侯爵夫人100話記念SS
ついに、この日が来てしまいましたわ。ミルフィリア=ローレル16歳の夏…
鈍い腹痛と出血。つまり、身体が完璧に女性として成熟した証し。初潮が……。
私はとりあえず、香水で誤魔化すことにいたしました。フェロモンとは匂い!ならば、香水で誤魔化せるはずですわ!
というわけで、香水を使うことに。お気に入りの爽やかなグリーン系を使いました。
「………ついに来てしまったか…」
瞬時にバレましたわ…獣人さんの嗅覚ってどうなってますの!?
それからというもの……
「シーダく」
「またな!」
「シーダ」
「じゃあな!!」
「…………」
「じゃ!!」
逃げ足が速い!話すらもできませんわ!!顔を見るだけですわ!
「ロザリィィ!!」
「ついに来ちゃったか…」
ロザリィは同じ辛さを味わった同志ですわ!私の話を聞いて、優しく慰めてくれました。
「ディルクはあそこまであからさまじゃなかったよ…でもハグもぎゅーもちゅーもできないないて…」
「わかりますわ…!シーダ君が足りないぃ…!」
対処法はあるそうですが、シーダ君が落ち着かないと駄目らしいです。待つしかないのですね。
それからロザリィに頼まれたとエルンスト様が魔具をくれました。
「これは?」
「鼻栓だ」
両鼻に詰め物をするシーダ君…想像してみました。
「すいません、もう少しビジュアルを………」
申し訳ありませんが返却いたしました。両鼻に詰め物をしたシーダ君は見たくないです。
あれから1ヶ月。
シーダ君が足りません。
いつになったら落ち着きますの?相変わらず私を見つけたら逃亡しますわよ?
私が限界でした。ついにロザリィにお願いして、ロザリィのおうちにシーダ君を呼び出していただきました。
「シーダく…」
しかし、私を見るとすぐ逃げるシーダ君。
「またな!」
「うわあああああああん!!」
色々限界だった私は、子供みたいに泣きじゃくってしまいました。
「!?ミルフィリア!?」
シーダ君が止まりましたわ!
「うっ…ひっく…酷いですわ…わたしはシーダ君が好きなのに逃げてばっかりで…」
「うっ!」
「シーダ君なんか…シーダ君なんか…」
それでも好きですわ!嘘でも嫌いと言えませんわ!めそめそ泣く私に、シーダ君は逃げません。
「……わるかった……ぐうっ…」
私を震えながらも抱きしめてくれたシーダ君。やっぱりシーダ君は優しいですわ。久しぶりのシーダ君にどきどきします。
「シーダ君…ごめんなさい!」
「!?」
私は拘束する魔具を発動してシーダ君の自由を奪いました。大の字でベッドに拘束されるシーダ君。
「ふっふっふ…かかったね、シーダ君」
「ロザリンド!?この魔具はお前の差し金か!」
「私の大事なミルフィを泣かすのは許さん!ミルフィ!やっておしまい!」
「はい!」
ロザリィに教わった通りに、先ずシーダ君の上半身の衣服をくつろげました。しなやかな筋肉は弾力があって心地よいですわ。触れながらゆっくりと魔力を流し込みます。
「ぐっ…ふぁ…あん…」
な、なんだかシーダ君が色っぽい…い、いやいや、雑念はダメですわ!イメージは私の魔力と混ぜ合わせる感じ…集中しなくては!
「ん…」
「ふ…」
シーダ君に口づけをしたら、口内に舌が…!いやいや、体液を混ぜると魔力が混ざりやすくなるからしなきゃいけなかったのですが…これは………!
「んん!?ふうっ…んー!」
き、気持ちいい!集中できないぃ!!わ、私ったら…はしたない…
「はぁ…シーダくぅん…」
くったりとシーダ君にもたれたら、シーダ君はうっとりとしていました。
「ミルフィ…すき……」
「……………………え?」
今、今なんと!?
「みるふぃりあ…きれいでかわいい…すき………もっと………もっと………ほしい……」
トロンとしたシーダ君。色気が…!もっとは口づけですの?触れるとまた舌が…!ああ、でも魔力が混ざっていきますわ……
「ん……みるふぃ……いい匂い………」
うわあああああん!変な気持ちになるからやめていただきたいですわ!なんでこんなに色気があって可愛いんですの!?しかも尻尾がさりげなく私のお尻を撫でてますわ!にゃああああ!!
色々な妨害により最初は集中できなかったですが、だいぶ慣れてきましたわ!魔力も混ざってきましたが……………か、下半身が………なにやら滞ってまして上手く混ざりません。
ちらりと見たら、その………ええと…………興奮してらっしゃるようですわね?
「ミルフィ、最終試練だよ!ごにょごにょ」
「え、ええええええ!?」
その、シーダ君のシーダを……!?そそそそんな破廉恥ですわ!
