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討伐の依頼

床屋で短髪にして帰ってきた新右衛門。


「あら、スッキリしたわね。それにしてもいい男ね! 黒い髪に黒い瞳、そして雪のような白い肌、女の私も羨ましくなるわ! あなたのお母さんはかなりの美人だったんじゃない?」

 

 宿屋の女将は短髪になり戻ってきた新右衛門をすごく気にいった。


「いや、物心ついた頃には両親はいなくて、剣の師匠が父親となって俺を育ててくれた。父が言うには母は『ヤマユリ』の花のように美しかったと聞いています」


「ヤマユリ? それはあんたの国の花かい?」


「はい、ヤマユリは白く美しい花です」


 新右衛門は幼い頃に母親がヤマユリのように綺麗だったと自斎から聞いて、ヤマユリを見るたびに母親はどんな感じだったのだろうという思いを抱いていた。


「椿ちゃんもおいで! お兄ちゃんカッコよくなって帰ってきたから」

 

 女将が椿を呼ぶと椿も1階に降りてきて新右衛門の美しさに見とれて黙り込んでいた。


「椿、どうだ? この服と髪型は似合うか?」

「うん、とてもいい」


 朝の話し合いのこともあり、ぎこちない二人であったが、険悪な空気ではなく、何かお互いに気恥ずかしいような雰囲気になっていた。


「おい、兄ちゃん、帰ってきたところ悪いんだが、騎士団からお呼びがかかっている。昨晩捕えた銀髪の鬼のことで兄ちゃんに話があるらしい」


 宿屋の主人は城に呼び出されていたらしく、騎士団から新右衛門を連れてくるように言われて慌てて帰ってきた。


「わかった。直ぐに向かおう。悪いが椿はここに居てくれ!」


 新右衛門は騎士団に椿を見せれば捕らえられると思った。


「わかった。ここで待ってる、気を付けてね」


 新右衛門は椿を宿屋に残し、主人と一緒に騎士団のところに赴いた。


「君が銀髪の鬼を捕えてくれたという剣士か! まずは礼を言う」

 新右衛門が騎士団の所に出向くと騎士団長が昨晩の礼を言ってきた。


「いや、たまたまあの宿屋に泊まっていただけだ礼には及ばぬ。それより、あの銀髪の鬼はどうした?」


「檻に入れて兵士たちに見張らせたのだが、朝見に行ったら、護衛の兵士が殺されていて脱走された……」


「なんだと! では、また人を襲う可能性があるのか!」


「そこで君にお願いがある。我が王国騎士団と契約を結んで欲しい! 君に鬼の討伐を依頼したい!」


 新右衛門は少し考えたが、椿以外の鬼の情報を掴むにはちょうど良いと思い、騎士団の依頼を受けることにした。


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