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斜読三国志  作者: amino
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官渡大戦後半

 初戦に敗北した袁紹は陽武に陣を張り直し、官渡の曹操軍に対して大軍に有利な平押しの陣地戦を挑んだ。袁紹軍は柵を立て、土を掘り、矢戦をしかけた。袁紹軍が土山を盛り高見櫓を立てれば、曹操軍も同様に対抗した上、投石機を投入して土山・櫓を攻撃する。袁紹軍も同種の兵器で対抗した上、地面に穴を掘って敵陣地を奇襲する坑道戦を展開した。曹操軍は水堀を作り、同様の土木工事で対抗した。工事の際も妨害に出る軍と迎撃に出る軍で小規模な戦闘が頻発しており、剣を交えずとも堀や柵を挟んで矢を撃ち合う矢戦が続く。雨の様に矢が飛び交い、巨石が宙を舞って櫓を吹き飛ばす。地下には坑道が掘られ、胸壁や連盾が延々と連なっている。さながら第一次世界大戦の塹壕戦の様相を呈していた。この種の陣地戦では、経済力に勝る袁紹軍の方が圧倒的有利であった。沮授や田豊の策によるこの正攻法に付け入る隙はなく、数か月にわたり消耗戦が繰り広げられた。戦いが長期化するにつれて、袁紹軍に比べて補給能力も総戦力でも劣る曹操軍は、物資・食糧が不足し始め、交代する予備兵力が少ないために兵は疲労し始めた。万策尽きた感のある曹操陣営は窮地に追い込まれた。配下の武将も離反の動きを見せ始めた。万事に慎重な袁紹が「曹操は手も足も出せまい」と勝利を確信するほどだった。逆に曹操は許都の荀彧に向けて「物資も不足し、兵も少ない。撤退するべきだろうか」という弱気な手紙を出している。荀彧は「袁紹軍は必ずしも一枚岩ではありません。必ず好機が訪れます。それまで耐えるだけでよいのです」と返書を送っている。

そしてここで、曹操に天佑が訪れる。袁紹に進言を無視され続け、さらに一族の収賄を叱られた許攸が、袁紹の下を去って投降してきたのである。許攸は、淳于瓊軍が運んできて守っている烏巣の食糧物資を攻撃する事を進言する。許攸は言う。

「袁紹軍の物資集積所である烏巣の守りは淳于瓊が勤めていますが、彼は攻めの将で守りの将ではありません。袁紹軍と同じ装備をして哨戒線を突破し、烏巣を奇襲すれば一挙に戦況を覆すことができましょう」

これに加えて荀攸、賈詡も賛成する。

「これぞ天佑です。この機を逃してはなりません」

困窮していた曹操にはほかに戦況を挽回する選択肢もなかったのだが、曹操は一刻も経たないうちに戦備を整えて奇襲を実行に移す。曹操は本陣に伏兵を配置して于禁らを残し、自らは精兵5千を率いて烏巣を急襲した。時は夜半に差し掛かり、夜襲となった。烏巣は大混乱に陥り、その防備はあっけなく崩れ、ため込んでいた物資は炎に包まれた。烏巣方面の空が赤く染まったのを見て、補給が失われたのを理解した袁紹は、郭図の進言で張郃、高覧を差し向けて手薄になったはずの曹本陣を攻撃した。沮授は「曹操がそのような単純な失策を犯すとは思えません。必ず伏兵がいるはずです」と諌め、張郃、高覧もこれに賛同したが、袁紹はこれを無視した。そして張郃、高覧の率いる5万の軍は、これを予期していた曹操軍の于禁らが率いる伏兵に撃退された。その上、張郃、高覧は責任を逃れようとした郭図から讒言されたことを知り曹操軍に降伏してしまう。上将を大勢失い、兵糧を焼き払われた袁紹軍は大軍ゆえに軍を維持できず、総退却を余儀なくされた、官渡の戦いは曹操軍の部分的な勝利となった。しかし、袁紹軍を退却に追い込んだとはいえ、曹操軍も疲労の極地であり、物資も枯渇しているので、未だ後方に余力のある袁紹軍を追撃することは出来なかった。双方とも傷を癒し、戦いが続くかに見えた。。

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