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100話記念SS

※読みにくいので今回サボテンのモノローグは通常に翻訳いたします。


 我輩はサボテンである。名前はまだない。名誉なことに、我らの話がぶっちぎりとのこと。皆様、ありがとう。作者がスライディング五体投地で感謝の気持ちを表現したいと言っていたが、残念ながら鈍臭いのでやめさせた。


 さて、我らサボテンは人間の言葉でいうと意識共同体である。人間のようなはっきりとした個はなく、多少個体差はあれど繋がっている。泣くサボテンがあれば慰め、喜ぶサボテンがあれば皆喜ぶ。それが我らサボテンである。我らが魔物扱いされるのは、愚かな人間が我らを害したため、我らの敵となったからである。


 さて、我らの大好きなロザリンドとルーであるが、我らが初めてロザリンドとルーに出会ったのは、4年前である。

 まだロザリンドとルーは幼く、愛らしかった。我らのトゲでチクチク遊んでいたこともある。あれはまさしく天使であった。そして今も天使である。我らサボテン界のアイドルである。


 幼いロザリンドとルーは、本来労う必要のない使い魔である我らに丁寧にお礼をいった。しかもロザリンドは我らにお揃いのリボンをつけてくれた。ルーは部屋に砂を入れた大きな鉢を持ち込み、日当たりのいい場所に置いて我らが快適に過ごせるよう取り計らってくれた。こんなに我らサボテンに親切な人間はこの世に存在しない。神がサボテンに与えた天使と言えよう。

 サボテン内に瞬く間に話しは広がり、スイに召喚をねだるサボテンまで出る始末だ。


 ちなみに貰ったリボンは皆大事に巣に飾っている。なぜならリボンをつけて外に出たら、燃やされてしまったサボテンが居たからだ。我らの宝を燃やすなど悪魔の所業である。燃やした犯人は我ら100体に囲まれ、泣きながら謝罪したため命は取らなかったがチクチクしてやった。 リボンを燃やされたサボテンは泣きすぎて萎びたためスイに頼みこみ、ロザリンドとルーに会わせた。2人は萎びたサボテンを心配して、優しく世話をしてくれた。2人はまさかリボンのせいで萎びたとは知らぬが、結果として更にサボテンに慕われることとなった。


 城での仕事は忙しく我らも走り回ったが、ロザリンドとルーのおかげで幸せな日々であった。たまに肩凝りを治しにくる大人達に困らされたが、これもロザリンドとルーのためと思えば苦にならぬ。我らは行列ができようとも、懸命に肩凝りを治した。やりすぎて我らのがトゲが無くなり、ツルンツルンのサボテンではない何かになりそうになった事もある。ルーとロザリンドは身を削るな、己を大事にしろと必死に我らを諭した。幼いながら、なんと心優しい人間であろうか!やはり2人は天使である。


 特に記憶に残った人間はあーく…だろうか。彼はデスクワークが苦手だそうで我らによく人生相談をしていた。話を聞き、肩凝りを治すぐらいしかできぬ我らだが、彼は聞き相手が欲しかったのかひとしきり話すと満足した様子だった。


 他には…とうさまだな。ルーとロザリンドの父だ。我らにいかに2人が素晴らしいかを語ってくれた。おやばかとあーくが呟いていたが、確か子供を愛する素晴らしい親に贈られる称号だったと記憶している。2人は親にも愛された素晴らしい人間だということだ。


 他は…おうさまぐらいか。肩凝りが酷かったな。よく愚痴をこぼしていた。少し毛髪が寂しい部分があったので、トゲ針で治してやった。

 その後毛髪に乏しい人間に囲まれた。欲にまみれた人間は恐ろしい。ルーとロザリンドがかばってくれた。やはり2人は神がサボテンと人間の関係改善に使わした天使だとこの日我らは確信した。


 ロザリンドは最近我らのトゲが柔らかいと知り、たまに抱きつくのだが実は我らのトゲはロザリンド達が怪我をせぬよう柔らかくしているだけで本当は鋭いトゲなのだ。

 いきなり来られるといつか怪我をさせるのではないかと恐ろしい。しかし教えると怖がられはしないか…サボテン一同で至急会議の必要がある。これは重要な案件である。ロザリンドにナデナデされぬなど、悲しみで泣きすぎて萎びてしまう。早急に解決策を検討すべきである。


 そして最近進化した我々は、ロザリンドの冒険に付き合ったり、ルーの畑を手伝っている。以前は花が多かった庭は半分が野菜となっている。


 最近の我らのぶーむはコッソリがっつぽーずである。ロザリンドがやっていたのだが、これは相手が知らぬうちに喜ぶ事を成し遂げ、隠れてがっつぽーずをするという崇高なる行為である。自らの行為を誇示せず、なんと慎ましいことか!

