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手紙  作者: Pー龍
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病室?

 その後も洗濯だ戸締りだと、なんだかんだありまして、家を出たのは結局午後3時を少しだけ過ぎていました。

 そんな時間に洗濯するだなんて、いま思えば他にも幾つもおかしなことをしています。


 小学校で遠足の時に使っていたリュック(当然アニメキャラがプリントされてます)にママから頼まれた荷物を突っ込み、預かったお金の入ったサイフを大事に握りしめ、私はバスに乗って病院へと向かいました。

 バスの中、私は大冒険をしている気分でした。始めて乗る病院行きのバス。間違ってはいないはずです。終点が病院なのですから椅子に座って到着を待てばいいだけなんですが、バス停に停まるたび確認していました。あれはいったい何を確認してたんでしょうかね。


 病院に到着して私は重大なことに気付きました。

 “ママの病室どこ?”


 いまならナースステーションで聞けばいいじゃないかと思えますが、何せ12歳の女の子。

 ママが横にいない不安と自分へのやるせなさからボロボロと涙が(こぼ)れ落ちました。さすがに声に出して泣いてはいなかったと思いますが、あまりの姿に大人たちが集まって来て、そのせいでさらに不安は増すばかり。結局10分くらいは泣いていたんじゃないでしょうか。ようやく落ち着いてきた私に大人たちは色々と尋ねてきました。

「お嬢ちゃん、どうしたのかな。」

「・・・・・・」

「お母さんはどこ?」

「・・・びょういん・・・」

「病院って、此処の病院ってことかな? 此処に居るの?」

「・・・うん。」

「ここでお母さん待ってたのかな?」

「・・・ちがうの。」

「トイレに行ってるとか?」

「わかりません。」

「此処に居ればそのうちお母さん迎えに来るんじゃないのかな?」

「? たぶん来ません。」

「んー、どうしたものかなぁ。」


 大人たちが1人ずつ立ち去り、匙を投げようとしていた頃、昨日のカッコいい女医さんが通りかかって私のことを助け出してくれました。

「あらっ、昨日の女の子よね、こんにちは。お腹痛いの治った? そっかぁ。それは重畳。それで、今日はどうしたのかな?」

「ママに会いに来たの。」

「確か、お母さん入院したんだったわよね。お母さんのお見舞いに来たのかしら? 偉いわねぇ。ちょっと待っててね。」

 

 女医さんは事情を知っていたようでした。私の泣きはらした眼からすべてを察してくれた女医さんがナースステーションでママの病室を調べてくれて、万事解決です。女医さんすごいです。私もあんな優しいお医者様になりたいなぁと思った次第です。あの時私のことを助けてくれようとした他の大人の皆様には申し訳ない限りなんですけど。


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