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小さな森

作者: 武田道子

小さな森




目を覚ました森は

また一回り大きくなった

毎朝競うように空に向かって広がっていく

空間は乱立する枝のせめぎあいで埋められ

鈴蘭が奏でる初夏の鈴音に誘われて

あの懐かしい思い出の香りが鳴りわたる



住んだ場所は変わっても

家や土地の広さが変わっても

庭の片隅に、裏庭に

いつも小さな森がある



春が早々に初夏に追い立てられたのが

昨日のことのように

小さな森は枝を広げ

旅の途中の鳥の群れを迎える

競いあうように囀る鳥たちは

初めて歌を覚えたかのように

飽きることなく歌い続ける



小さな森に立つ

ほんのりと甘い香りに包まれて

私はとても小さい自分を感じる

力とか欲とか

争いをなくすためのもっと大きな争いとか

森は見尽くしてきた

 


小さな森は

とても大きい

大地に深く根をおろし

足を踏み締め

宇宙を牛耳ているかのように

揺れることなく

地球を守っている



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― 新着の感想 ―
[一言]  小さな茂みでも、そこにある縮図は森?  心のなかの在り方と重ねて見ているのでしょうかね。  たとえ、庭も裏地もないところに住むとしても、心のなかの森は、きっと失くしたりはしないのでしょうね…
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