第23話『残された希望』
またぞろ遅くなってごめんなさい。今回は少し長いです(グダグダ長引いたともいう)。
『巨人種』__ギガント。それが三体。
雄叫びをあげ、周囲を見渡すその目はあまりに大きい。そしてそれは、人間たちの姿を捉える。
そして見つかってしまった人間__将真たちは、目が合ってしまったことに顔を青ざめさせる。
「げ……」
「あーらら」
「見つかったにゃぁ……」
将真が顔をしかめ、莉緒が苦笑。虎生ですら嫌そうな表情をする化け物たちが、顔だけでなく体もこちらに向けて、歩みを進める。
その歩みは、非常に鈍かった。人間が歩いているのと何ら変わらない。
但しそれは、相手がギガントでなければの話だ。ギガントは、巨大な体を持つ分動きが鈍いのが一般的だ。だが、人間なんかとは明らかに歩幅が違う。
当たり前のことだが、ギガントの歩幅は広いのだ。特に、目の前にいる奴らは50メートル級。ただの歩みは、森を蹂躙し尽くすかのように、踏み潰し、破壊を撒き散らしていた。
「あんなのの近くに他の生徒たちがいたら……危なくないか?」
「見つかったら殺されるかもしれない」
「うわ、それは大変だ……」
美緒が口にする残酷な未来予想図に、虎生の小隊仲間である少女が口に手を当てる。
まだ杏果や遥樹の小隊とは合流できていない。あんな化け物が近くにいては、慎重に動かざるをえないだろう。遥樹ですら、一度に相手する数が2体以降になると手に余るかもしれないのだから。
ならばそれまで注意を引いて、時間を稼がねば。
「えっと……そっちの序列6位は名前わかるとして、お前の名前は?」
「私? えっと……三枝。三枝実」
「よし、じゃあ三枝。お前はいつもやってるように虎生のサポートをしてくれ」
「おい、待つにゃぁ。いったいオレに何やらせる気だ?」
「決まってるだろ、あいつらの足止めだよ」
嫌そうな顔をしていた虎生が、将真の言葉を聞いて更に嫌そうな顔を作る。
「あの速度を見る限りじゃお前の速さには多分追いついてこれない。こっちの戦力が整っていない以上、戦う必要はまだないから、撹乱だけでいい。余裕だろ?」
「それだけならできないこともないがにゃあ、そもそも何でお前が指示出してんだ?」
「お前らの思考停止時間が長すぎるんだよ。早いとこ行動しないとヤバイんだろ?」
「……そりゃそうだにゃぁ」
早い段階で冷静さを取り戻した将真の意見に、虎生は渋々ながらも同意した。
虎生にとってはあまり認めたくない事なのだが、こういうところはやはり、将真は戦う者としての資質は十分にあると実感させられる。ゆえに、経験が足りないところがどうにも惜しいのだが。
当然、そんな事を思われている事などわかるはずが無く。それどころか、将真がすぐに冷静になれたのは、相手がどのくらい脅威的なのかよくわかってなかったからだとも言えるのだから。
そして将真は、ギガントの方を向いて目を鋭くする。
「美緒は三枝同様に虎生のサポートに回ってくれ。お前の氷結の力なら、もっと相手を封じ込められるはずだ」
「わかった」
美緒は、相変わらずの無表情で、だが僅かに顔を強張らせて頷く。
すると、まだ役割を与えられていないリンが、将真に問いかける。
「ボクたちは何をすればいいの?」
「……俺たちは囮と、虎生と同じく迎撃に回る。隙あらば叩いて行くつもりだ」
「お、囮やるの……?」
「面倒いっすねー」
リンが怯えるような表情を作り、莉緒もまた嫌そうに半眼になる。そんな2人の様子を見て、将真は小さく溜息をつく。
「リンはまだ不調だから、不安だったらやめといたほうがいいかもしれないな。でも莉緒は絶対参加しろよ」
「何でっすか⁉︎」
自分だけ強制参加というのが気にくわないのか、声を上げる莉緒。やはり、それだけギガントが危険だということなのかもしれない。だが、
「お前の参加はないと困るんだよ。迎撃はしなくてもいいけど、虎生と一緒に撹乱して欲しいんだ。2人とも、速さだけなら大差ないだろう?」
「それは、まあ……」
「確かに、速さだけならオレとこいつじゃそう違いはないにゃあ」
「だろ?」
「……わかったっすよ。逃げ回るだけでいいんすね?」
莉緒が諦めたように肩を落とす。その投げやりな言葉に将真は苦笑を浮かべて頷きながらも、顔を上げた瞬間には難しい顔に戻っていた。
