23話
「兄さん、わかってますか?」
「はい、すみません」
先程まで璃奈ちゃんの相談を受けていたはずなのに今は璃奈ちゃんからお説教の真っただ中である。
理由は分からん。
ただ、璃奈ちゃんが言うには「女の子の気持ちがわかってません!!」とのことだ。
わかるわけがない、だって男なんだから。
だけどそれを言ったら、火薬に火をつけるようなものなので黙る。
今はまだ璃奈ちゃんだからいいが、姉まで加わったら針のむしろだ。
二人だけならまぁいい、両親や彼女らの親衛隊にこの事がバレれたら色んな意味で終わるのだ。
「本当にわかってますか?」
「はい、重々承知しております」
だからこそここで爆弾処理をしなければならない。
線を一個でもミスれば爆発する、ピッタリな表現だ。
とにかく慎重に彼女の導火線を落ち着かせる為に必死に謝り倒す。
「全く、兄さんにはほとほと呆れます」
(その呆れてる人間に相談してるんだよ? 君は)
「はぁ~」
深く璃奈ちゃんは溜息を吐く。
「これからもう少し気をつけます」
「よろしい、わかればいいんです」
そう言うと、璃奈ちゃんは微笑み、ようやく説教が幕を下ろした。
だが、まだ火は消えていない。
璃奈ちゃんが聞いてほしそうにジィ~っと期待の眼差しを向けてくる。
ここで聞かなかったら先程と同様のループが待っているだろう。
「それで、決めたって言ってたけど、どうするの?」
「はい、それなんですけど……兄さん達のいる高校に行こうと思ってます」
「そっか」
「嬉しいですか?」
「まぁ、そりゃね」
「はっきりしてください、全く」
そう言って呆れながらも彼女は嬉しそうな顔をしていた。
「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
「そうだね」
公園の時計を見ると、一時間ほど経っていた。
「兄さん、相談に乗ってくれてありがとうございます」
「力になれたかな?」
「はい!! そりゃ、ちょっと頼りなかったですけど」
「あはは、すみません」
「冗談です、とっても力になりました」
そう言って彼女は笑顔で微笑む。
夜の明かりに照らされているのもあるのだろうが、とても輝いているように見える。
「どうしたんですか?」
「んや、何でもない」
「あ、もしかして私の胸の事を思い出してましたか?」
「そんなわけないだろ、純粋に璃奈ちゃんの笑顔が可愛いなぁ~って思っただけ」
「ふぇっ!?」
僕がそう言った瞬間、彼女の頬が夜でもわかるくらいぶわぁっと紅くなった。
璃奈ちゃんが顔を真っ赤にしているせいか、そんな発言をした僕の顔も熱を帯びているのがわかるくらい熱くなってしまった。
「そ、そうですか」
璃奈ちゃんは顔を背けながら言った。




