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手紙  作者: Pー龍
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応援

 最近、おじさんは早く帰ってくるようになりました。仕事がひまになったのかな? 引っ越してきた頃は家に帰ってくるのが夜10時を過ぎていたのに。今ではおばあちゃんと私と3人で7時過ぎには晩御飯を一緒に食べています。夜遅く帰って来ていた頃には私の素行も問題にならなかったんだけど、早く帰ってくるようになってからは私のあられもない風呂上がりの姿をおじさんに目撃されてしまうことも度々だ。おじさんはそんな時あわてて視線をずらそうとするので、それを見て私は『あー、またやっちまった』と気付くことになる。今のところまだトイレでの失敗はしてないと思う。


 今日は学校の先生が来てくれていた。先生は私の英語の勉強を見てくれる。おかげで私は英語が少し好きになりかけている。先生はおじさんとも少し話をしていた。先生は私立の高校も受けてみたらどうなのかと勧めてくれたけど、私には全然そのつもりはない。おじさんと先生の間でそのことについて話があったみたい。ちょっと先生の興奮した声が聞こえてくる。おじさんの声も聞こえてくる。私のせいでケンカするのはやめて欲しい。


 おじさんはいつも笑顔だ。私とおばあちゃんの前ではいつも笑っている。ママの前でもきっと笑っている。でも今日、おじさんが1人でいる時に険しい顔をしているのを見た。晩御飯の用意が出来たから声を掛けようとした時、おじさんは部屋でずいぶんと険しい顔をしていた。

「おじさん、ご飯の準備できたよ。食べよ。」

「あぁ、ありがとう。今日も美味しそうな匂いがしてきてたよ。」

「さっき、先生は何て言ってたの?」

「陽夏ちゃんの今の出来ならもっといい学校へ行けるから狙ってみないかって話さ。」

「私にそのつもりはないって言っといたのに。」

「俺からも陽夏ちゃんのことを説得しろってさ。」

「説得してみる?」

「ママが言ってただろ。陽夏ちゃんが思うようにすればいい。ママもおじさんも陽夏ちゃんのことを応援してる。だから自分が選んだ道を進めばいいんだ。もちろん陽夏ちゃんが私立に行きたいって思うんなら、それを応援するよ。今からだってギリギリなんとかなるだろう。」

「私立へ行くつもりないよ。」

「なら、それでいいよ。」

「おじさん、さっき顔が怖かったけど何考えてたの?」

「――――陽夏ちゃん、俺、ママにプロポーズしてもいいかな?」

 

 どうやらおじさんは真剣な顔をしてそんなことを考えていたようです。私のことではありませんでした。まったく、そんなことはママと2人でどうにでもしやがれ!


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