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「私がいつもベタベタくっつきにいってるわ」

「ベタベタ……っ⁈」

「ふふ、そうよ。隙さえあれば、ね」


 それから百合子は苦笑いを浮かべながら、言葉を継いだ。


「ほら、特務部隊の仕事って長期任務で家を長く空けることも多いでしょう?あの人、一応隊長だから忙しいみたいだし。それに──」


 と言ったところで、表情を暗くした百合子。


「……最近は鬼の出現が減ってきているとはいえ、いつ何時、何が起こるか分からないから」


 その言葉に椿の手がぴたりと止まった。いつ何時、何が起こるか分からない。それは、同じ特務部隊の夫をもつ椿も同じだったから。


 そんな椿の不安を感じ取ったのか、百合子は表情を明るくして「だからね」と笑んだ。


「一緒にいる間はうんと甘えたくて」


 頬を掻きながら少し恥ずかしそうに話す百合子に、椿はふと口元を綻ばせた。


「百合子さん、かわいいですね」

「やだ、もう!そんなこと言ってくれるの椿ちゃんくらいだわ」

「ケンカしたりしないんですか?」

「しょっちゅうあるわよ?私たち、幼馴染で昔からお互いのこと知っているから言葉に遠慮がないって言うか……」


 百合子は「でも、まあ結局私の方が折れちゃうんだけど」と苦笑したが、京介の話をするときはいつも幸せそうに見えた。


「……あの人を『好き』って自覚したときのこと、今でも覚えているわ。たくさんの人がいる中でも、すぐに見つけられちゃうの。名前を呼ばれたら嬉しくて、気づけば一日中あの人のこと考えていて。他の女の人と話しているのを見て、すごく嫌な気持ちになったとき、『ああ私って一人の男として、この人のこと好きなんだ』って思ったわ」


 そんな風に夫の京介のことを話す百合子を、椿は微笑みを浮かべながら見つめていた。


 その後も、最近新しくできた植物園や喫茶店の話と話題は尽きることなく会話が弾み、楽しいひとときを過ごした二人。気づけば百合子とのお茶会はあっという間に過ぎていた。

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