第20話
「璃奈ちゃんはどうしたい?」
僕は瑠奈ちゃんに問いかける。
「どうしたい、ですか?」
「うん、迷っているには理由があるんでしょ?」
正直、人間に迷うというのは何か邪魔をする要因があるのだ。
先生に言われてとか、友達が言うからとか両親が言うからとか無意識に様々な圧力で意志が揺らぐことはよくある。
今回は先生に言われたという事で璃奈ちゃんは迷ってしまったのだろう。
将来という言葉で彼女は決めていた歩みを止めたのだ。
「理由ですか」
璃奈ちゃんは考え込むが、心当たりがないようだ。
「そもそも、璃奈ちゃんはどうして瑠奈や僕のいる高校へ行きたいんだ?」
何も目的が無いのなら、絶対的にいい高校の方が将来的には安定する。
そこまでしてぶっちゃけ僕らの高校に行く意味がない。
彼女なら僕らいる高校より上でも特待生になれるだろう。
「う~ん、兄さん達と一緒に登校したいからでしょうか?」
(その言葉、瑠奈に対してだよな? そうだよな!?)
言葉の捉え方によっては完全に僕も入っているのでドキッとしてしまった。
こういう不意打ちはやめてほしい。
「そうなんだ……」
「はい、姉さんを兄さんだけに任せるわけにはいきませんから!!」
やはりそうだ。
彼女のこの高校に行きたい理由は姉の瑠奈の傍に居たいからだ。
優秀だというのに、大好きな姉の傍に居たいとそういうのだ。
くだらない理由と思う者もいるだろう。
だけど、僕はそうは思わない。
瑠奈を見てきて応援したいと思う彼女の気持ちがわかるからだ。
だったら、僕は応援する。
彼女の意志を、彼女の決めた事を全力で応援する。
「答え、出てると思うんだけど?」
「え?」
「だって、瑠奈と一緒に登校したいって言う明確な理由があるじゃん」
将来とか何とか考えたらきりがない。
僕からすればその場で決めた事の方が悩みがなくて苦労することはない。
加えて璃奈ちゃんは優秀だ。
高校がどこであれ彼女はきちんとやるだろう。
「でも、これは将来の事でもありますし、そんな理由で……」
まぁ、普通はそう思うだろうな。
将来の為にいい高校に行っていい大学に入学して、いい会社に就職が結果的に幸せなのかもしれない。
だが、僕はそうは思わない。
だってそんなの苦しいだけだからだ。
人生一度きり、創作やゲームみたいに転生やセーブなど出来ないのだ。
だったら、自分のやりたいようにするべきだと僕は思う。
高校受験なら好きに過ごしてもいいと思うのだ。
僕のように瑠奈を応援するという目的だったとしても別にいいのだ。
何の役にも立たないと言われても一生懸命頑張っている彼女を応援する。
それでいいんじゃないか?




