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第10話 ハルト成長! 伝説の二刀流


 見事山賊を倒した俺たちは街道を進み小さな町に戦車を乗り入れた。

 ベキリオスの町だ。

 元々は戦士の町で、この町から数多くの歴戦の男女が輩出した。

 という設定。

 俺は馬小屋に戦車を乗り込ませてぶっ潰した。

「何をするんだ!!」

 NPCに怒られたが俺は無視した。所詮はデータだ。

 ディルバートという宿屋に入った。

「つかれたね~」

「そうですね、戦車の操縦も不慣れでしたし」

「おなかすいた」

 みんな好き勝手なところへ入っていった。部屋に、という意味だ。

「ハルト、暗殺者に気をつけてね」

「そんなやつがいるとすればお前だ」

「ふふふ」

 そんな意味のない会話をフェルと共にかわす。

 道具屋でアクセサリを買ったらしく、なんだか、雰囲気がいつもと違う。

 銀色の光が耳元でチラついている。

 可愛いな。

 だが、そう思っているのは俺だけではなかったらしい。



 深夜。

 俺はベッドに横になっていた。

 これまでのことを思い出す。

 俺は魔王だ。だが、どうやってそれを活かせるだろう。

 とりあえず俺が倒されればこの世界から解放されるらしいが、それは駄目だ。

 何か別の方法を考えないと。

 この世界は好きだがログアウトできないのは不愉快だ。

 なんとか、神を倒せればいいのだが。

 この俺のデータなら神さえ倒せる。その自信がある。

 だが、今はとにかく、傷を癒すことだ。

 あの山賊と出会ってからこの町へ着くまでに二度も襲撃されたのだ。

 俺だって疲れる。

 まあいい。すべては明日だ。

 明日考えればいい。

 そう思ったところでなにか眠気のようなものを感じたのだが、物音がして俺は起き上がった。


 部屋の外に出る。

 闇に気配がある。

 このままではいけない。

 これは敵の気配だ。

「誰だ!!」

 俺は叫んで暗闇に手を伸ばした。

 そのまま地面に引き倒す。つかんでいたのは、人影だった。

「誰だてめえ!」

「ひっ」

 俺は敵の身体をまさぐった。女だった。

「くそが、ぶちのめしてやる」

「やめて! 私は人買いよ、あなたの仲間を売ろうと思って」

「なおさら殴らなきゃいけないようだな」

「やめてええええええ」

 俺は光魔法を使ってあかりをつけた。

 すると、

「おお」

 女は美少女だった。金髪碧眼のサイドテールだ。

「俺は優しいんだ、喜べ」

「はい」

「お前、俺の奴隷になれ」

「はい」

 金髪は素直だった。

 俺のカリスマの為せるわざであろう。

「名前は?」

「シタン」

 シタンか、いい名前だ。

「お前は俺の夜伽をするんだ」

「はい」

 俺は部屋に戻ってお楽しみにした。

 部屋が何度もギシギシ揺れた。



 翌朝。

「というわけで新しい仲間、いや奴隷のシタンだ。お前らもこき使ってやってくれ。こいつはそれが喜びなんだ」

「はい! 私シタンです。人買いをやっていました。今は反省して奴隷なう」

 俺は金髪を撫でた。

 フェルがあきれている。

「あんたのその節操のなさには神がかりすら感じるわ」

「褒めるな」

「褒めてないわよ」

「とにかく、奴隷商人ジョブが手に入ったんだ。これからは奴隷を買うことで戦力を補強することもできる。分かったな」

「分かったわよ」

「ならいい。ではシタン、俺たちは仲間が欲しい。ここらで一番奴隷売買が盛んなところへ連れていってくれ」

「わかりました!」

 シタンに連れられて俺たちは外へ出た。

 すると、

「ぐあああああああああ」

 俺はいきなり氷魔法の槍に貫かれた。

「くそ、ダメージを受けてしまった!」

「ハルトさん! いま治します」

 ケステスが回復魔法を使ってくれた。

「がるるるる」

 ウォデスが四つんばいになってどこかへいってしまった。敵を追撃しにいったのだろう。

 金髪のシタンが俺を足蹴にした。

「奴隷なんてまっぴらよ、この馬鹿! まんまと騙されてくれたわね。おかげで私は操を失った……ミッドハルト、あなたは万死に値するわ!」

「ならお前は億死に値する! 俺に逆らうなど正気の沙汰とは思えん」

 俺はシタンをビンタしてその場に崩れ落ちさせると、仲間と思しき連中へ攻め込んでいった。

「ミッドハルト! 今日こそ貴様を倒す!」

「恨みだ恨みだ!」

 確かに俺はよく人の恨みを買う。なぜだろう?

 俺はマギルヌスを出した。ロングソードも装備する。

 二刀流だ。

「喰らうがいい、我が魔技を」

「なんだと」

「貴様、骨抜きになったんじゃ!?」

 シタンがどんな情報を与えたのやら。

 チャームの魔法がこの俺に効くとでも?

 これだから下賎の民の民度の低さは困る。


「はああああああああああああ!!」

 俺の一撃がすべてを破壊した。

 ばたばたと雑魚どもが倒れていく。

「う、うう」

「俺に逆らうからだ」

「そのとおりだ。俺たちは馬鹿だった。ミッドハルト、いやハルトさま。どうか我々を経験値にして、魔王を倒してください」

「わかった! 任せろ」

 馬鹿なやつだ。俺こそ魔王だというのに。

 俺は意気揚々と気絶したシタンを担ぎ上げ、戦車に乗り込んだ。


 はっはっは!

 俺の覇道はまだまだこれからだ!!!


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