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手紙  作者: Pー龍
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対話

「おじさん、今日の勉強はお休みにしようかと思います。っていうかお休みにします。」

「どうしたの、陽夏ちゃん? 受験日が近づいて来てることで気持ちが乗らないのかな?」

「気持ちは確かに乗らないんだけど、最近おじさんと私ってあんまりお話をしていない気がするんだよね。」

「そうかい?」

「うん。今朝の早朝ランニングも『いい天気だねぇ』『そうですね』『ちょっと風が吹いて来たかな』『寒いですね』こんなことしか話してないよ。」

「覚えてるもんだね。そっか、そうだね。よし。じゃ今日の勉強は無しにして、陽夏ちゃんとお話しようか。陽夏ちゃんはこのおじさんに何か聞きたいことあるかな。」

「うん。――――おじさんの仕事って私知らないんだけど。」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「はい。聞いてませんけど。」

「そうかぁ。てっきりママに聞いて知ってるもんだとばっかり思ってた。俺も言ってなかったんだね。春先にさぁ、陽夏ちゃんが自転車でパンクした時に通りがかった男がいたよね。」

「はい。親切なおじさん、確か石井さん。」

「あの男、石井甫(いしいはじめ)と俺は同業でね、俺も映画を作ったりしています。あの男が陽夏ちゃんに譲った映画のチケットあったでしょ。あのアニメ映画作ったのが俺。」

「はぁ?」

「陽夏ちゃんがあの男に手紙を書いたよね。石井は映画の感想の記された陽夏ちゃんの手紙を俺に見せてくれたんだよ。そのおかげで俺はママが入院していることを知ったんだ。そしていまここにいたりする。だから陽夏ちゃんは俺とママのキューピッドだよね。」

「じゃ、もうすぐ続編が・・・・・・」

「うん。もうだいたい完成してる。」

「最近帰りが遅かったのも?」

「ここ数日追い込み作業が続いてたからね。」

「ママは知ってたの?」

「陽夏ちゃんがチケット持って帰ってきたときから気付いてたみたいだね。」

「何てこった。」

「そんなに落ち込むようなことかな?」

「あー、おじさんは気にしなくてもいいよ。これはママにすっかり騙されていた私の不甲斐なさを嘆いているだけなので。」

「白田さん、むかしから悪戯好きだからねぇ。」

「おじさんもママの悪戯にやられたことあるの?」

「そりゃもう・・・・・・」


 おじさんはママのおかげでこれまで散々大変な目に合ってきたんだそうです。ママの昔の話をしてくれました。おじさんの話してくれたママはすごくかわいくてキュートで、私の知ってるママとは少し違っていたけど、ママのことを話してくれるおじさんはとても幸せそうでした。


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