友人と敵
鬱蒼とした森の中を進む影が二つ。
「どうだ、何か気配はあるか?」
そう聞いてきたのは神楽だ。
「いや、無い。もう少し奥まで行くか。」
「あぁ。」
***
「ん?」
私と暁さんとサンダーしかいない静かな部屋に、暁さんのきょとんとした声が通る。
「どうしたんですか?」
私は暁さんの顔を見て答えを待つが、答えを聞く前に騒がしく部屋に入ってくるパジャマ姿の友人二人を見た。
「霖!!」
「大丈夫か!?」
凄い気迫だ。
二人共息を荒くして、目がかっぴらいてる。
暁さんの方はというと、そんな二人を見てニッコリと微笑んでいた。
さっきの反応はこの二人に気がついたからなのだろう。
「どうしたの?二人共。」
「ジェシカがカード!」
「危険信号だったのよ!」
「標的は親友とか言ってんだ!」
「私びっくりしちゃって!」
「僕だって!」
…………全くわからん。
後ろからクスクスと暁さんが笑う声がする。
ジェシカとコニーが暁さんに初めて気付き、硬直した。
***
「レオ!!」
緊迫した叫び声を上げたのは神楽ちゃんだ。
周りには黒布を被った集団が俺達を包囲している。
何かの宗教団体みたいだ。
俺の後ろで、神楽が操る日本刀の刃が擦れる音がする。
どうやら戦闘体制になってしまった様だ。
「レオ、私はこのいけ好かない連中をミンチにする。」
本当にやりかねない。
「殺しちゃダメ。」
生かして喋るべき事を吐いて貰わなければ。
***
「なんだー。良かった!」
「これで安心だね。」
ジェシカとコニーが安堵している。
どうやらジェシカが毎晩必ずするタロット占いで酷い結果が出てしまい、不安に思ったジェシカはありとあらゆる占いを試した所、親友に災いあり、と出たらしく、男子寮に乗り込み荒々しくコニーを連れ出し、私の部屋に来たらしいのだ。
「ありがとう、心配してくれて。」
だが、私の部屋に暁さんが居たせいか、何を勘違いしたのか暁さんが災いの元だと勘違いしたらしい二人は暁さんに飛び掛かろうとした。
私の必死の説得、説明で大分落ち着いた。
話は長くなったが、部屋が血塗れになるよりはいくらかマシだ。
「ホッとしたらお腹空いちゃったね。」
私を真ん中にジェシカとコニーはベッドに座り込む。
すると右隣のコニーのお腹がぐぅとなった。
「肉まん食べるかい?」
暁さんがカバンの中から肉まんを四つ出し、私達に分けてくれた。暁さんが一口頬張ってからいう。
「三人仲良しなんだね。」
私達はお互いに目を見合わせる。
そしていつもみたいに笑った。
***
ガッと分厚い本が開きバラバラと勢いよくページが捲れる。
それと同時に足元に二重のペンタクルが現れ、止まったページから長い剣が出てくる。
それを持ったレオは飛び掛かってくる敵をメッタ打ちにする。
私達と敵達はレオが逃げられぬ様に張った炎の膜で覆われた中に居る。
炎の熱で少し動くだけで汗が出てきて、黒い前髪が顔に張りつく。周りの森も、炎の所為で燃え上がる。
これは自然破壊だが、ここは魔法都市。
「後で治癒能力のある暁に治してもらおう。」
勢いよく振り落とした刀から、呻き声と血が出る。
ある程度やった所で、レオの方を見る。
本を片手に、本から召喚される武器。
それに連動して七色に輝く二重ペンタクル。
見るたびに思う。
「派手だな。」
だが、流石ゴールドバーグ首席なだけある。
あの爆発的な魔力と威圧感、オルムステッドでも充分やっていける。
だが、ゴールドバーグ特有のあのスピード感、電光石火の早さで敵を圧倒して行く姿はオルムステッドにはない。
シュッと後ろに刀を後ろにやると、二人の人影が倒れる。
残りは後少し。
とっとと片付けて、この熱い空間から解放されたい。
こんにちは!
今日は戦闘シーンがあって、レオと神楽ちゃんに戦ってもらいました♪
戦闘シーン苦手なので、これから頑張ります!