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SPARK CHANGE!!  作者: 0:02
14/19

夜の密会



「おい!霖起きろ!」


ぺちぺちと頬を叩かれ目を覚ます。いつの間にか寝ていた様だ。 

むっくり上半身をお越し、部屋を見渡す。 

居るはずのない人を見つけてしまい、完全に脳が覚醒する。 


「神楽さん、暁さん。……何で私の部屋に?」


向かって左には行儀良く座り肉まんを頬張った暁さんが居、右にはスカートにも関わらず胡坐(あぐら)をかき、鋭い眼光を向ける神楽さんが居た。 


「神楽が可愛い後輩の為に力を貸したいってね。」


暁さんがニッコリと笑う。 

何だかひどく安心する笑顔だ。 それに対し、神楽さんはこれまた大変凶器的な目を暁に向けた。


「そんなんじゃない!暁、貴様は一言多いんだ!」


クスクス笑う暁さんと言い訳をする神楽さんを尻目に、レオが口を挟む。 


「俺が呼んだんだ。二人共心強い味方だから安心しろ。」


口喧嘩を終えたらしい神楽さんが腕を組ながら私を見据える。 


「それで、何があった。」


私は今日の出来事をなるべく細かく説明した。 

話し終わるまで静かに話を聞いていた神楽さんと暁さんは、一度顔を見合わせてから口を開く。 


「霖、恐らく君に草を摂ってきて欲しいと頼んだディータは偽物だ。」


え? 


「モヒカン草はそう簡単にはとれないからね。自然が多い第9区域の奥の方まで行かないと採れない草。」


実際に在るのかモヒカン草。 


「第9区域に霖をおびき寄せる罠だな。」

「でもディータ先生が偽物って、そんな事どうやってするんですか?」


きょとんとする私に暁さんがニッコリ微笑む。 

本当にいい笑顔だ。 


「変装術って言ってね。服装や髪型ならまだしも、顔を変えるとなると相当な魔力とモヒカン草が必要なんだ。」


そんなものに使うのかモヒカン草。 


「………でもどうしてそんな事までして私を森に?」


私の問いは虚しく部屋に響いた。神楽さんも暁さんもレオも難しい顔をして考え込んでいる。 


すると今まで私の横で眠っていたカラスのサンダーがモソモソと動きだした。


「どうしたのサンダー?」

「何かが…。」

「え?何?」


私とサンダーの会話にレオ達が顔を上げる。 


「お嬢、何か、何かがこっちに近づいてくるでやんす。」

「何かって?」


サンダーのひ弱だが真剣な声に、私達は顔を見合わせた。 


「ったく、次から次へと何なんだ!」


レオは立ち上がると窓辺に立ち、空を見上げる。 


レオの次から次と言う言葉に私も頭に浮かんで来る事がある。 


この世界に来たのはともかく、楽器庫で見た母親の名前、魔法省の役員と何か後ろめたい事しているエルモ先生、母親の名前を知っていて私に空の力があると言った予言術教師、そして今日の出来事………。 


この短期間で起こった事が多すぎる。 


「一体、この学院で何が起こっているの?」

「暁!霖を頼んだぞ!」

「解ったよ。任せて。」


神楽さんの言葉にしっかり頷く暁。 


「よっし、じゃぁ行きますか。神楽ちゃん。」

「あぁ、頼むぞ。3年ゴールドバーグクラス首席レオ・クレネル君。」


え?首席? 


神楽さんはレオの手をしっかり掴むと力強く地を蹴った。 

その瞬間二人が消えてしまった。 


「レオは私達3年生の中でも有能な魔法使いなんだ。勿論神楽もね。」


知らなかった。 


「そうなんですか。神楽さんはともかく、レオが首席なんて。」


私の言葉に暁は柔らかく笑った。 


「さて、今からは何が起こるか解らない。いざとなったら全力で守るよ。」


暁が立ち上がりながら私を見下ろす。 


「ありがとうございます!」


まだこの世界の事も解らない、魔法も全然使えない私にとって、凄く頼りになる。 


私達は空を見上げた。 





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