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第7話 なぞの人影

サブタイつけてみました

感想お待ちしております

「で、そのモンスターってのはどんなやつなんだ」


「へえ、それが」


「まてっ!」


 暗い道の先にモンスターはいた。


 なんとそれは……


「ゾンビじゃないか!」


 俺は槍を構えた。

「くそ、キャラバンめ。俺をこき使うことしか知らんのか」

 愚痴っていても始まらない。

 俺はうごめくゾンビたちを自慢の槍で粉々に粉砕した。

 見るとあたりも都市風景だ。もうひとつのVRゲームから侵蝕したということだろう。

 アンバランスな世界を俺は走った。

 あちこちで火事が起きている。

「くっそおおおおおおおおお!!」

 槍で倒しても倒しても敵がポップしてくる。

 しかも、

「ぐあーっ!」

 キャラバンの雑魚が感染していた。何をやってるんだ。

 俺は雑魚に飛び掛ってそいつを貫いた。

「ぐふっ」

「弱者に生きる明日はない!」


 俺はそいつを蹴倒して、感染拡大したキャラバンを全滅させた。

 これではなんのために任務を受けたか分からない。

 世の中こんなことばっかりだ。

 馬車の中からフェルとケステスとウォデスが現れて俺に加勢してくる。

 それでいい。それが仲間というものだ。

 俺のために手足となって働け!

「うおおおおおおおおおおお!!!」

 特大のゾンビを火炎魔法で焼き払う。

 俗に言うデブゾンビだ。くそ、俺の腕にさわるな!

「ぐああああああああ」

「っ!? ハルトーっ!」

「なんだこれは、これが、ゾンビウイルス」

「しっかりして。ケステス、回復魔法を」

「はい!」


 ぱしゅううん

 ケステスの杖から白い煙が出て俺に触れた。


「ぎゅああああああああああああ!!!」

「っ!? そっか、ウイルスに感染しているから回復させるとダメージを受けるのね!」

「冷静に言ってるな馬鹿! やめろ、くそ、やめろと言ってるだろ!」

 俺はケステスの頬を張った。

「ハルトさん」

「いいか、俺のことをもっとよく考えろ」

「はい……」

 ケステスは頬を赤らめている。

「ぐううう、ぬおおおおおおおお!!!」

 俺はスキル『浄化の怒り』を発動させた。

 毒状態を吹き飛ばすスキルだがゾンビウイルスにも効いたらしい。

「仲間に攻撃されるとは分からなかったが、ゾンビごときにやられる俺では」

 と言いかけたところで竜型のゾンビが現れた。


「なにっ!? ぐおおおおおお」

 噛み付かれた。そのまま崖に何度もたたきつけられる。ただれた皮膚とはがれかけたうろこの奥から、ドラゴンゾンビの湿った瞳が俺を見ていた。

「くそがあああああああああああ」

 これまでか、と覚悟を決めたところでドラゴンゾンビの頭が吹っ飛んだ。

「誰だ!」

 見ると木陰に黒い人影があった。

「待て!」

「いまはそれどころではないはず」

「それもそうだな」


 俺は気を取りなおして周囲のゾンビの大群と再び向かい合った。

 しゅばばばん、と音を立てて、俺の槍が三度翻った。

 細切れになったゾンビが地面に落ちる。

「よし、これで最後だ。名を名乗れ、貴様!」

 黒い人影が俺たちの前に現れた。

 フードを取る。

 銀髪の少女だった。

「君は……?」

「私はロノイ。SiTYのランカープレイヤー、だった」

 FPS畑のプレイヤーらしい。

 このデスゲームに取り込まれたしまったようだ。

「どういう状況なのか詳しい説明が欲しい」

「それなら俺たちと手を組め。俺たちはこの世界DESTINYがどうなっているのか知っている」

 俺たちはこれまでのいきさつを話した。


 銀髪のロノイはふむ、と顎に手をやって考え込んだ。

「なるほど」

「分かってくれたか。さあ俺たちと手を組め。見たところ君はスナイパーのようだな。遠距離攻撃者は重要な戦力になる。俺たちと一緒に魔王を倒そう!」

 その魔王が俺なわけだが。

「わかった。でもその前に」

「なんだ」

 いきなり銀髪のロノイは服を脱ぎ始めた。一糸まとわぬ姿になる。

「っ!」

「このFPS姿では目立つ。あなたたちと同じ洋服がほしい」

「ちょ、ちょっと! ハルトの前になんてものをさらしてんのよ!」

 フェルが騒ぎ出しケステスが失神した。ウォデスはゾンビたちから使えそうなアイテムを剥ぎ取っている。

「さあ、服を」

「あ、ああ。フェル、お前の予備装備をくれてやれ」

「なんであたしが」と言いながらもフェルは俺の言うとおりにした。女はそれでいいのだ。


 すっかりDEN風になったロノイは、ライフルで一つの方向を示した。

「あの向こうに私の仲間たちがいる。彼らはゾンビに対抗する武器を持っている。あなたたちもそれを持つべき」

「ならば合流だな」

「そういうことになる」

 俺たちはキャラバンが残していった馬車から御者の死体を蹴落とした。パリン、と死後硬直という名の静死シークエンスに入っていたアバターが粉々になる。

「ふっ、雑魚が。俺より弱いものはすべからくこうなるのだ」

「ハルト、あんた魔王みたいよ」

 フェルを無視して、俺はウォデスを新たな御者に指名し、馬車を発進させた。

 ロノイが俺を見ている。


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