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手紙  作者: Pー龍
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筋肉痛の朝

 初めての撮影旅行から帰ってきた私は意気揚々と汗まみれのまま病院へ立ち寄った挙句、ママとおばあちゃんにそれを指摘され、一人さびしく家に帰って入浴することを命じられました。ちなみにデニムパンツの膝の穴は手に提げた荷物で隠しといたので2人にはばれていないはず。たぶん?

 2人の指示におとなしく従った私は家に帰ってお風呂に入りました。お風呂はおばあちゃんがあらかじめ沸かしておいてくれていました。限界まで疲れた身体にとってお風呂は麻薬かもしれません。幸せいっぱいで何度か溺れそうになりました。

 おばあちゃんが病院から帰ってきて、私はお風呂から出て、証拠隠滅(デニムパンツと絆創膏)を図った後、少しだけ横になるつもりが翌日の午前11時。ぐっすり寝てしまいました。


 私が眠っていた間に、おばあちゃんが色々と片づけてくれていたみたいです。バッグの中のものを出そうとしたら、既に干物、郵便物、ゴミ、お弁当箱は回収されていました。おばあちゃんへの弁明を兼ねた説明を終え、残された荷物を片づけます。たくさん寝たはずなんですが、頭はなんだかぼーっとしてるし、身体は全身筋肉痛。ちょっと微熱もあるみたい。これは体力不足が原因に違いない。よし、明日から毎朝走り込みだ。

 もそもそと片付け作業をしていると、おばあちゃんがやってきて湿布を貼ってくれました。


「これ、匂いがきついから今の若い子は嫌がるかもしれないけど、よく効くんだよ。ちょっとだけガマンしな。この辺りでいいかな?」

「うん。ありがとう。」

「どうだい? 自転車旅行は楽しかったかい?」

「うん。みんないい人ばかりだね。会う人会う人、みんな優しい人ばっかだったよ。すごく楽しかった。」

「そうかい。そりゃ良かった。」

「いい写真も何枚か撮れたよ。」

「あとで私にも見せておくれ。」

「うん。わかった。」

「それはそうと、陽夏ちゃん、昨夜はずいぶんとお疲れだったみたいだけど、これに懲りずにまた行くかい?」

「行くよ。そのために、明日からは体力作り始めようかと思うんだ。走り込みをしてみようかな。」

「そうかい。がんばりな。おばあちゃん、陽夏ちゃんのこと応援してるよ。でも車には気をつけるんだよ。もっといい自転車おばあちゃんが買ってあげようか?」

「うん。わかってる。車には気をつけます。自転車は買わなくていいよ。あの自転車まだまだ使えるから。」


 おばあちゃんは絶対、私の膝と肘の絆創膏に気付いてたはずだ。視線が痛かったけど、何も言わずにいてくれました。

 カメラをパソコンに繋いで、写真をピックアップしていたらおばあちゃんの声が聞こえます。お昼ごはんができたみたいです。

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