21話
「ないよりはいいと思うな。 僕だって瑠奈、君の姉さんを応援したいっていう単純な理由だし」
これが一番の理由だ。
小さい頃から傍で見てきたから。
好きな事に全力で頑張る瑠奈に魅入ってしまい、気が付けばこんなにも応援したいと思ってしまったのだ。
「言ってましたね、最初聞いた時は正気を疑いましたが」
彼女はそう言ってクスリと笑う。
初めの頃は璃奈ちゃんに言われた事を思い出す。
「正気? あの姉だよ?」と棘のある感じで言われたことを今でも覚えている。
「あの時の璃奈ちゃん、怖かったなぁ~」
「そうですかね?」
「最初僕に言った事覚えてる?」
「う~ん、確か……」
そう言うと、彼女は僕に近づき悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「兄さんの事、好き」
一瞬、時間が止まった気がした。
彼女の頬は紅く染まり、潤んだ瞳でそう言ってきた。
「……でしたっけ?」
彼女はえへへっと照れくさそうに笑いながら言った。
彼女のこういう所、本当に悪いからやめてほしい。
悪戯心だろうが、人によったら勘違いで舞い上がるぞマジで。
あまり触れてほしくない話題なのだろう。
実際は「貴方なんて大っ嫌い!!」と冷たい声音で言われたことを今も覚えている。
「違うけど、まぁこの話はいいや。 話を戻すけど、要は自分のしたい様にすればいい、周りがどう言おうと出来る範囲内で自分のやりたい事に従うべきだと思う」
出来るのなら自分の気持ちに素直になるべきだ。
後でこうしておけばとか、こうだったらよかったなとか思わないように生きるべきだ。
「っとまぁ、僕はこういう考えだけど、璃奈ちゃんは璃奈ちゃんで答えを見つければいいさ」
これは僕の意見で、決めるのは彼女自身だ。
僕はあくまで僕自身だったらの話をしたまでだ。
後は彼女自身が考えて決める事だ。
まぁ、僕としては彼女に僕らの高校に来てほしいけど。
みんな仲良く登校できればそれはそれで楽しい。
「……よし、決めました」
彼女は少し考えこむと、頬を軽く叩き両手でガッツポーズする。
「そっか、それはよかった」
彼女が決めた事だ、これ以上僕が言う事はない。
彼女の意思を尊重する。
僕の言葉に彼女はプクッとフグのように頬を膨らませる。
「まだ何も言ってません」
「決めたんだろ? ならいいじゃないか」
「むぅ~、気にならないんですか?」
そう言って詰め寄ってきた。
(近いって)
「気になるけど、聞かない方がいいと思って」
「はぁ~、兄さんそういう所ですよ」
深いため息を吐き、呆れたような目で僕を見てきた。




