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第21話 平等、それが彼の求めしもの


 そう。そうして俺は無事に苦しみから解放されたはずだった。

 しかし邪神のやつはクソ野郎だから俺を不愉快にさせることにかけては天下一品なのだ。

 うう、頭が痛い。

 なんでこんなに痛むんだ。

 きっとコピーされたときの弊害だろう。


 なんと、俺は女神に回収される寸前、サーバーに残っていたメンタルデータからコピーされてしまったのだ。俺は本物のミッドハルトのコピーなのだ。

 そのまま遥か遠くのマップへ転送されてしまってこのザマだ。

 頭痛がひどい。すべて邪神のせいだ。ヤツさえ倒せれば、俺の頭痛もきっとよくなる。

 俺はひとまず戦場から離れることにした。ここはFPS色の強いマップで、ゾンビを相手に突撃戦闘を演じているプレイヤーが多い。

 そんなのはゴメンだ。うるさくていやだ。

 俺はもっと安らかで苦しみのない世界がいいのだ。

 もうやめてくれ、つらいのはうんざりだ。

 俺は暖かい毛布に包まりたい。

 そう思って、廃墟の一角で眠っていた俺を毛布が包み込んだ。

 これが奇跡? 俺は目覚めた。

 畜生、頭痛がひどい、どうして。

 なんでだ。


 俺はクラクラしながら泣きそうな顔で天井を見上げた。

 茶色い髪の毛をした女の子が俺を介抱してくれていた。

 君は、という俺に少女が笑う。

「気がつきました? 表で倒れていたんですよ」

「俺、頭痛、ひどく」

「いま、メンタルバランスを安定させるお薬を投与しましたから、すぐによくなりますよ」

「本当?」

「ええ、本当です。信じてください」

 にっこり笑う少女に俺も笑みを返した。

 疲れていた。

 度重なる激戦が俺を疲労の坩堝へと追いやっていたのだ。

 大変な眼にあった。

 すごく疲れていた。

 どうしてこんな。

 どうして。


「世の中はひどいことばっかりだ」

「ええ、本当に。ですから、あなたの力が必要なんです。ハルトさん」

「どうして、俺の名前を?」

「それは、私がフェルの友人だからです」

「なんだと、あの赤毛の盗賊とか」

「ええ。もっとも、彼女はもう遠くへいってしまいましたが」

「どこに?」

「ワールドスターター持ちを倒しに、です」

 俺は毛布をアタマから被った。

「お願いだ。もうひどいことを言わないでくれ。何も俺に考えさせないでくれ」

「分かっています。大丈夫ですよ、このへんはモンスターもゾンビも出ませんから。あまり、ですけど」

「そうなのか」

「いつまでだって、いていいんです。あなたを脅かすものは、どこにも、なんにも、ありません。何も心配しなくていいんですよ。あなたは救われたんです」

「救われた、そうか、そうかもしれないな」

「ええ。今日は」

 といって、フェルの友人は寝ている俺にシチューを飲ませてくれた。


「これを飲んで眠ってください。起きたら、私の名前を教えますよ」

「それは、楽しみ、だ」

 俺はまどろみ、夢の中に飲み込まれていった。ひどい頭痛がして、耐え難い。ああ、頭痛、これさえなければ。健康な身体が欲しいとずっと思っていたのに、VR世界へきてまで、俺は頭痛に苦しめられるのか。邪神のやつめ、絶対に許さん。

 やつが未来の俺だというなら、その前にこの世界を作った創造神とでもいうべき存在がいるはず。

 確か、名前が、あった。

 グリニ……

「グリニディケイド……!!」

 それこそが邪神の上をいく魔神。

 ヤツを倒すことが、俺の、野望……

 必ず償いをさせて、や、る……


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