深夜の大騒ぎ
「暁先輩、俺達ここに居て平気なんですか?」
コニーがサンダーと遊びながら暁さんに聞く。
「えぇ、平気ですよ。心配いりません。」
どうやらコニーもジェシカも、一晩中一緒に居てくれるらしい。
暁さんはといえば、窓辺の椅子に座り窓の外を凝視している。
「それでさ!ジェシカったら怪獣みたいに吠えながら僕の部屋に来てさ!」
「んもぅ!あの時は私も必死だったのよ!」
「男子寮が引っ繰り返ったみたいだったよ!」
よく解らない説明をするコニーに、ジェシカが頬を膨らませる。 そんなジェシカを見るコニーの頬がほんのり赤くなっていた事を私は見逃さなかった。
しばらくニヤニヤしながら二人の他愛のない話を聞いていると、大きな雷が近くの森に落ちた。
***
「で?誰の指示かと聞いてるんだが…?」
俺は地面に転がっている敵の親玉的な奴に問い掛けた。
いかにも悪を気取ったひ弱な男だ。エルモといい、この事件、貧弱な男が関連しているらしい。
中々答えない男に痺れを切らしていた俺に後ろからもの凄い殺気が漂ってきた。
恐る恐る振り向けば、神楽が腕を組んで俺の前にいる奴を睨んでいる。
殺気が痛い、早くなんとかしないと。
「答えないんなら強行手段でいくぞ!」
片足を奴の肩口に掛けながら、腹の底から声を出すと、微かにひぃっと声が聞こえた。
生憎今、ルーシィが不在だ。
個人情報を得られない。
全く面倒臭いが仕方ない。
俺は黒いローブに手を入れ本を掴む。
と、やや同時に俺の横を何かが飛んでいった。
「ひゃぁあ!!」
奴の叫び声に目を向けると、奴の周りに無数のナイフが刺さっていた。
「さっさと吐けぇ!!しまいにはメッタ刺しにすんぞ!!」
神楽は俺を軽くよけ、奴に今も一振りで逝ってしまいそうな刀を、奴の首周りにちらつかせる。
「喋ります喋ります!しゃ、喋りますから!!」
死人の様に顔を真っ青にした奴は慌てふためき話をしはじめた。
***
「フンフン♪フン~♪」
医療関係を受け持つホヴィ先生は、薬草の沢山入った大きな籠を持って、森から学校に帰る頃だった。
夜に月の魔力を沢山吸い取った薬草は、効き目が倍以上になる。 そんな時間を見計らって、普段医務室にしるホヴィ先生は鼻歌混じりに薬草を刈っていた。
すると遠くで何かが爆発するような音が聞こえた。
しかしホヴィ先生。
「まぁ!お祭りでもやっているのかしら!」
只今深夜の午前2時。
明らかに違うが、どうでもよさげにキャンベリー学院への道を歩く。
暫く歩いていたら、森に人影がぽつん、と立っているのが見えた。
ホヴィ先生はそっと木の影に隠れる。
そっと様子を伺うが、立ったまた動かない。
じっと前を睨んでいるようだ。 しかし、その横顔に見覚えがあった。
「あらやだ!エルモ先生じゃない!」
ホヴィ先生はエルモ先生のただならぬ殺気を察して、木の影に隠れて様子を見ている事にした。