第9話 勝負の行方と瑠奈のご機嫌
はじめに硬式テニスのゲーム進行について補足しときます。
ポイントの数え方
0ポイント: ラブ (Love)
1ポイント: 15
2ポイント: 30
3ポイント: 40
4ポイント: ゲーム (Game)
デュース
両者が40ポイントで並んだ場合、デュース (Deuce) となります。
デュースの後、2ポイント連続で取った方がゲームを獲得します。
1ポイント取るとアドバンテージ (Advantage) となり、次のポイントを取るとゲームを獲得します。
セット:
1セットは通常6ゲーム先取で勝利します。ただし、相手より2ゲーム差をつける必要があります。
6-6になった場合、タイブレーク (Tiebreak) が行われます
タイブレークでは、先に7ポイントを取った方がセットを獲得しますが、2ポイント差が必要です。
「よかったの?」
「何が?」
次の日、僕と瑠奈はテニス部のコートで試合することにした。
瑠奈は申し訳なさそうにそう言ってくる。
彼女は何も悪くない。
悪いのは向こうにいる卑怯者達だ。
「だってえ~ちゃん、5セットも出来る身体じゃないでしょ」
「………」
瑠奈の言うように僕は三セットできるかは怪しい。
理由は左膝と右肘だ。
左膝の怪我はリハビリと日頃の運動やストレッチで持つだろうが、右肘は分からない。
日頃は球出しくらいでそこまで強打をしていないので、時と場合によっては持たない可能性がある。
加えて最短三セットだ。
もう一度テニス肘が発動する可能性はないとは言い切れないのだ。
「1セットにしてもらおう? そっちの方がいいよ」
「それは駄目だよ、瑠奈もわかってるでしょ?」
「そうだけど……」
瑠奈は不安そうな表情で見てくる。
僕の痛々しい姿をみているから心配するのは無理ない。
「心配してくれてありがとう」
彼女の目を見てそういうが、彼女の心配そうな表情は変わらなかった。
信用ないなぁ~。
これ以上はいう事はない。
僕はコートに入る。
最初の試合は僕と長門先輩だ。
「どっち?」
「ラフで」
ラケットを回しグリップの下のマークを見せてくる。
スムースか。
「サーブにしようかな」
そう言って彼は配置につこうとする。
太陽は……こっちか、ならいいや。
そうして僕も配置についた。
そうして試合を進めていく。
なるほど、そういう感じか。
ある程度打感を慣らしながらラリーを続ける。
そうして1セット目が終了し、ギリギリだがもぎ取ることができた。
四セットまではしなくて済むな。
相手は一セットとられて焦っている。
この程度で焦るなんて、やはり小者だ。
ドンドン試合が進んでいくにつれ、彼のミスが増える。
必死に点を取ろうとして攻撃的になり、撃たなくてもいい所で無理やり打っているのだ。
こうなれば、こっちは無理して打つ必要がなくなる。
無理せず返すだけで勝手にミスってくれるのだ。
これほど効率的な事はないだろう。
そうして三セットが終了した。
結果は7‐5・6‐1・6‐2で僕が勝利した。
「あとは任せたよ、瑠奈」
「……うん、任せて」
僕はベンチで一息つくと彼女に向かってそう言うと瑠奈はやる気満々にコートに入っていった。
まぁ、彼女なら負ける事はないだろう。
言っちゃあなんだが、ここの女子テニスの部員では彼女に勝つ可能性は低いだろう。
脚と肘は問題ないな。
痺れや痛みはないのを確認しながら彼女の試合を見る。
案の定というかなんというべきか、6‐0・6-0で完封していたのは言うまでもない。
今回のお話いかがでしたでしょうか?
もっと戦いの詳細を表現したかったのですが、今の僕にはこれが限界の様です……。
頼りになる瑠奈ちゃんでしたね。
なんというか、普段は可愛らしい子が格好良くなるというのは僕は大好きです。
それでは次回、また読んでくださると嬉しいです。
ブクマ・評価をしていただけると作品の自信になるので、していただけると僕が泣いて喜ぶかも?
それでは次回、お楽しみにしていてください!!