プロローグ『裏世界』
『昔々、ある辺境の地に、強大な魔力を持った、魔王と呼ばれる者がいました。
いつも人間に興味を示さなかった魔王は、ある時を境に、仲間を率いて、人間たちを滅ぼそうと動き始めました。
絶滅の危機に瀕しながらも、人類が激しい抵抗を続けていたある日、1人の少年が勇者に選ばれたのでした__』
これは、遥か未来に語られる昔話、その冒頭。
滅びの運命に逆らった魔導師たちの、長きに渡る、生存戦争を描いた物語。
その序章に過ぎない__。
眉を顰め、口をへの字に曲げた、いかにも不機嫌そうな顔をした少年が、歩道を歩いていた。
その足は、表情と同じような機嫌を表すように、のしのしと地面を踏みしめる。
その容姿は、おおよそ中高生くらいで、同年代の男子と比べると高めだ。
少し長めの逆立ったような黒髪と、人並みよりは端正な顔立ちが特徴と言えば特徴だか、不機嫌そうな表情のせいで、どこか剣呑な雰囲気を纏っていた。
特別な点はない。どこにでもいそうな、至って普通の少年だ。
「……」
そして、無言である。特に話し相手がいるわけでもなく、一人でいるのだから当然とも言えるが。
暫く前に新幹線を降り、バスを乗り継いで、都心にしては珍しい、静かな地域へとやってきた。
そして、少年の手には一枚のボロい紙切れがあり、少し苛立たしげにそれを睨む。
何故彼がそんなことをしているのか。
遡ること数日。
少年が中学を卒業してから、2週間ほど経った頃のことだった。
少年には、7つ年の離れた姉がいる。
数年前に遠くの学校へ通い始め、家を出たきり音信不通だった彼女から、その日初めて、唐突に連絡が来た。
少年に宛てて届いた封筒の中には、都心付近を示した古びた地図と、『ここまで来い』という旨の書かれた手紙、そして新幹線のチケットが入っていた。
少年は田舎暮らしのため、目的地である都心付近に行くには、どうしても新幹線が必要だという事を、姉は理解していたのだろう。
呼び出された理由について、少年には全く心当たりがない。
だが、ここ数年、少年どころか両親にすら、連絡さえ寄越さなかったにも拘らず急に呼び出してきたのだ。そこは両親に似たのだろうが、何を今更、と思った少年は当初、無視するつもりでいた。
しかしこの少年、実は暇を持て余していたところだった。
彼は特別、成績優秀者というわけでもなかったが、受験勉強は完璧だった。
試験の点数も足りていて、加えて面接も問題なかったはずだ。
それにも拘わらず、滑り止めとして受けた高校も含め、全ての受験に落ちたのだ。
浪人生確定の少年は、途方に暮れていた。
行く当てもなく、友人に気を遣わせるのも嫌なので、外に出るときもあまり知人と出会わないように気をつけている。
家も、両親に放浪癖があるため、事実上、孤立状態である。
そんな状況にあった少年は、悩んだ末、目的のわからない姉の呼び出しに、渋々ながらも応じることにしたのだ。
呼び出した理由と、今まで何をしていたのか。
とにかく色々と、根掘り葉掘り聞き出すために。
暫く歩みを進める。運動部に所属して、鍛えていた少年は、体力には自信がある。ただ歩くだけなら大したことはなかった。
都心の近くではあれど、今歩いている地域は、まるで少年が暮らしているような田舎町だ。
そして、大きな山を前にして、少年は顔を上げて立ち止まる。
地図が示す、目的の場所に到着したのだ。
それと同時に、地図が突如発火したかと思うと、既に灰になって風に飛ばされていった。
不思議なことに、発火した地図に触れていたというのに、暑さは感じなかった。
「……?」
不思議な現象だったが、少年は特に気にすることもなく、山道へと足を踏み入れた。
山道を抜けると、視界が開けて空洞を作り出し、そこから陽が差し込んでいた。