「……さっき迎撃って言ったけどさ、要は注意を惹きつける程度までなんだろうな。本当は倒してしまいたいけど、戦力が整うまでは温存しときたいし、仮に本気で先頭になったところで、倒せるかは五分五分くらい、てところだろうし」
「そうだね……やっぱり、杏果ちゃんたちも来てくれないときついよね」
「逆にあいつら来てくれれば相当な戦力にはなると思うしな」
何せ、学年序列とは言え十席がほぼ全員集まるのだ。更に、学園序列入りも果たしていて、一対一なら奴らに勝てるという化け物が2人もいる。
三体のうち一体ずつを遥樹と虎生に任せて、残りの一体は、任せてある二体の妨害もしながら、複数人で押し切る。
これならいける。
「あいつらと合流して、戦える戦力が揃えば、奴らを倒せる。勝てる!」
「……まあ、妥当な線だにゃあ」
「みんなで協力すれば__」
「誰も傷つかずに、この場を乗り切れるっすね」
「うん」
みんなの意見が統一され、ギガントに挑む準備ができた。そうして作戦を開始しようと各々が動き出そうとして、直後、鈍い揺れが大地を襲った。
唐突な現象に、バランスを崩した将真たちは、地面に膝をついて顔を上げる。
そして、新たに降って湧いた脅威を目の前に、言葉を失った。
将真はその迫力に絶句しているだけだが、相手の脅威を知っている他のメンバーは、顔を青ざめ、恐怖に震え、絶望に力を抜いていた。
「……嘘だ」
誰が呟いたかはわからない。誰の言葉かというのは問題ではないのだろう。恐らくは、みんな同じ事を思っているだろうし、確かに信じたくない出来事が今、目の前で起きていた。
ギガントの数が、倍に増えた。
森の何処かで、誰かがほくそ笑む。
「さて、と。じゃあ、始めようか__!」
『■■■■■__!』
その声に応えるように、6体の50メートル級ギガントが雄叫びをあげた。
その雄叫びは、大地を揺らし、響いていく。
「お、終わった……」
ぺたん、と莉緒が座り込んで呆然と呟く。
その姿を見て、将真の中に強い憤りが産まれる。
「終わった……? どういう意味だ、諦めるっていうのか⁉︎」
「そうっすよ……。こんな絶望的な状況で、もう立ち向かう意義なんてないっす」
「意味がわからねぇよ! なんで無理なんだ、なんで絶望的なんだ⁉︎ 数が少し増えただけだろ⁉︎」
「将真さん、貴方は奴らの恐ろしさを理解してないんすよ__!」
激昂する将真に対して、同様に怒りを込めながら莉緒が叫んで、将真の胸倉を掴む。その表情は、まるで恐怖に怯える小動物のようだった。
いつも飄々として、同様に危険とされている吸血鬼を前にしてすらその姿勢を崩さなかった莉緒が、激しく取り乱している。その事に将真は衝撃を覚えた。
「……確かに数が増えただけっすよ。それでもまだ増えたのが一体だけなら、予定より手こずってでも何とか生き残れると思うっすよ。でも二体増えて五体になるだけで、もはや勝ち目はないっす。せいぜい時間稼ぎがいいところ……だと言うのに、さらに一体! つまり、50メートル級のギガントが合計で6体いるんすよ⁉︎ 逆に希望持てって方がどうかしてるっすよ!」
「そいつの言う通りだにゃぁ、将真」
莉緒の、堰を切ったようにあふれ出た悲鳴のような嘆きに、虎生が肯定する。
「認めるのも癪だが、そもそも50メートル級のギガントってのは、全ての『巨人種』を総じて見て、最も危険で凶悪何だにゃぁ。そんで、さっきからも言ってると思うが、オレや風間でも、せいぜい一体ずつを相手にするのが精一杯。続けて二体倒せってんならまだ可能性はあるけど、同時に二体相手にしろっていうのは、学生じゃなくても無理なんだにゃぁ。生憎試験中だから、学園長も団長も中に入ってこれねぇ。希望は……絶たれてる」
「……じゃあ、せめて逃げるっていうのは?」
「それもできるか怪しい」
戦う意思があった将真は、それでも最大限の譲歩として提案したが、それを美緒が否定する。
その声に反応して美緒の方を見ると、彼女が「ん」と首を持ち上げてギガント達の方を見る。将真もまたつられてそちらを見て、彼女が何を言おうとしていたのかがわかった。
先ほどの鈍い動きとは明らかに違う。明確な意思を持ち、血響きを立てて走るギガント。
確かにその姿には、恐ろしさを感じざるをえなかった。
「唐突にこんなところに、しかも6体のギガントが現れるとは考えられない。そして動きもまた、6体になったと同時に意思を持ったかのように動き出した。多分、操ってる奴がいるんだ」
