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誰かと誰かの物語

「恋人ができたって本当なのか」


「ええ、本当よ」

「ようやくお前を満たすことのできるやつが現れたってことなんだな」

「どうかな、わからない。でも多分違うと思う」

 少女は自嘲気味に笑った。


「だったらどうして」

「足掻いてみたところで結局私は『誰かに必要とされる私』が必要みたい。全てを投げ出して本当の自分でいるっていうのは無理なのよ」

「そんな……だったらお前は報われないじゃないか!!」

 少年は叫んだ。彼の目の縁には涙が浮かんでいた。それほどまでに少女のことを想っていた。


「報われない、か。確かにそうかもしれないわね」

「……」

「ありがとう。でも私は決めたから。私が皆の求める王子様でなければいけないとしてもそれで誰かの心を救えるならいいかなって。だからあの人と付き合うの。そうすることで少なくともあの人は救われる。本当の自分を見つけられる」

「でもっ、でもっ!」

「多分私がここに来ることはもうないと思う。本当の私を見せることもないわ。だから……」

 少女は言葉に詰まって俯いた。それから少しだけ震えた。まるで決壊寸前の堤防を必死に堰きとめるように。


 しばらくして彼女は顔を上げた。女子にしては短く切られた髪は揺れることがなかった。まるで彼女の決意を表すかのように。


 もうその顔つきに迷いはなかった。

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