 我らは敬愛する天使・ロザリンドを参考に現在様々なコッソリがっつぽーずをしている。


 庭の草取りやゴミ拾いに掃除等、活動は多岐にわたる。

 しかし害虫駆除は虫にうっかり喰われかけたサボテンがおり、以後しないでとルーとロザリンドから泣かれてしまった。我らとてたまには失敗もあるのである。

 しかし、ルーとロザリンドの喜ぶ顔やありがとうの言葉を貰うため、我らは常に努力している。

 いまだに我らが天使の境地には至っておらぬ。コッソリがっつぽーずをするつもりが見つかってしまい、2人にナデナデされて喜び、花だらけになってしまう始末。修業が足りぬ!

 しかし我らはルーとロザリンドに喜ばれると考えるだけで頭に花が咲いてしまう程に2人を大切に想っている。それはきっと悪いことではないであろう。





 さて、今日はニコニコしたロザリンドとルーに呼び出された。


「最近よく頑張ってくれてるから、ご褒美だよ」


「どうかな?(主にユグドラシルさんが)頑張ったんだよー」


「コレハ…」


「スゴイ」


「スバラシイ」


 ユグドラシル殿の隣に、温室ができている。魔法植物である我らに、理想的な環境だ。しかも、砂がしいてある。我らのための部屋だ。


「アリガトウ」


「ウレシイ」


「ダイスキ」


「シアワセ」


 幸せ過ぎて我らは花を満開にして泣いた。泣いて泣いて、泣いた。なんて優しい兄妹なのだ。やはり彼らはサボテンの心に相応しい天使である。


「ちょ!?干からびてない!?花が大量に咲いて干からびるとか何!?悲しいの!?嬉しいの!?」


「あわわわわわ、みず!水ー!!」


 ロザリンドが水の魔法で我らを治してくれた。自らを律しきれぬとは最上位になったとはいえまだまだ未熟。


 ユグドラシル殿は少し我らに嫉妬していた。羨ましいらしい。我らは動いてロザリンドやルーの側に行けるからな!

 しかし我らもユグドラシル殿が羨ましい。ロザリンドはユグドラシル殿の側で読書を好んでいる。ロザリンドのために木陰を作り、喉が渇けば果実を与える。我らにはできぬ尽くし方である。我らはよきらいばると言えよう。




 我はサボテンである。名前をねだってみた。


「ロザリンド、ナマエガホシイ」


「名前?サボさんとか?」


「ウム」


「え?待って!それ試しに言っただけだから!もっとカッコイイ名前考えるから待って…ってはやぁぁぁい!?」



 喜ぶあまり全力疾走をして、つい走りすぎて城まで行ってしまった。後に城にド派手な虹色サボテンが出現したとロザリンドが叱られたらしい。

 もはや城ではロザリンド=サボテンの主という図式が完成しているそうだ。我らの主として認識されているのは誇らしいが、濡れ衣はよくない。ロザリンドは悪くないのだとちゃんと名乗り出たらスイに叱られた。


 人間社会とは難しいものだ。







 我が名はサボ=サン。うむ、いい名前だ。サボテンに古代言語のサン(太陽)を重ねるなど、天才的なネーミングセンスである。まさに無敵の組み合わせである。更にまだ見ぬ至高なるサボテンを彷彿とさせる名前だ。




 我が名はサボ=サン。ロザリンドとルーの友達で、公爵家に住んでいる。

 ちなみにあの後名前をねだるサボテンが続出し、ルーとロザリンドがが困ってしまったのは…ご愛嬌である。










 書いてて何か足らないと思いました。カモン!スパイシーエンジェル!!


「なにそれ!?」


 主人公としてサボテンにツッコミを所望します。


「は?」


 しばらくお待ちください。ロザリンドさんがサボテンの手記を確認しています。


「え?天使?は?スイ!スイー!」


「はーい」


「サボテンが私達を崇めていることについて説明プリーズ」


「…世の中には知らない方がいいこともあるんだよ」


「うぉぉぉい!?中途半端気持ち悪い!」


「正直…」


「うん」


「僕にもよくわかんない。気がついたらああだった」


「なんでこうなった!?」


「まぁ、ルーとロザリンドは優しいからね。普通は使い魔にあんなに気遣いしないんだよ」


「…スイ、正直に言って。面白いから放置してたでしょ」


「てへ」


「スイの確信犯ー!」


「いや、真面目な話、ロザリンドの味方は多い方がいいからさ。サボテンの心まで貰うとかは予想外過ぎたけど」


「あうう…」


「まぁロザリンドだから」


 だから私は普通なのー!!私だからってなんだぁぁ!?という主人公の叫びでしめたいと思います。


イベント参加ありがとうございました。

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