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泉の精霊

 初回ポイントとはなんぞや。


 奥の部屋に入ると腕に水が張り付き固定される。


『はーい!それでは手術はいります!』


 手術ってなによー!


 泉の精霊スイートピーがなにやら髪を触ったり、目元に触れたり唇をなぞってみたり。


 でも優しい感じがして安心する。


 私は目を閉じて泉の精霊に身体を預けた。


「うぅーん」


 気がつくと私は泉の横で寝ていた。


 かなり土まみれになっていたので、顔を洗ったんだけど、私の身体、違和感があるんだよね。


 なんか服が大きい感じするし世界が大きくなった様な気がする。


 こうなったら確認するしかない!


 服の中からスマホを出し内部カメラに切り替える。


「!?」


 私はビックリしてスマホを思わず落としてしまう。


 そこには私が昔、童話で見ていたエルフにそっくりな姿が。


「カトレア・グレース」


 大好きだった童話のエルフの名前である。


 好奇心旺盛な小さなエルフが色んな場所に旅立って物語を絵本にしていく話。


 エルフの世界は小さく全てが大きな世界と繋がってたんだよね。


 これを見て私も旅をしたくなって通訳頑張ったり写真を撮ったり、図鑑づくりに、はまったんだよね。


 もう一度考えてみよう。


 私は世界を知りたいと願った。


 たまたま女神が聞いていた。


 知らない土地に来たけど大事な書斎もあるし、私は色んな場所を見たりしてきたおかげでいろんなものが図鑑にでき、写真がカード化できて食べ物だって出せる。


 多分この子はカトレア・グレースで間違いないだろう。


 私はこの子の世界にたどり着いてしまったみたい。


 ただ違うのは私自身。


 通訳をしてた私がいないのだ。


 あの泉の精霊スイートピーに見せられた写真の私。


 確認したけどコンプリートブックの中にないの。


 確信はないけど女神に私の身体ごと世界を取られた気がする。


 代わりに私はカトレア・グレースとなって世界を文字どおり、世界を撮って発展していかなければ元の世界に帰る事は出来ないのだと思う。


「大変なことになってしまった」


 考えているうちにスマホが鳴る。


 スマホの文字を確認してみる。


『コンプリートブックのページが増えました』


 コンプリートブック《マニュアル編》。


 項目。


 評判について。【発展に必要なものを見つけることでポイントが振り込まれる】。


 教育について【発展に必要なものを与えることでポイントが振り込まれる】。


 ディストピア進捗状況。図鑑貢献度 5/100%。


 ディストピアで現時点で撮った写真は88枚でおおよそ16枚で1%撮っている計算になっている。


 そういえば建築物はどうなるんだろ?




 大きさと品質が変わるってかいてあるけど。



 お気に入りの写真をコンプリートブックにセットし、いざ発動!


 写真の中央に写っているのはコーヒー専門店、マクシムだ。


 やはりこれがないとやっていけない。


 サイフォン式のコーヒーを扱うお店であの淹れている時間を待つ楽しみがたまらないのだ。


 店長は私の叔父さんだったからよく写真はとってたんだよね。


 あとはできるだけ詳しく書いてと……。


【コーヒー専門店、マクシムが女神に認知されました。中の情報提供を求めています】。


 外観はコーヒー専門店そのものなんだけど中まで反映されてないってことね。


 おおっ!!でたよー。


 んんっ?大きさが私サイズなんだね。


 とりあえず入ってみようかな。


 中はまだ空間が白い空間になっていてワンフロアになっている。


 中の写真をセットして図鑑に追加する。


 カード化と共に周りがまぶしく光ると中の構造が変わっていく。


《女神がコーヒー専門店を理解しました。

 コーヒー豆、椅子、机、内装、サイフォン式コーヒーメーカーを認知しました。○○の叔父昌三を認知しました》。


 叔父?えっ?昌三しょうぞうおじさん?


 確かに脇に写ってたけど中心にはいなかったはず⋯⋯。


 昌三おじさんはカップを拭いている。しかしなんか狭い。


 椅子と机の幅近いし、バーカウンターにいるおじさんとの距離がほぼない。


「客か⋯⋯」


 昌三おじさんは基本無口な人で無愛想な感じだけどすごく優しいんだよね。


 最近は忙しくて会いにいくこともできずにいたから嬉しい。


 懐かしいな。


 でも今の私は財布(通貨)持ってないからこの場所であの至福のひとときは味わうことができない。


 うなだれていると様子に気付いた昌三がコーヒーを淹れ始めた。


「飲むと良い。俺のおごりだ」


 淹れられたコーヒーを両手でつかみ香りを楽しみながら一口味わう。


 んー。うまい。


 嬉しくてとがった耳がヒクヒク動く。


 多分またここに来ても昌三叔父さんは私のことは覚えて無いんだろうな。


 生物の記憶は引き継がないとコンプリートブックに説明が書いてあったけど、技術面でコーヒーを淹れる行為ができたことでわかった。


 ただ客を相手にしているだけなのだ。


 コーヒーを両手に持ちしばらくの間私はつかの間の休息を楽しんだ。

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