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(でも、やっぱり前とは変わったよな、副隊長……)


朝比奈はちらと千歳を横目で見ながら、ここ最近の上司の様子を思い返した。特務部隊でも二番手の地位に就く千歳は、仕事一筋の人間で、以前は自宅に帰らず隊舎で過ごす時間が圧倒的に多かった。


そんな千歳が、ここ最近は自宅に帰る日が増えたという事実は、実は隊内でもひそかに話題となっていることである。


『"たまに広い布団で寝たいときと、ゆっくり風呂に浸かりたいときだけ帰っている"って公言していた副隊長が、もうお帰りだぞ!!』

『これは台風の前触れなのでは!!』


そうやって「副隊長の帰宅」にざわついていた同僚たちのことを思い出し、朝比奈は思わず頬を緩めた。部下から、この言われようなのだから、千歳の仕事人間っぷりは相当なものだったのだ。


(となれば、やっぱり原因は奥さんしかないだろう)


結婚してしばらくの間は、変わりのない生活が続いていたようだったが、ここ最近の千歳は目に見えて機嫌が良さそうだった。


あまり感情を表に出すタイプではないので、表情の変化は分かりづらいものだが、長年「副隊長補佐」として隣に立ってきた朝比奈は、その変化をきちんと見抜いていた。


(あの仕事一筋の副隊長を、こうまでさせる女性って、どんな人なんだろう……。思い浮かぶのは百合子さんみたいな、キリッとしたタイプの女性だけど)


朝比奈が頭の中でそんな妄想を繰り広げているとき、「椿さん」とぽつり呟く声が隣から聞こえてきた。首を傾げた朝比奈が、千歳の視線の先を追うと、薄桃色に花模様の着物を纏った女性がそこに立っていた。

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