表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手紙  作者: Pー龍
3/53

病(やまい)

 あの日ママは車の運転中に、突然頭の痛みを強く感じたようでした。その痛みは次第に増していったようで、耐えられるものではなくなっていきました。横で見ていた私にもその辛さは伝わってきました。


 私たちは家に帰るのを止め、急遽病院へと戻ることとなりました。この時、ママは頭痛薬を処方してもらえればいいやと簡単に思っていた節があります。“夕食をどうしようかしら?” “この後買い物に出掛けるはずだったのに間に合うかしら” “今日は特売の牛ステーキ肉を買ってきて” “キャベツがもう無いのよ” そんなことを話していたような気がします。

 病院ではママの精密検査が行われました。とてもとても長い時間が掛かりました。


「ねぇ陽夏(はるか)、あなたは明日学校があるんだから、もう家に帰ってなさい。お母さんは夕食に間に合わないかもしれないから、これで帰りにコンビニの弁当でも買って、タクシー代5,000円もあれば足りるわよね。」

「ママ痛い? 痛いよね。ママを1人にするのは私、心配なの。だから、一緒に傍にいるよ。」

「ありがとう。でもやっぱり帰った方がいいわ。明日学校もあるんだし。」

「やだ、帰らない。私ママの傍にいるから。」

 どうしてなのでしょうか、頑なに帰宅を拒んだ私でした。

 ママは私の態度に呆れ果て、結局私が意志を通した形となりました。


 精密検査が終わったのは夕方6時頃だったと思います。診察室でも更に1時間ほど待たされました。その間ママは痛みに苦しみました。ようやく感じの悪いおばさんナースに案内され、ママは診察室に入って行きます。30分程して診察室から出てきたママの顔は笑っていましたが、青白く儚げな笑顔だったと思います。

陽夏(はるか)、ママ入院しないといけなくなっちゃったみたいなの。」

「えっ?」

「心配しなくてもいいのよ。検査のために2、3日ちょっと入院するだけだから。」

「検査? さっきやってたんじゃないの?」

「そうよねぇ。私もそう思ったんだけどね、お医者様が言うには、あれよりもっと詳しい検査が必要なんだって。だから、今日は悪いんだけど陽夏(はるか)、1人で家に帰っててくれるかなぁ。」

「・・・うん。」

「じゃ、これね。いまタクシーを呼んでもらってるから。」

 そう言ってママは5万円を私に預けてきました。額が多すぎると言ったのですが、3日間何があるかわからないからとママは言い、私はそれを受け取りました。


「ママ、私明日お見舞いに来るね。何か持って来てほしいものある?」

「そうねぇ、下着とかかしら。あとは歯ブラシセットとお風呂セットかな。お願いできる?」

「うん。わかった。」


 私はこのママから受けた使命をなんとしてでもやり遂げようと心に誓い、独りタクシーに乗って帰宅したのでした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