第2話 隣の街にて
汽車を乗り隣の街へ行く
商業の街 -クロースタウン-
廃れていく世界で最も商業が盛んな街である
恵まれた環境と地形、そして豊富な人材
朝から晩まで賑わっている街だった
「へぇ…噂通りの賑わいだね、情報収集が捗りそうだ」
わくわくとした表情を浮かべるルシアとは対照的に、アルディアはどうも浮かない顔をしていた。
アルディアは頭に布を深くかぶり顔が見えないように考慮してある、顔がバレればあたりの人たちが騒ぎ出すからというルシアの配慮だった。
「浮かない顔だなぁ…」
「人が多いのは嫌いなんだよ…だって目線が気になるし、話し声多いし」
はいはいとルシアが流せばアルディアは不満そうな表情を浮かべる
街は商人、市民、旅人、観光客らしき人達で賑わっている
物の売り買いが盛んで、その中には情報屋という情報の売り買いを仕事といている人がいるらしい
「今回の目的は情報屋を探すこと、この街のどこかにいるはずなんだけど」
「おいおい…目星もなんもないのに歩き回って探すのかよ…」
「当たり前だ、探して魔王に関することとか聞き出さないとだろ?それに当てずっぽに人間が住む外に出て魔王探しなんて自殺行為だ」
アルディアは深くため息をつく。
元々アルディアは社交的なわけでもないため気が乗らないのは当たり前だろう
しかしそんなことを全く気にしないのがルシアの性格だった
それから数時間
二人は街のあちこちを歩き回ったが、目欲しい情報は見つからず酒屋でうなだれていた
「ここまで情報が一つもないか…どうするよ、アル」
「どーするっつっても…やっぱ終わりにしねぇか…?魔王なんて絶対無理だし」
と、弱音をグチグチはくアルディアとは真逆に次はどうしようかとルシアは考えていた
「…ちょっと外出てくる…ここ酒臭いし」
「まぁ酒屋だからな、あんまり目立つことするなよ」
お互い疲れているのか、お互いがあまり良い雰囲気ではなかった
アルディアは外に行くと酒屋と隣の店の間の裏路地に入り壁に持た、膝を抱えて座る
元はと言えばひとつの小さな勘違いから始まった魔王討伐
小心者のアルディアはどうも前向きになれずにいた
生まれつき非魔法使いであったアルディアは魔法が使えるハンターからは馬鹿にされることが多かった、劣等感が生み出すのは誰でも感じたことがあるだろう、見返したいという強い気持ちだった。勇気をだし幻獣の討伐を受けたがこんな大事になるとは思ってもいなかった
これまで自分を馬鹿にしていた奴らはもう何も言わなくなった
でも勇者と讃えられいろんな人が自分を見てくれることになったが優越感は生まれず、形容しがたい気持ちがここ数日アルディアを飲み込んでいた
身から出た錆
自分が悪い
もう手遅れなんだ
そんな言葉が頭をぐるぐるかき乱し、自分がしたことの落とし前は付けなくてはならない…そう思っても恐怖という言葉が彼を支配し動けなくしてしまう
「勇者さんはっけぇーん!!」
路地の奥から聞こえた大きな声にアルディアの思考は止まった。
立ち上がり奥を見る
アルディアの視線の先には背の高いボサボサの長髪を一つに結び王冠を模した髪飾りをつけている一人の男だった
にたにた笑うその目は確実にアルディアを捉えていた
「誰だ…お前」
「悪いが倒されてくれよ、魔王様のために…」