「そうか……! なるほど確かに、さっきまで寝起きみたいだった奴らがあんな風に動ける理由があるとしたらそれしかない! ……て言うか、お前は案外冷静なのな」
莉緒が取り乱し、虎生ですらプライドを捨てて諦めるレベル。当然他のメンバーも絶望に顔を染める中で、美緒は意外にも冷静そうだ。
だがそれは、そう見えていただけのようだったとすぐに知る。
「そんな事はない」
「そうか?」
「うん。実際、漏れそう」
「……は?」
ギガントの方を向いていた視線が、怪訝そうな表情を伴って美緒の方を見る。そうしてようやく気がついた。
美緒の体が小刻みに、だが確かに目に見えるレベルで震えている事に。更に、顔を青ざめさせている事にも、今の今まで気がつかなかった。
そして同時に、自分も冷静さを欠いていたのだと、将真は自覚する。
「わかったところで意味はない。対抗策はないのだから」
そして遂に、美緒さえも折れてしまう。その事に戸惑いながら、それでも何とかやる気を起こさせようと将真は思考を巡らせるり
「お、お前まで諦めるなよ。幾ら何でも、俺1人なんかじゃどうしようもないんだぜ?」
「……でも、1人でもできる事はやる気、何でしょ?」
「それは……もちろんだけど」
「……将真さんはやっぱ凄いよ。普通は1人でも立ち向かおうなんて思わない」
美緒が珍しく表情を見せる。だがそれは、引きつった笑顔だった。
みんな、心を折られてしまった。
みんな、戦えなくなってしまった。
みんな、逃げる事すら諦めてしまった。
__俺1人で何とかできるなら、せめて時間稼ぎでもできるなら、そうしたいけど……!
ギガントの恐ろしさを理解できてない将真は、心は折られていなかった。むしろ闘争心すら湧いていた。だがそれでも、わかっていた。1人では、時間稼ぎにもならない。瞬殺されるのが関の山だ。
殿は努めてもいいが、犬死はごめんだ。どうせ死ぬなら、そこに意味がなくては死ねない。無意味に死にたくなんてない。
だが、生き延びようにも、状況は絶望的だ。
将真にとっては、ギガントの数よりも、メンバー全員の心が折られて戦えなくなってしまったことの方が、余程絶望的だった。
杏果や遥樹はどうするだろうか。もしかしたら、ギガントの数が増えたところを見て、逃げ出したかもしれない。みんなの話を聞いた後では、それも仕方のないことかもしれないとは思えるが。
「……て、たまるかよ」
「……将真くん?」
ボソッと低い声で何かを呟く将真。そんな彼の顔を、リンがへたり込んだまま見上げていた。
すると、将真の全身を、黒い瘴気が包み込むように取り巻いていた。そしてそれは、徐々に将真に取り付いていく。
「諦めて、たまるかよ__!」
将真が吠えた。同時に、瘴気が将真を完全に覆い尽くし、そうかと思えば次の瞬間、瘴気が弾け飛んで、そこには黒衣を身にまとった将真がいた。右腕には、魔王の侵食の証である、異形の腕。それが今回は、初めから肘まで到達していた。
将真自身の意思で実行した、本当なら使わないはずで、使わないと決めていた、『魔王』の力の顕現。
それが何をもたらすか。
地面を踏み込み、跳躍する。
それだけで地面がひび割れてめくれ上がり、巻き込まれたリンたちは軽く吹き飛ばされる。
将真は、右手に構えた剣を両手に持ち直して、ギガントに向けて大きく振り下ろす。
