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手紙  作者: Pー龍
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桜の下で

「おじさん、このバス停で一度休憩にするよ。」

「ふぅ、・・・了解。脚に来るねぇ。陽夏ちゃんは全然平気なの?」


 おじさんのお疲れ写真をしっかりとゲットしました。休憩と聞いて少しだけ元気になった顔と見比べるとこれは面白いんじゃないかな。

 

「おばあちゃんに貰ったよく効く湿布を後で貼ろうかなって思ってるけど。さすがにここじゃ貼れないですよ。」

「俺コールドスプレーなら持って来てるよ。デニムパンツの上からでも少しは冷えて気持ちいいんじゃないかな。掛けてあげようか?」


 おじさんは背中の荷物を降ろしてごそごそとコールドスプレーとやらを取り出しています。おじさんは私の足にそのスプレーを掛けてくれました。なるほど、確かに冷たくて気持ちいいかも。スポーツマン用の便利アイテムだったようです。存在を知りませんでした。これなら変な匂いもしないし使えそう。私に掛けた後で、おじさんは自分の足や腕に入念に掛けてました。私はベンチに座って自分の荷物を漁ります。


「おじさん、おやつ食べる? チョコならあるんだけど。」

「ありがとう。いただくよ。さっきから身体が甘いものを欲してたんだ。」


 ふふふふッ、これでバレンタインチョコ渡しミッションは完遂です。いつかママに褒めてもらいましょう。おまけにホワイトデーの権利も獲得です。

 私もおじさんの横でチョコを食べました。お茶が欲しいな。


「おじさんの荷物の中に私の水筒入ってないかな?」

「ちょっと待って、これかな?」

「うん、そうそれ。」

「はい、どうぞ。今のうちにしっかり水分補給しといてね。」

「おじさんもね。」


 やはり濃いめのお茶とチョコレートは良く合います。

 ここでは長めの休憩を取っておじさんをモデルにした写真をたくさん撮影します。

 休憩後は目的地まで一気に走りました。おじさんもちょっと元気になっていたのでペースが上がっています。残りの距離が少なくなってきていたのも大きかったのかな。


 いまおじさんは川沿いの土手に広げたグランドシートの上で大の字になっています。私はおじさんをモデルにして桜の花を取り込んだ構図を探しているところ。真上から取りたいけどクレーン車どこかに落ちて無いかな? 5mくらいの脚立でも可。

 諦めて少し低い桜の木の下へおじさんを連行。少しだけ斜め上70度くらいから桜越しのおじさんを撮影します。花びらを少しおじさんの顔の上に落としてみます。花とおじさんのギャップが・・・それなりに面白くはあるんじゃないかと。


 この日の撮影旅行でもおじさんとケンカすることはできませんでした。

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