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手紙  作者: Pー龍
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居候

「陽夏ちゃん、今日からこちらにお世話になるよ。よろしくね。」


 ある日、ママの友達のおじさんが我が家にやって来た。今日からこのおじさんは私やおばあちゃんと一緒に暮らすことになっている。おかげで昨日は、おばあちゃんと私で空き部屋に詰め込まれていた10年分のガラクタを埃まみれになりながら片づけることになった。それはそれで面白かったんだけど、解せぬ。

 ママが私の家庭教師をこのおじさんに頼んだ結果がこうなったということらしいので、私にはこの件について拒否権が無いんだそうです。ママは年頃の娘をなんだと思っているのでしょう。おばあちゃんもおじさんのこと大歓迎して今日の夕食はご馳走なんだそうです。美味しいものが食べられるのは嬉しいけど、私も準備を手伝わないといけません。まったく困ったもんだ。今日からはもうお風呂の後、バスタオル姿で台所をうろうろすることが出来なくなりました。もちろん下着姿でテレビを見ながらリビングでゴロゴロすることもできません。トイレも気を使わないといけません。私にはトイレのドアを開けっ放しにする癖があるのでとても心配です。ママ曰く、このおじさんは人畜無害だからその辺心配しなくてもいいんだそうです。おじさん、もっと積極的に頑張らなきゃダメだよ。ママのことグッと押し倒しちゃってもいいからね。私が許可します。“お前らさぁ、もう早くくっついちゃえよ。”いつかきっと2人に向かって言ってやるんだ。

 おじさんは荷物を片付けると、すっかり引きこもる覚悟をしていた私の部屋にノックをして入って来ました。高校の話をしました。おじさんも私のことを応援してくれるんだそうです。明日から毎朝8時から10時までのスケジュールを押さえられてしまいました。数学だけじゃなく3教科とも見てくれることになりました。英語だけは自信が無いけど、どうにかするっておじさんは言ってました。英語は先生が来てくれるのでどうにかなると思います。早朝走り込みも付き合ってくれるんだそうです。まずい、ピンチです。これで朝サボれなくなりました。おじさんは今日は仕事をお休みにしてきたそうです。私はおじさんが何の仕事をしているのか知りませんが、ママとおじさんが話をしているのを聞く限り、いつも忙しいはずです。私の高校進学のために勉強を見てくれる時間を作るためにおじさんは生活を変えて今ここにいます。私はそのことに感謝して勉強をしないといけません。わかってはいるんです。なので勉強は明日から頑張ろうと思います。

 そんなわけで、今日は3人でママのところへお見舞いに出掛けましょう。


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