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狭間 2
カーテンの隙間からのぞく朝の日差しに少女は眉を潜める。
「ん…」
うっすらと開いた目を軽くこすれば、
「あれ…?」
濡れている。
「……」
ボリボリと頭を掻き、大きな欠伸をひとつする。枕元に目をやれば、気持ち良さげに熟睡する砂色の鼬が一匹。
ベッドから立ち上がり、室内に備えつけられた洗面所へと向かう。
バシャバシャと顔を洗い、鏡を覗き込めばやはり目が赤い。
再びバシャバシャと顔を洗い、今度は鏡を確認する事なくタオルでゴシゴシと顔を拭く。
一度、友人たる少女に顔をそんなに擦るなとしこたま注意を受けたが、そんなものは知った事ではない。
その手が不意に止まる。
「まだ、憶えてたんだ…」
タオルに顔をうずめながら少女は他人事のようにぽつりと呟いた。
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