そして、その中心に建っているのは、暖かな風景に場違いな、怪しげな古い木造建築物。
「これは……、神社か?」
「__残念、神社じゃないよ」
「うおっ」
「何 、その反応」
少年は独り言のつもりだったのだが、女性の声で返答が返ってきた為に思わず吃驚する。
声のした背後を振り向くと、そこに居たのは、少年の姉だった。
家と出たからと変化があるとすれば、ごく平凡だったはずの髪色が、眩い金髪になっていたくらいのものだった。
いや、元々太めの三つ編みだったが、その上で長くなっているものだから、相当な髪のボリュームを感じるが。
当然、背は伸びているものの、予想よりも低いため、不思議とあまり大人びた印象はない。
7歳年上、つまり姉は今年で23歳になるはずなのだが。
少年が振り向いたことで自然と目が合う。
姉は、にっこりと微笑んでいた。
出会い頭に問い詰めようと思っていた少年だったが、その笑顔を見て思わず毒気を抜かれる。
だが、不満が解消されたわけでもなかった。
それに、聞きたいことが山ほどあることには変わりない。
「神社じゃないなら何なんだ……。いや、それよりも聞きたいことがあるんだけど、当然答えてくれるよな、姉貴?」
「いいわ。可愛い弟の質問だもの。ちゃんと答えてあげる」
そう言って、姉は胸を張る。
大きい胸が強調された形ではあるが、血の繋がりがあるせいだろうか、特に多くを感じることはなかった。
それどころか。
(何故にそんな尊大な態度なんだ……)
この女こんな感じだったっけ、と言う違和感を覚えはしたが、しかし7年も経っているのだから人間、変わりもするだろうと自身を納得させる。
そして違和感を後回しにし、代わりに疑問を口にする。
「じゃあ答えてもらおうか。わざわざ東京に呼び出したかと思ったら、その山奥に呼び出すなんて、どういうつもりだ? いやそもそも、数年音沙汰もなかったあんたが、何で急に俺を呼び出すんだ? それに、母さんとか、親父は呼ばなくていいのか?」
「おおぅ、思った以上に質問が多いわね……。まあいいわ。ついておいで」
「ちょ……、答えるって言ったじゃんか」
「ちゃんと説明するから。少しの我慢よ」
そう言うと、姉は建物の中に入っていく。
少年を待つ気は無いようで、釈然としないながらも、仕方なくその後についていった。
異様な雰囲気が漂っている気がするものの、建物の中には、階段以外殆ど何もなかった。大きな広間に、天井から伸びる太い柱くらいか。
中央にある、下へと続く大きな階段。その奥から、更に強烈な、異様な雰囲気を感じる。
少年は、階段を指さして姉に問いかける。
「……地下に続いてるのか?」
「そうだよ」
「地下なんかあるんだな……。それで、何をしに?」
「それもついてから、説明しようかな」
そう言うなり、姉は黙って先を進んでいく。
はぐらかされたような気がして、少年はやはり釈然としないながらも、姉の後をついていく。
階段の照明は、辛うじて足元が見える程度の明るさしかなく、何度か足を踏み外しかける事もあった。大して姉はトントン、と軽やかに降りていくものだから、少年は少し置いていかれそうになった。
そして、何階分降りただろうか。
一番下の階であろうその場所は、薄暗くはあるものの、階段に比べれば幾らか明るい。
程々に広い部屋で、薄紫色の光が仄かに部屋の中を照らしていた。
そして、発光している物を見て、少年は目を丸くし、次いで表情を消した。
「……なあ、姉貴」
「何かしら?」
キョトンとする姉の肩を掴み、少年は顔を強ばらせた。
「__ついに頭狂ったのか⁉︎」
そこにあったのは、巨大な魔法陣だ。
そう。あのファンタジー系によくある、魔法陣である。
(いや、いやいや、いやいやいやいや!)
