おばあちゃん
次の日の朝、私が朝ご飯を食べ終わった頃、おばあちゃんが我が家にやって来ました。
おばあちゃんはすごく一杯の荷物を抱えていました。時間を教えてくれれば駅まで迎えに行ったのに。タクシーの運転手さんに手伝ってもらって荷物をたくさん降ろしていました。私も少し手伝います。
おばあちゃんも私を見ていきなり抱きしめてきました。我が家にはそんな伝統があるみたいです。
「おばあちゃん、おはようございます。いらっしゃい。」
「陽夏ちゃん、おはよう。今日まで1人で大変だったでしょ。」
「ううん、そんなに大変じゃなかったよ。たった2日のことだったし楽勝でした。」
「詠子ったら、陽夏ちゃんのこんな大事な時期に入院することになるだなんて、ほんとに間が悪いのよね。」
「しょうがないよ。ママが悪いんじゃないし。それにそんな大事な時期でもないよ。」
「これからは、おばあちゃんがここで一緒に暮らすことになるんだけど陽夏ちゃんはそれで構わないかな?」
「うん。昨日、ママがそう言ってた。私は1人でも全然平気だけど、おばあちゃんが居てくれるとうれしいです。どうかよろしくお願いします。」
「おばあちゃんのこと、受け入れてくれてありがとう。陽夏ちゃん、もう朝ご飯はたべたのかな?」
「さっき、食べました。おばあちゃんも食べますか?」
「私は、さっき駅のコンビニでパン買って、さっきのタクシーの中で頂いて来たよ。だから平気だよ。陽夏ちゃん、ありがとうね。」
「じゃ、この荷物片づける?」
「そうだねぇ、それよりもおばあちゃんは早いところ病院に行ってママの様子を見てこようって思うんだけど、そのあいだ陽夏ちゃんは学校へ行っておいで。この荷物は帰ってきてからゆっくり片付けさせてもらうよ。詠子の部屋にでも入れておいていいかな?」
「おばあちゃん、これからママの所に行くの? それなら私が案内するよ。それと荷物入れるんならママの部屋は2階の奥だよ。運ぼうか?」
「陽夏ちゃんが案内してくれるのはうれしいんだけど、でも学校はいいのかな?」
「平気。私にとっては学校よりもママの方がずっと大事だよ。そんなの当たり前でしょ。」
「そうね、うん。陽夏ちゃんはいい子なのね。こんなにいい子に育ってくれてありがとう。」
おばあちゃんも泣き虫です。でもおばあちゃんに泣きながら抱きつかれるのはちょっと苦手です。
おばあちゃんと私は、おばあちゃんの持ってきた大荷物をママの部屋に運び入れた後、タクシーを呼んで2人で病院へと出掛けました。




