第7話むくれる幼馴染みのご機嫌取り 瑛太視点
瑠奈はむくれたまま僕一歩前を歩く形で僕らは帰路に着いている。
意味の分からん質問をされ、訳の分からないまま怒られ今に至る。
本当に彼女の情緒はどうなっているのだろうか?
そう思いながら歩いていると、ちょくちょく頬を膨らませ睨みつけてくる。
本当に、何をそこまで怒る必要があるのだろうか?
部活動に勧誘されるのはそこまで嫌なものだろうか?
彼女には才能がある、それを認めてくれる人がいるというのは嬉しいだろう。
ましてやそれを見込んでお願いしてきてくれるのだ。
類まれなる才が有りながら、悲しいかなこいつには欲というものが無いのだ。
海外に行けばもっと伸びると言われても強豪校に行くべきだと言われても彼女は頑なに行こうとしなかった。
まぁ、そのおかげで僕は彼女のサポートが出来るわけなのだが……。
海外や強豪校に行けば彼女と違う学校で今より会う機会も減るに違いない。
……ん?
そんなことを考えていると胸が少し変な感覚がした。
胸がチクリとまるで蚊に刺された後の様なむず痒さを感じた。
そうして瑠奈の家に着くと、彼女は何も言わずドアをあげ中に入る瞬間に舌を出して扉を閉めた。
子供か!!
そう心の中で突っ込んで僕は家に帰る。
明日になれば、いつも通りの状態に戻るだろう。
幼馴染で幾度となくあったので、わかってしまう。
そう思いながら帰宅すると、瑠奈からメッセージが来ていた。
はぁ~、またか。
そこには「ばか」や「あんぽんたん」や「デリカシー名塩」とか罵詈雑言が書かれていた。
てか、何だよデリカシー名塩って。
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「おはよ、え~ちゃん」
次日の朝、いつも通り彼女を迎えに行くと案の定元通りだった。
「あぁ、おはよう」
いつも通りの彼女にそう返すと、僕は彼女と登校する。
お互いに昨日のことに触れる事はない。
朝から互いに雰囲気を悪くしたくないので僕からは触れない事にしている。
そうして校門前に着くと、ラケットバックをもった男女がいた。
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