頭を振りながらも、少年はその光景を否定しようと、その魔法陣に指を指して捲し立てる。
「7年前に家出たかと思えば、いい歳した大人がどんな経緯でこんな厨二病に走るんだよ!」
「失礼ね、厨二病じゃないわ。あんな恥ずかしいのと一緒にしないでよ」
当然のように、姉はしれっと言ってのけた。むしろ少年に対して呆れた表情を見せているくらいだ。
思わず少年は、肩に置いていた手を離し、今度は襟元を掴んでブンブン振る。
少年の表情には少し影があり、側から見れば、少女を脅すガラの悪い男に見えなくもない。
誰が見ているわけでもないが。
そして、そんな状況にも拘わらず、姉は相変わらず平然としていた。
「じゃあ何か⁉︎ あんたは『これは本物です』って言いたいのか⁉︎」
「そのとぉーり」
「ピアノ売ってちょうだーい、とか言い出しそうだな、ええ、おい!?」
叫ぶのにも疲れてきた少年は、はぁ、はぁ、と息を荒げる。
その間にも、姉は勝手に説明をし始めた。
「これはね、いわば〈鏡〉とか〈写し絵〉なの。この魔法陣を通ると、この世界に似た異世界へ飛べる。私たちはみんな、〈裏世界〉と呼んでいるけどね」
「姉貴、あんたの頭はどこまで……」
凝った説明をしだすものだから、少年は少し哀れんだ表情を浮かべた。
こんな姉を見たら、両親がどんな顔をするか。そう思ったのだが、
「いいから、黙って、最後まで、話を聞きなさい」
「……イエッサー」
凄まれたので、取り敢えず黙ることにした。勿論、納得など微塵もしていない。
「私があなたを呼んだのは、〈裏世界〉に来て、そこで生活してもらうためだよ。必要そうな荷物は既に向こうの住処に送ってあるから」
「待て待て待て! 何勝手なことしてんだ!」
(なんだ〈裏世界〉って。高校生舐めるなよ!)
厳密には中学生を卒業しただけの一少年だが。
それはとにかく、そんなものが存在するのはアニメや漫画の中だけだ。
勿論、興味が無い訳では無いが、大体、何のためにそんな事をさせられなければならないのか。
叫びたい気持ちも山々だったが__否、実際に叫ぼうとしたのだが、唐突に姉に手を掴まれ、引っ張られた。
「……え?」
「これ以上は、向こうへ行った方が早いから、その後でもいいよね?」
姉が、にっこり笑う。
別に不自然な笑みではない。怒気も殺気も感じない。いつも通り普通の、和やかな笑み。
それがなぜだろう。逆に嫌な予感ばかり掻き立てる。
「は、いや、ちょっと? 説明してくれるって言ったじゃ……って、おいまて、何これまさかのガチな感じですかね?」
「じゃあ行くよ〜」
「ちょちょちょ__嘘だろぉぉぉぉぉっ⁉︎」
姉が指を鳴らして合図を出す。
その瞬間、淡い光を放っていただけの魔法陣が、突然強い光を放って少年たちを包み込む。
そして足元の魔法陣を見た少年は、ある事に気が付いた。
LEDなどを使って作り出した、魔法陣の形をしたおもちゃとか何かだと思ってたが、どうやら違うみたいだった。
信じたくはないが、よく見ても原理不明としか言いようのない、不自然な光だった。
少年は厨二病ではない。
つまりこれは、非常に信じ難い、嘘のような現実だった。
そして2人は、魔法陣の光に包まれて溶けていく。
「おおおおおおおおっ⁉︎」
思わず絶叫を上げる少年。
妙な声を上げている間に、ワープ的な何かはどうやら終わっていたようだ。
(いや待て、外に出てみないとわからないぞ)