「じゃ、私は出てるから、困ったりなんかあったら呼んでね」
ロザリィは出ていってしまいました。
「みるふぃ…苦しい……」
「シーダ君…」
そうですわ…シーダ君は辛いのですわ…た、助けて差し上げなくては!中途半端はよくないですわ!
結局、私はロザリィに言われた通りシーダ君のシーダ君をその…せせせ性的に慰め、スムーズに魔力を全身に流せるようになりました。ロザリィの言う通り、一回鎮まればスムーズにいきましたわ。
しかし、正気になったシーダ君が泣きました。辱しめてすいません。
「ミルフィ…すまない!お前にああああんな…!あんなことまでさせて…!!」
いや、私が無理矢理やったのですから、シーダ君はむしろ被害者なのではないでしょうか。
「俺は最低だ!夢でミルフィを汚すだけでなく現実でまで……!」
「………夢で?」
首をかしげると、シーダ君が真っ赤になりました。
「あー、ミルフィリアさん…そこは男の生理だから……ええと、シーダ君にお話があります」
いつの間にかいらしていたディルク様が、シーダ君を連れていってしまいました。
「ミルフィ、頑張ったね!」
「ロザリィ!」
ロザリィが言うには、シーダ君はその…えっちな事を我慢しすぎて魔力暴走手前だったようなのです。定期的に解消の必要があるのでディルク様に教わっているのだそうです。
戻ってきたシーダ君は真っ赤になってました。
「去勢したい…」
「きょせ……ディルク様は何を話したんですか!?」
よく見たらシーダ君の目がうつろですわ!!
「自分の経験と未来予想図を少し……」
「ディルクの二の舞いになりたくなかったら、覚悟を決めなよ。これ以上ミルフィを泣かせたら、私がミルフィを拐って地の果てまで逃げますからね!」
「まぁ、楽しそうですわ」
「「!!?」」
あら?ディルク様とシーダ君が固まってしまいましたわ。
「…私は本気です。ね、ミルフィ」
「?はい??」
「わ、わかった!ミルフィは泣かさない!そのためならなんでもする!!」
「よし」
「シーダ君…頼んだよ。ロザリンドが遠くに行くなんて耐えられない……」
ロザリィはそのあと落ち込んだディルク様を必死で慰めておりました。
それからというもの…
「ん………」
「ふ………」
シーダ君と魔力交換をしてからのデートとなったのですが……
「ミルフィ…最近その…色気が増してないか?」
「え?」
「無意識か…いや、俺にやましい気持ちがあるからか…!」
「…あの」
「ん?」
シーダ君を呼んだら、ちゃんと私を見てくれるのが嬉しいですわ。
「…わ、私がシーダ君のその…性的な対象として魅力的だと言われるのは、嬉しいですわ。色気が増したとシーダ君が感じたのは…その…わ、私が…この続きを期待しているからかも…シーダ君にならその………えっちな事もされたいです…」
い、言ってしまいましたわ!恥ずかしい!はしたない!でもシーダ君にばかり恥ずかしい思いをさせるのは……ダメですわ!
「ミルフィリア」
「はい」
シーダ君が真顔ですわ!幻滅されてしまいましたの!?シーダ君はやたらと私を美化してる所がありますものね…
「くっっそ可愛いこと言うな。押し倒して無理矢理やらかしたらどうすんだ」
「………ふぇ?」
「そんな顔を赤らめて恥じらいながら続きを期待してるとか…奇跡の天使かこんちくしょおお!!ミルフィリアが可愛い!可愛すぎる!耐えろ、耐えるんだ俺!!」
「え?え?」
ほ、ほめられてますの??何に耐えてますの!??
「うあぁ、早く結婚したい…それまで耐えられるかなぁ…いや、耐える!中途半端は駄目だ!」
「わ、私も早く結婚したいです。いつ頃にしましょうか」
「来年………あ」
「来年?来年!本当に!?私、シーダ君のお嫁さんになりますの!?」
「はぁぁぁ………」
シーダ君が深いため息を吐きました。え?嫌なんですの!?
「…仕切り直させてくれ」
「ふぇ?」
「ミルフィリア=ローレル嬢」
「は、はい!」
シーダ君はひざまずき、私に白い薔薇の花束を差し出しました。
「俺はまだ未熟で、一人前にはほど遠いが…ミルフィリアを想う気持ちだけは誰にも負けない。ずっと大切にするから…私と結婚していただけませんか?」
「は………はい!求婚、お受けします!」
ううう、シーダ君に抱きつきたい!!
「ミルフィ、手」
「え?はい」
素直にシーダ君に手を出しました。左手の薬指には睡蓮の花が刻印され、水色の石がはまった指輪。
「カッコ悪いプロポーズでごめんな?本当はもっと上手くやりたかったんだけどな」
本当は今日のデートの最後にプロポーズをしてくださる予定だったのだそうです。
「いいえ…世界一素敵なプロポーズでしたわ…ありがとうございます、シーダ君!」
あんまりにも嬉しくて、シーダ君に抱きついてしまいましたわ!
来年、とってもとっても楽しみです!!




