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第19話

「この前、担任の先生に志望校を変えるように言われました」

「変える?」

「えぇ、兄さん達のいる高校じゃなく、もっと偏差値の高い高校を狙えと」


 まぁ、そういうだろう。

 僕が教師だったとしても璃奈の能力からしてもっと上に行くべきだというと思う。

 生徒の為と言葉のいいことを言っているが、教師も教育社会の人間だ。

 自分のクラスの優秀な生徒にはいい高校に行ってほしいはずだ。

 学校だって彼女が優秀な高校に合格したとなれば実績にもなり優秀な生徒が増える。

 生徒の意志よりも優先するだろう。


「一度ご両親と交えてお話がしたいと言われました」

「そっかぁ~」


(説得、だろうな)

 

 とはいえ、椎名家は一切聞かないだろう。

 学歴が全てではないと彼女の両親は考えているからだ。

 確かに日本は学歴社会というが、椎名家の両親は高校に行っていない。

 とはいえ、二人を私学に行かせられるほどの稼ぎがある。

 椎名父曰く「学力はその人の能力を目に見えるようにする為の手段であり、それが人の価値を見出す物ではない」だそうだ。

 考えて行動する、それが結果が出なくとも考えた事で自分の糧になるという教育方針だ。

 

「両親にそのことは話した?」

「えぇ、ですが両親は「自分で考えて決めなさい」と」


 まぁ、予想通りだ。

 あの両親ならそう言うに決まっている。

 

「兄さん、私はどうしたらいいんでしょうか?」


 将来の事で不安なのだろう。

 自分の先の事が不安でしょうがないとそう言った感じだ。

 瑠奈とは違い、璃奈ちゃんは未来に向かって努力するタイプだ。

 ゲームに例えるなら始めたてで瑠奈なら今必要な装備を揃える為に、璃奈ちゃんは今後長く使える強力な武器を選ぶ。

 必要な装備をその都度更新していく瑠奈と長期的に使える効率的に装備を使い順調に上げていく璃奈ちゃん、どちらが正しいとは言い難い。

 話を脱線したが、今を全力で生きる瑠奈と先の事を考える瑠奈ちゃんでは同じ姉妹でも考え方がまるで違うのだ。

 とはいえ、どう答えるべきか迷う。


(僕だったら……)


 僕が璃奈ちゃんの立場で物事を考えていると、瑠奈の笑顔が浮かんだ。

 恐らくだけど、僕も璃奈ちゃんの立場だったら僕らの高校へ行くだろう。

 瑠奈を放っておけないから、彼女を支えたいと思ってしまうから。

 璃奈ちゃんはなんだかんだお姉ちゃん子なので恐らくは同じ考えだろう。

 つくづく椎名瑠奈は罪な女である。 

 

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