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鬼の村

 新右衛門と椿は鬼の村に到着した。


 村人たちは新右衛門が騎士団から送り込まれた刺客であるという情報を掴んでおり、二人が村に入ると辺りに緊張感が走る。


「おい、若いの、うちの姫を殺しに来たのか?」


 新右衛門の目の前には黒い着物を着た白髪で髭を生やした50代くらいの男が立ちはだかる。


(コイツ、俺の同郷か? 刀に着物 何者だ?)


 新右衛門は馬から降りると無言で刀のつばに指をあてる。


「待って! あなた鬼道丸きどうまるでしょ!」


 男の声を聴いた椿が荷台から降りて男に声をかける。


「姫様か! 生きておられたか」

「鬼道丸こそ久しぶりね。あのは元気?」


 椿と鬼道丸の話しぶりからして敵ではないと察した新右衛門は刀から手を放した。


「知り合いか?」

「ええ、妹の護衛をやっている鬼道丸って言うの」


 新右衛門と椿が鬼道丸と話していると、紫色の髪に紫の瞳をした少女が近づいてくる。


「姉様、久しぶりです」

「元気だった? えっと、名前は言ってはダメだったわね!」


 椿は少女を名前で呼ぼうとしたが、新右衛門が居るので名前を呼ぶのを控えた。


「『すみれ』という名はどうかな?」

「新右衛門、スミレもあなたの世界の花の名前?」

「そうだ。すみれは紫色の綺麗な花だ」


 椿はスミレという名が気に入ったらしく、妹をスミレと呼び始めた。


「いいわね、スミレ! なんか可愛い名前だわ! 私もツバキって名前をつけてもらったの!」

 

 椿は妹の頭をなでながら、とても上機嫌になった。


「姉様、私ももうそんなに子供ではないのです。子ども扱いはやめてください」


 スミレは恥ずかしそうに椿に子ども扱いをやめるように訴えるが、椿はスミレにあった喜びで子ども扱いをやめない。


「おい、若いの、二人だけで話せるか?」

「ああ」


 鬼道丸の表情が再び鋭くなったのに気付き、新右衛門もただの話し合いでないことは察した。


 村はずれの森に向かって歩いていく新右衛門と鬼道丸。


 スミレを構ってはしゃいでいた椿であったが、二人がただならぬ雰囲気で歩いていくのを見て、不安を覚えるのであった。

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