その一撃の勢いで、ギガントの一体が大きく後ろに仰け反って、地響きを立てて倒れた。
「……うっそ」
「まじかにゃぁ」
「強い……」
一撃でギガントを倒した将真を見て、それぞれが思い思いに呟く。だが、彼らの考えは外れていた。
倒れたギガントが、再び立ち上がる。切られたはずのその体には、確かに切り傷があった。それは、魔導師たちから見れば大きな傷で間違いなかったが、それでもギガントと比べてみると、恐らく奴らに大したダメージはない。
だが、それでも将真は、1人でギガントに挑んでいく。
吹き飛ばされる将真が、リンたちのそばに落ちた。
あまりに際どく、ギリギリな戦い。その様子を見ていたリンが、耐えきれないといった様子で立ち上がり声を上げる。
「やっぱり嫌だよ! こんなところで、将真1人戦わせて見てるだけなんて……!」
「じゃあ、どうするっていうんすか?」
「どうするって……」
「勝ち目なんか、無いんすよ__」
立ち向かおうとしたリンとは打って変わって、諦めに声を落とす莉緒。
そんな時、ふと彼女間の言葉の途中で、不意に通信音が聞こえた。
その音は、序列6位の少年の端末から聞こえていた。彼は、苛立たしげに通信を繋ぐ。
「何だよこんな時に……!」
『私よ』
「学園長?」
「……柚姉?」
ウインドウの向こうから聞こえるその声は柚葉の物だった。すぐそばに吹き飛ばされていた将真が、その声に反応して、戻ってくる。
『今、状況の確認をしているところだけど……相当まずい状況見たいね』
「まあな。そんでもって、みんな戦意喪失だ。俺はやる気あるけど、俺1人じゃどうにもならないし……」
『そうね。そこでちょっと無理を通してみんなに頼みたいことがあるの』
「頼み?」
『ええ。やることは単純よ。簡単では無いかもしれないけど』
勿体振るような物言いに、将真は訝しげな表情を浮かべながら先を促す。
「何させる気だよ?」
『この状況でお願いすることといったらもう、時間稼ぎくらいしか無いわ』
「……時間稼ぎ?」
切迫した雰囲気にしては、彼女自身が言ったように単純なその頼み事に、むしろ将真は気が抜けたような気さえ覚える。
だが、続く言葉に、事の重大さを知らされることとなった。
『ええ。時間稼ぎよ。気づいてる? ギガントたち、『日本都市』に向かってきているのよ?』
「っ……⁉︎」
予想外な指摘に、将真は息を詰まらせる。
『結界が綻びているのは何もそこだけじゃなくてね。都市の結界の方も弱くなってる。だから、あいつらを近づかせるわけにはいかないわ』
「確かにそれはマズイな……。わかった、何とかして__」
「ふざけんなっ!」
『っ⁉︎』
元よりなんとかしなくてはと思っていた将真は、柚葉の頼みをあっさり承諾しようとしたのだが、それを虎生が遮った。
普段から飄々としている彼らしくもなく、怒りを露わにして。
「この戦力差で、しかも明確な意思を持つギガント相手に、いったいどれだけ時間を稼げってんだ! 命がいくらあっても足りねぇよ!」
「お、おい虎生? 何をそんなに怒って__」
加えて、ふざけたような猫語もさっぱり無くなって、怒りを叩きつけるようにウインドウに向かって怒鳴る。
「お前、意味わかってんのか? つまりオレらは、捨て駒にされるんだぞ⁉︎」
「……いや、意味がわからん」
