友人と楽器庫の謎
今年2回目の入学式が行われ、クラス分けをされ、何故か今私は2人のお友達が出来ていた。
2人とも私と同じ『ゴールドバーグクラス』。
「霖、学校探検に行こう!」
「いきましょ♪」
「・・・え、あ、はい。」
2人に両腕を引かれ、つかの間の学院内探検が始まった。
左にはコニーと名乗った茶髪のやんちゃそうな少年、右にはふわふわのブロンドとクリクリしている琥珀色の瞳が印象深い少女が居る。
私達はまだ慣れていない学院内でうろうろうろ。
すると丁度立ち止っていた前の教室の扉が開き、偶然にも中からレオと黒髪の知らない人が出て来た。
「あ。」
「…やぁ、入学おめでとう。」
レオは私を見てニヤニヤしている。気色の悪い奴だ。
「霖ちゃん、友達できたんだ。」「む、なんだよこのはげちょびん。」
「(イラっ)相変わらず口の減らない奴だ。あ、そうそう、こちらアル・リーガン、俺の唯一無二の友。」
「よろしく。」
すらりと伸びたアルはにっこり笑った。
その姿はレオよりも全然かっこよく見えた。
「レオ友達いたんだ。」
「君少し黙ろうか?」
アルがクスクスと笑う。
他愛のない口喧嘩を繰り返していたら、両端から服の裾を引っ張られた。
「?」
「ねぇ霖!ここは図書館に行くべきよね?!」
「ん?」
「何言ってるのさ!図書館なんてつまらない所、僕は行きたくない!それより楽器庫を見に行こうよ。この学院には沢山の珍しい楽器が置いてあるんだ!」
「へぇ、それは見てみたいかも。」
私の一言で決まった目的地。
アルは用事が有るからとレオと別れ、何故かレオも着いてきた。
◆◆◆◆◆
数々の楽器が壁一面の棚に並べられていた。
横笛の類いの物だけでも相当な数だ。
「こんなに楽器があっても誰が使うのかしら?」
まるでカタツムリの様な楽器を手にしたジェシカが呟く。
答えたのはレオだった。
三味線とギターが合体したような形に、アラベスク模様の施してある弓をじっと見つめたまま、小さな声で。
「音には、今の魔術力ではとてもじゃないけれど解明出来ない『力』があるんだ。その計り知れない『力』は、その音を奏でる者によって異なるけれどね。」
小さくても良く通るレオの声を聞きながら私は、オカリナの様な楽器に意識をとられた。
「?」
不思議に思いそっと手に持ってみると意外とずっしりしている。
「それぞれ楽器には、作った人のイニシャルか名前が刻んである。そして魔力も宿っているんだ。」
レオの言葉に、私はそのオカリナの様な楽器をまんべんなく見る。どこかに作った人の名前が刻んであるはずだ。
あった!
小さくて読みずらい。
「………え………?」
ほんの小さな声がレオに聞こえたらしく、レオが顔をあげる。
だが、今そんなのに気を回している暇ではなかった。
そこに刻まれていたのは、
Kasumi Kusunoki
「嘘、でしょ………。」
紛れもない、写真でしか見たことのない、母の名だった。