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青髪の鬼

 新右衛門は刀を抜き、青髪の鬼に向かって構える。


「なに張り切ってんのよ! あんたの相手なんか私が直接するわけないじゃない!」

 

 青髪の鬼がそう言うと、目の前に一人の男が現れた。


「私の名はマクスミリア、鬼族一の騎士だ! お前の相手は私がする」


 男は名を名乗ると即座に西洋刀を腰から抜き、新右衛門に斬りかかる。


(なんだコイツ、剣さばきが異様に早い!)


 新右衛門はマクスミリアの操る剣があまりに早く、さばくのに精いっぱいになる。


「楽しそうね。私はあの赤い髪を殺すか」


 青髪の鬼はそう言って屋根から飛び降りると宿屋へと向かう。


「させるか!」


 新右衛門はマクスミリアの剣を跳ね上げると、青髪の鬼の前に回り込み、刀で行く手を塞ぐ。


「馬鹿ねぇ、2対1で勝てると思っているの?」


 青髪の鬼とマクスミリアは新右衛門を仕留めるべく、間合いを詰めてくる。


「2対1ではないわ!」


 新右衛門が声に反応し後ろを見ると、椿が立っていた。


 宿屋の夫婦に看病されて寝ていた椿であったが、青髪の鬼の妖気に気づき、目を覚ました。


 宿屋の夫婦は必死に椿を止めたが、椿は新右衛門の危機を察知し、宿屋から飛び出てきたのである。


「椿、お前は無理をするな!」

「でも、このままでは新右衛門が殺されるわ、それでは意味がないもの……」


 椿は新右衛門を見て、ニコッと笑うと、次の瞬間、青髪の鬼に飛びかかり殴り飛ばした。


「新右衛門は敵の剣士をお願い!」


 新右衛門は椿の体力を考えると直ぐにでも戦いを終わらせないといけないと焦るが、マクスミリアの剣さばきは想像以上であり、鬼族一の剣士と言われるだけはあった。


「人間の剣士、お前では俺には勝てない」


 マクスミリアは新右衛門に猛攻を仕掛けるが、新右衛門は卜伝との稽古を思い出すのであった。


自他合一じたごういつ、相手の心と一つになった剣を防ぐことができる者はいない)


 ふと、卜伝の言葉を思い出し、新右衛門はマクスミリアの打ち込みを待って目を瞑る。


「斬り合いの最中に目を瞑るバカが居るとは」

 

 マクスミリアは笑みをこぼし、新右衛門に斬りかかるが、マクスミリアの剣は新右衛門を避けるように外れ、新右衛門の剣はマクスミリアを頭から真っ二つにした。


「卜伝先生……」


 新右衛門は卜伝から習った『一之太刀ひとつのたち』でマクスミリアを打ち倒したのであった。


 一方の椿は青髪の鬼の放つ滝のような鉄砲水に対し、残る妖力で火炎を放っていた。


「おい、お兄ちゃんこれを使え!」


 宿屋の主人は樽に入った油を持ってきて新右衛門に渡した。


 樽を受け取った新右衛門は青髪の鬼のいる方角に樽を投げて、椿に指示を出す。


「椿、樽を狙え!」


 新右衛門の声に気づいた椿は樽に火炎を放ち、樽は青髪の鬼の目の前で大きな破裂音を放った後、青髪の鬼を丸焦げにし、青髪の鬼はそのまま地面に落ち、動かなくなった。


「椿、よくやった!」


 新右衛門が椿に声をかけると椿は笑みをこぼすが、そのまま倒れるのであった……。

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