「普通に考えろよ! 今都市にいるのは危ないんだろ⁉︎ 結界もまともに機能してない、ギガントが暴れたら地下にいる方がある意味危険だ。だったら、オレらが時間を稼いでる間にこの都市から避難する。違うかよ、学園長!」
確かに、虎生の言っていることは筋が通っている。都市にいるのが危ないなら、誰かを犠牲に避難。なるほどその通りだ。
そして虎生の最悪の予想は、
『ええ、大外れよ』
あっさりと否定される。
「嘘はよせよ。あんたが来れるわけでも、団長が来れるわけでもねぇ。いったい、この状況をどうするんだよ⁉︎ 自警団は治安維持の為に彼方此方に出払っていて人員不足。この状況を覆す方法がどこに__」
『それなんだけど、暁くん。暁透くん。あえてあなたの端末に通信を入れた理由が、その方法と関係してくるのよ』
「はーん……って、え? 俺っすか?」
気の抜けたような反応をした序列6位が、自身の名を出されていることに気がついて僅かに戸惑いを見せる。
『ええ。あなたなら理解できるはずだから。この窮地を脱することができるって』
「……で、その方法は?」
この状況下で、将真よりは動揺していながらも、それでも他のメンバーと比べると意外と冷静な透。彼に促されて、柚葉がその方法を告げる。
『あなたの兄が、帰ってきたわ』
「……兄貴が、帰ってきた? マジで⁉︎」
『マジだ』
透が少し声を明るくして食いつくと、更にもう1人の声が聞こえてくる。
男の声だ。少し威圧感を感じる、低い声音。
「透の兄貴が帰ってきたからって、それのどこが方法になるんだ……⁉︎」
虎生が、顔を歪めて怒りを押さえ込んで、拳を震わせる。
だが、それを諌めたのは透だった。透は、虎生の肩に手を置く。
「頼む。少し話を聞いてくれ」
「……で、どうしろってんだにゃぁ?」
すると虎生は、大きく息を吐いて、少し冷静さを取り戻した声で柚葉に問いかける。それに答えたのは透の兄だった。
『余裕を持って10分、と言いたいところだがまあ、それはかなり難しいだろう。だから、5分でいい。誰1人欠けることなく、そして都市になるべく近づけるな。そうすれば後は俺が片付ける』
『えっ⁉︎』
さらりと言われたその言葉の中でとんでもないことに気づく将真たち。そして、それを指摘するように虎生が怒りを露わにする。
「はぁ⁉︎ 後は片付けるって……ギガント6体を1人で? そんなの無理に決まってんにゃぁ__」
「虎生」
「っ……、チッ、わかった、やってやるにゃぁ」
だが、またも透に諌められ、虎生はおとなしく引き下がった。
『あなたが言う通り、そこにいられては私は何もできないけど、私は逃げも隠れもしないから安心しなさい。それじゃあ、任せたわよ』
『頼むぞ、学園生たち』
「了解」
最後、将真の了承を確認して、通信が切断された。
「おーい、リン! みんなー!」
「あ……杏果ちゃん!」
丁度その後、まるでタイミングを狙ったかのように、杏果と遥樹の小隊が将真たちと合流する。
「僕たちがくる前に状況がどうも悪化してしまったみたいだね」
何となく予想はしていたが、殊の外冷静な遥樹と2人の小隊仲間と、更に杏果たちも意外とまともな思考能力が残っていることに将真は少し驚いていた。
だが、とりあえずそれは後だ。
「まあ、こっちの現状最大の戦力も整ったわけだし……やろうか、みんな!」
『おうっ!』
将真の掛け声に、みんなが声を上げる。
ギガントたちは、すぐそばまで迫っていた。