諦め悪く、そんな思考が少年の頭を過ぎる。
だが事実、今いる部屋は光が落ち着く前の部屋と大差ない気がする。それどころか、同じような気さえする。
これで外に出て何も変わってなかったら、ついに姉の頭が狂ったという答えが得られる。そんな答え、得たくもないが。
少年はまだ信じきれていないのだ。さっきの魔法陣をみても、とても信じられるものではなかったらしい。
「そんな事態になってほしくないけど……。一家族としてね!」
「じゃあ、外に出ようか」
思わず口走る少年を差し置いて、姉が階段を上り始めた。再び少年は、姉の後をついて、ここでも足を取られそうになりながら、登っていく。
そして、神社らしき建物を出ると、そこには青く生い茂った木々が生えていた。
但し、少年たちが立つこの場所だけは、視界が開けた森。
つまり、眼前に広がる景色は、何も変わっていなかった。
「……姉貴?」
「なにかしら」
(さっきと同じ流れかよ)
少年は、がっくりと肩を落とした。
「やっぱ頭狂ったんじゃ……」
言った瞬間、姉が少年の手首を掴んで__ふわりと飛んだ。
『跳ぶ』ではない。『飛ぶ』だった。
「……お? おおおおおおおおっ⁉︎」
またしても、珍妙な声を上げる少年。それを横目に、姉は空を飛び続ける。
「な、な、な……。と、飛んで、空、飛んでるー⁉︎」
「そんなに驚かないで。〈裏世界〉じゃそんなに珍しくもないから」
「マジか⁉︎」
「まあ私はこの魔法そんな得意じゃないけど」
慣れない感覚に声を上げる少年を、気に止めることなく、姉はそのまま空を高く舞い上がり__一定の高さまで上がって、指で街の方を示す。
「ほら」
「ほらって……、え、えっ……?」
少年は、その光景を見て呆然とした。
大きな街一つが、山脈と海に囲まれていた。当然、それなりに珍しい光景だと思っていたが、少年が驚いたのはそこではない。
彼が驚いたのは、姉が指を指していた方とは逆の、山脈の外だ。
少なくとも、自分の視界で認識できる範囲で、まともに残った街__いや、建物すら皆無。
外の世界は、廃墟の山と化していた。
この様子ではおそらく、視界で認識できない範囲も同じ状態だろう。
山脈の内側も外側も、非常識、非現実的な光景には変わりない。だが、その光景には大きな差があった。
内側が幻想的、理想的と例えるなら、外側は破滅的。そんな対照的な世界観が、山脈を挟んですぐ隣り合わせにある。
少年が知る限りの中で、何があったところでここまで酷い光景はあっただろうか。学んだ歴史の中にすら、あった覚えはない。
戦争中に落とされた爆弾による日本の被害も、直撃を受けた街はこのくらい酷かったが、おそらくそれをはるかに超える惨状だ。
それほどまでの悲惨な光景を目にし、少年は呆然と呟いた。
「……何だよ、これ」
「__〈ラグナロク〉」
「は?」
「一度くらい耳にした覚えはあるんじゃない?」
「ああ、まあ……な」
(確か、北欧神話における終末の日……だったか?)
流石に、詳しい話までは覚えていなかった。
「文字通りの意味だよ。〈サード〉って呼ぶ人もいるけど」
「〈サード〉?」
「ええ」
肯定し、進路を街の方へと向けて飛んで行く。少しずつ高度を下げながら、姉は説明を続ける。
「まあまだ、終わりは迎えてないんだけどね。〈3度目の終焉〉、だから〈ラグナロク〉とか〈サード〉って呼ばれてるんだよ」
「3度目?」
(これと同じ事が、前にも起こってるっていうことか……?)
