表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四角い空を見上げて  作者: くまのびと
「四角い空」から見る夢と現実と、過去と今。お伽噺と「その先」について。
1/18

1話 月の光が見下ろす物語

疲れ果てた、よれよれの背中。

草臥れた服装に、不釣り合いではない猫背。


見慣れた「日常」

ありふれた「風景」

叶わない「願望」に届かない「未来」


上から下までブランド仕立ての闊歩。

溢れる自信。

或いは隠せない品格。


それも又、見慣れた「日常」

ありふれた「風景」

恐らくは叶ったであろう「願望」

既に届いているのだろう。

或いは少なくとも「手には納めた」であろう「未来」


「夢見る」表情。


可能性を信じて疑わない無垢。

戸惑いと、明るい未来を行き来する「矛盾」

せわしなく動く「未来」


あらゆる「明るい」「暗い」「不透明」が不意に溢れだした瞬間。


呆然と見送るしかない「日常」をただただやり過ごす。

「そう悪くはない」「こんなもんだろう」

鏡の前で苦笑いを噛み潰す。

「現実は見せられる物」それ以外には考えられない。


今辿り着いた道の途中が、たとえその道のりの終着点だったとしても、それはそれで、そうは悪くはないと思える「今」

下を見る事はあっても、思う螺旋は横と縦に伸びる事しか考えていない。


いつしか、横を描く平行線を維持する事が理想だと気が付きながら、朝のシャワーとコーヒーでそれを振り払う。

「見える現実」が不意に崩れなければ、維持できればそれでいい。


見切り品で一日を過ごしても、思い描く理想に邁進している。

或いは、そう信じて疑わない毎日。

未来はこの手に掴む為にある。

努力は裏切らない。

頭の片隅に浮かぶ、微かな不安を無理矢理覆い隠し、遮二無二努力する。

今は「見たい現実」が全てでいい。


僕は眠れなくて、窓に映る月を見上げて、目を閉じた。


光の残像に向かって手を伸ばす。


空を掴んだのか、手に納めたのか、欠片を掴んだのかが不意に気になって、僕はカーテンを開けた。


窓越しの「四角い空」は、やっぱり四角い空だった。

窓に当たって、少し屈折した月の光は薄暗い部屋に優しく忍び込み、ベッドに座り込んだまま動けない僕を射ぬく様に、包み込む様に、又は、ただただ見下すかの様に辺りに散りばめられていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