第2話帰り道の何気ない日常
「美味し」
メロンパンをリスのように口いっぱいに頬張る彼女と共に歩いている。
先程まで茜色だった空が今では薄くどんどん夜の色が侵食してきていた。
「よかったな、おばちゃんがとっといてくれて」
「だね、流石おばちゃん商売上手!!」
そう言って次々とメロンパンを頬張っていく。
まぁ、これだけおいしそうにしかも大量に買っていくお得意さんなら優遇するのもわかる気がする。
毎回最低二つは食べるのだからおばちゃんとしても手放したくはないだろう。
「美味しかったぁ~」
「そりゃよかったな」
「うん!!」
そう言って彼女と学校の方へ向かう。
ここは赤牧中学、僕と彼女の母校でもある。
学校の方へ向かうと校門前で一人の女の子がこちらに歩み寄ってくる。
瑠奈の妹、璃奈ちゃんだ。
「いつもありがとう、兄さん」
落ち着きのある雰囲気を纏い、彼女は頭を下げそう言った。
落ち着きのない姉の瑠奈とは違い、璃奈は礼儀正しく落ち着きのある女の子だ。
そうして椎名姉妹と共に帰路に着く。
「今日は寄っていくでしょ?」
そう言って璃奈は僕の腕を引っ張ってくる。
聞くより先に彼女の家に入ってしまった。
「ご飯作るから、姉さんはお風呂入れて入ってきて」
「ほ~い」
「兄さんはリビングで休んでて」
そう言って瑠奈はお風呂場へ璃奈は台所へ向かう。
手伝うかな。
「僕も手伝うよ」
「いい、兄さんはゆっくりしてて」
「流石にそういうわけにはいかないよ」
「そっか、それならお肉炒めてくれる?」
僕はエプロンを渡される。
「なくてもいいだろ」
「駄目、汚れたら誰が洗濯するの? 兄さんじゃないでしょ」
「つっても、このひらひらは……」
いくら僕のエプロンが無いからってRUNAと真ん中にかかれたひらひらの料理用エプロンは恥ずかしかった。
「似合ってるよ?」
「馬鹿にしてるだろ」
ニヤニヤして明らかに揶揄っているのがまるわかりな璃奈ちゃんと料理を作ると、食卓へ運ぶ。
そうして上がってきた瑠奈と食事をする。
「さ、姉さん、勉強の時間だよ」
食事を終え、璃奈が食器を洗い終えると瑠奈にそう言うと彼女はとっても嫌そうな顔をする。
「兄さんから聞いたよ、姉さん小テスト2点だったらしいじゃない」
璃奈が知っているのを聞いてこちらを睨む。
この中でリークしているのは僕しかいないからだ。
「兄さん、今日は泊って行って。 流石に看過できないから」
「ちょっと璃奈!? 流石に急には向こうにも迷惑じゃない?」
「大丈夫、既に連絡済みだから」
そう言ってうちの母とのメッセージを見せてきた。
用意周到すぎだろ。
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