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斜読三国志  作者: amino
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合淝と漢中

 漢中を取られた劉備軍は驚き、呉に荊州の3郡を返して同盟を強固な物とし、呉と提携して北へと侵攻を開始した。呉は建業の西、長江に繋がる巣湖の北にある合淝城を攻め、益州軍は益州北部漢中を攻めた。魏軍の主力が漢中に出たと知った孫権軍は、魯粛を平北将軍として総大将にし、甘寧、呂蒙を先鋒に立て、漢水と長江の大河の合流地点で要衝の濡須港に軍を集め、長江の上流で濡須南西の皖城を落として後方の安全を確保した。その上で孫権自ら全軍を率い、総数10万の兵を持って合淝を攻めた。この時合肥城には1万弱の兵しかいなかった。曹操の指示に従って、楽進が城を守り、張遼、李典はわずか千人ほどの精鋭を引き連れて孫権軍を奇襲した。ありふれた奇襲であったが、慢心していた孫権軍は大混乱に陥り、一時は全軍が敗走するほどであった。この混乱が回復すると進軍を再開した。城を包囲して10日ほど強攻を続けたものの、まるで歯が立たず、漢中を制圧した「曹操来たる」の報を聞いて撤退を開始した。呉軍は撤退中を張遼率いる部隊にさんざんに痛めつけられ、大損害を受けた。この敗北があまりにもひどかったので、呉では張遼が来ると言えば泣く子も黙るようになり、「遼来々」の言葉で呉の人に恐れられるようになった。

翌217年、曹操は、孫権が陣を張る濡須対岸の居巣に陣を張り、攻撃を行った。曹操軍は渡河のための水軍が弱体であり、孫権軍は強力な陸軍を持たなかった。どちらも決定打に欠け、戦いは長期にわたった。双方とも国力をすり減らすのを嫌い、孫権の申し出た和睦が成立した。

同時期217年、法正の進言によって劉備軍が漢中に侵攻した。法正は言った。

「曹操が漢中から撤退したのは兵が漢中の山険に兵たちが疲弊したからです。また益州への侵攻には食糧が不足しているからです。つまり、今、漢中に残っている兵は疲弊し、漢中にある物資も十分とは言えません。今攻撃しなければ涼州、雍州の関中一帯、果ては中原への足掛かりを失います。ご決断ください」

劉備軍は諸葛亮成都に残し、法正、張飛、馬超、呉蘭を先陣として関中へと新発させた。法正らはまず要衝陽平関を落として劉備の本隊を招き入れると、下弁に呉蘭を、固山に張飛、馬超を進出させ、氐族との連携をするために西進した。これに対して魏軍は、曹操の弟曹洪が長安から5万を率いて益州と雍州の国境にある散関を抑え、そのまま斜谷道を南下し、下弁を奇襲した。奇襲を受けた呉蘭の隊は大敗し、呉蘭は戦死する。退路を塞がれる危機に陥った馬超、張飛軍は退却した。これにより氐族の協力を得られなくなった劉備軍は苦戦に陥る。苦戦した劉備は戦局を打開するべく、陽平関から東方の定軍山南側に陣を取り、強固な守勢の陣を構えた。夏候淵も陽平関から出て定軍山に陣を取った。これを聞いた曹操は自ら長安から出陣して、散関にて後詰の陣を張った。漢中の城を挟んで、魏は陽平関、劉備軍は定軍山を軸に猛烈な戦闘が展開された。夏候淵と副将の張郃はそれぞれ漢中の南と東に兵を分けて本陣を構えた。これに対し劉備はほぼ全軍をもって張郃を攻撃する。張郃危機の知らせに夏候淵は張郃に援軍を送った。劉備はこの援軍を予期しており、伏兵をもって大いに打ち破った。勢いに乗る劉備軍は、夏候淵軍の兵が減ったところを見計らって猛攻を仕掛けた。夏候淵は奮闘したものの、黄忠によって切られた。総大将がいなくなり、夏候淵の隊は大混乱に陥ったものの、曹操の救援と、張郃の奮戦によって辛くも撤退に成功した。これに怒った曹操は、斜谷道を自ら軍を率いて下り、劉備軍との対決の姿勢を見せた。激戦が繰り広げられた。曹操軍は張郃、郭淮を先鋒とし、劉備軍は黄忠、張飛、馬超らを先鋒に立てて対抗する。対陣は2か月にも及んだが、劉備軍に疲労の色が無く陣にも乱れがないのを見て、曹操は撤退を決意する。その際、曹操は策を立てた。曹操は、益州の出入り口に当たる漢中から人口を移住させることで、劉備を益州に閉じ込めようとしたのだ。一種の焦土作戦である。魏は、法正の策により、老将黄忠の手で名将夏侯淵が斬られた。しかし、漢中からの人民の避難は完了する事が出来た。劉備軍は勝利したが、無人の土地を得ただけであった。後の諸葛亮の北伐で、漢中での軍屯による食糧の確保が必要になったのもこれが原因である。しかし、中原への出入り口になる漢中は劉備軍の手に帰した。この勝利の後、劉備は漢中王の位に登り、国号を蜀とした。それを見届けたように、翌年黄忠が死んだ。

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