近付けばいいなあ

[解体]

 結節点=土塁はかなり優秀な魔素保全機能を持っている。プヨは木目シャオに指摘されてそれに気付いた。

「此れを利用して、地下にパイプを通す」

 木目シャオの計画はこうだ。土塁の直径そのままに繊維をパイプ状に走らせ、地下へ地下へと推し進める。水脈を越え、粘土層を越え、鉄鉱石の鉱床を越え、地脈の魔素の染み出る処まで到達させる。


 それが第一段階だ。


「しかし、魔素と材料が足りません」

「魔素は検索ライン経由で森から送る。材料はあれを使う」

 シャオが指差したのは岩山だった。

「含有量は微小、しかしチタンとニッケル若干のレアメタルを抽出出来る」

 それを触媒に使って足りない元素を出現させる。相当に優秀なプロシージャのプヨでさえ手に余る技だ。

「必要になる魔素の量で眩暈がしそうです」

 その量の魔素を保管して置けば百年は安泰ではないのか。


「魔素吸収期は千年に及ぶ、百年では足りない」

 プヨは更に二個中隊の人形を呼び出すと岩山の解体を命じた。


[ダンジョン]

 グル師はヘイアン師への面会願いを出した。公館の受付は一月ひとつき程掛かるだろうと言った。成る程、小国とは言え筆頭ともなるとそれだけ事案を抱えているのだろう。それで構わぬと言ってその場を辞した。


 翌日ヘイアン師が訪ねてきた。

「宜しいのですか、お忙しいと訊きましたが」

「魔導大学は最優先事案です、お気になさらずに」

 すごく気にするぞ。

 グル師は新領のダンジョンについて掻い摘まんで話した。


「なんと、あのダンジョンが生きておりましたか」

「すると、キーナンは小さなダンジョンについて知らなかったと?」

「はい、場所も定かでは有りませんでしたし、優先すべき事は無数で」

「では、公表しても差し支えは?」

「それはお待ちください、持ち帰って検討しなければなりません」


 交易の件があるので、決まったら教えて欲しいと、グル師。

 ヘイアン師は快諾して、去った。


[亡命]

 ウーシャラーク新領から八方に早馬が出た。この事件の経緯を述べ、あくまでも理不尽な命令を取り下げて貰う為の自衛的な行動であると、周辺諸外国にたいしての宣伝である。勿論ウーシャラーク本国にも同様な書簡は送ってある。

 この処置は兵達の免罪符とする意味が強い。どの道五人の士官はウーシャラークでは大罪人となる。その為に中尉をダンジョンに送った。ダンジョンか運が良ければキーナンで匿って貰えるかも知れない。駄目なら複雑極まりない国境線を掻い潜ってイバーラクにでも亡命しよう。衆議しゅぎはそう一致した。


[はしるひめギミ]

 中尉の一行は夜間から早朝に掛けて移動し日中は隠れて過ごした。途中大勢でいる必要も無くなったと判断し、一個分隊だけを残し後は帰した。ダンジョンに程近い荒野に到達したからである。


 成る程、とドロシーは思った。

 彼等は保護を求める積もりだ。

 恐らく本国からの攻略命令に逆らったのだろう。

 さて、どうするべきか。

 一人で決める分けにもいかない。

 衆議を纏めねば。


 タタタタと走る音がした。

 見遣ると案の定、アリスお嬢様だ。

 年から言ってもう少しおしとやかに成っても良さそうなのだが、

 同年代の女の子がいないのが行けないのか、

 相変わらず走り回る。


 いや、ランニングせよと、言ったのは私だが

 そう言う物とは少し違う。

 さて、どうしたものか。

 ドロシーの悩みは尽きない。


[休息]

 書類の整理も一段落つき、カーシャ達は休息していた。

「二人が来てくれて助かったよ。新学期に間に合うか心配してたんだ」

「随分と作業が有るんだね、事務とはもっと楽なのかと思ってたよ」

 トムオスはこう言った仕事は始めてのことだった。

「取っ掛かりだからな、あらゆる物を一からでっち上げないとなんないのさ」

 知った様な事を言ってはいるが、アマーリにした処で手際を見る限り、たいした経験はない。カーシャはそれが可笑しくて笑う。キョトンとする二人。

 三日後には入学式だ。


[キーナン公]

 ヘイアン師から新領ダンジョンの報告があったと思えば、ウーシャラーク新領から早馬が来て、そのダンジョン攻略の理不尽な命令が出た為、貴国との友宜を蔑ろにする輩の策謀ならんと、反乱を起こした、とあった。

 キーナンの公館は混乱の極みとなった。公が立ち上がって言った。

「早馬のふみが、何処まで本当かは知らず、だが反乱が有ったのは間違いなかろう。そしてそれが我が領内のダンジョンが因と言うなら抗議の書き付けぐらいは送るべきだろう」

「公よ、討伐の兵を通せと要求が来ると思われますが如何様いかように」

「通すわけにはいかん。送るとすれば最低でも二個大隊、しかし反徒は直ぐに降伏するだろう」

 ここで言葉を切る。

「三個大隊がウーシャラーク新領に駐屯する事に為る」

「それは約定違反」

「通せば、その違反を認める事に為ると言っておる」

「御意に」

 公は右筆ゆうひつを呼んだ。


 ほぼ人目も無くなった事で、日中の移動に切り替えた中尉の分隊はこの日の夕方近くにダンジョンに到達した。


スマホだと、候補に出てこない漢字ばかりで、まじ切れそうになります。

[掻い潜る]はでるのに[掻い摘まむ]はこちょこちょ弄らないと出ない。まあ、これは出るからまだ良いんですけどね。

泣く泣くカナ表記にした物で辞書作れますよ。ほんと

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