少年は今、とんでもないことを聞いた気がして、姉に問い返した。
聞き間違いであってほしいと願う少年だったが、残念なことに、姉は肯定を示した。
「今までにこの世界は、2度も滅んでいる。正確には、人類史が、だけどね。そして今は、3度目の滅びを迎えようとしている、その真っ最中なのよ」
少年は、姉に手を引かれ街の中に降り立った。
2度も滅んだという割には文明的で、かつ活気があるように思う。
しかも、地下に続く階段があるようで、目の前で何人も人が出入りしている。人の数はかなりのようだ。
地下に何があるのかは知らないが。
「なんて言うか……、ゲームに出てきそうな雰囲気だな」
「そうかもね。今生きている人全てを収容するにはこの街は少々手狭だから、地下も結構深いし、地下に居住スペースがあったりもするわ。そこまで〈純科学〉ではないけれど、こっちには〈魔導科学〉が存在するからね」
「〈魔導〉……。ファンタジーに良くある、魔法とかなんとかか?」
「そんな感じよ。まあ、それ以上は自分で学んで身に付けなさい」
ここに来る前だったら、〈魔導〉なんてものがあると言い出したものなら、馬鹿にするなり否定するなりしただろう。
だが、こんな世界を見せられては、最早疑う余地はなかった。
そして姉は、引き続き先導して街道を歩く。
外の廃墟とは裏腹に、この街の中は平和そのものだ。店には人が出入りし、大通りを子供たちが走り回っている。
車らしきものは見当たらないが、交通手段はあるのだろうか。そんな疑問を覚えた時、姉が「ほら」と山脈の方を指差す。
「あの山脈は、結界の境目になってるの。街は当然、結界の内側だから基本的には安全よ。だけど外には、魔物や魔族がいるし、場合によっては他国の〈魔導師〉と交戦するなんて事も有り得る。だから、あなたもこれから気をつけなさい」
「あ、ああ……って、『これから気をつけなさい』?」
非常に現実感の乏しい壮大な話に、少年は圧倒されていた。 と言うか、理解が及ばなかった。
そういうフィクションの世界の知識も多少あるので知っているが、まさか実在するだなんて思うはずもない。
案内をする姉の背後を、呆然としながらついていって、しばらくすると不意に彼女が足を止めた。
大体、20分は歩いただろうか。彼らの目の前に広がるのは__
「結構でっかいな……。校門か?」
「うん」
「……それで、ここは?」
「この春からあなたが通う事になる学園よ。〈裏世界〉の、日本に2つしか存在しない学校の一つにして、唯一の魔導師育成機関__それがここ、〈日本大魔導学園〉!」
「魔導の……学園」
何度目かわからないが、やはり圧倒されながら、その壮大な規模の学校を見る。
少年の知る高校とは比べ物にならず、大学に勝るとも劣らないくらい広い。
その学園を見上げる中で、ふと、ある想像が少年の頭を過ぎった。
正直、これが本当だったら迷惑極まりないのだが……。
「なぁ、姉貴。最後に聞きたいことが一つある」
「いいよ、言ってごらん」
「俺が高校受験に落ちまくった理由ってまさか……」
「……」
言いながら少年は、姉に視線を向ける。
彼女はしばらく黙りこんだが、諦めたように、いっそ清々しい笑顔で親指を立てた手を突き出して言い放った。
「__手段を選んでる余裕がなかったんだ!」
「やっぱりあんただったのかぁぁぁっ!」
少年は、この世界に来て一番の絶叫を上げた。
かくして少年は、〈日本大魔導学園〉に入学することとなった。
暫くは、姉がとったという下宿先で生活をした。ちなみに寮はあるようで、絶対に入らないといけないらしい。
入学してしばらくの間は自宅から通うのもアリだが、入学してすぐにテストがあり、それが全て終わって序列というものが出ると必ず家を出て寮に入る、という決まりがあるからとのことだ。
そして。
入学式も終えて、数日に及ぶテストも終えた少年は__
「……ねぇ、将真?」
「……うぃ」
「この成績は……、どういう事かな?」
「……」
学園長こと姉に、お説教を食らっていた。