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先回り

 銀髪の鬼を倒し、村へと戻る新右衛門と鬼道丸。


「椿、大丈夫か?」


 新右衛門は倒れている椿を抱きかかえ、何度も呼びかける。


「くそ! 我らも不意打ちされるとは。しかし、襲撃した鬼も深手を負っているようだ。そう遠くへは行っていまい!」


 鬼道丸はスミレから金髪の鬼が逃げた方角を聞くと、とどめを刺すべく追いかける。


 新右衛門は気を失っている椿を抱き上げ、スミレが住む家のベッドに寝かした。


 金髪の鬼を追った鬼道丸は山奥で金髪の鬼を見つけると、背後から背中を斬りつけ谷底へと転落させる。


「この高さから落ちれば、命は助かるまい……」


 死体の確認こそできなかったが、どう考えても助かる高さではないと判断した鬼道丸は村へと引き返す。


 村では新右衛門とスミレで必死に椿の看病をするが、椿はなかなか目を覚まさない。


「新右衛門、椿様を連れて人間の村へ逃げろ。ここにいると、いずれ最後の青い髪の鬼に狙われる。次に妖力を使えば、椿様はもたないだろう……あの町の近くに癒しの泉という場所がある、そこの水を飲ませれば少しは回復されるだろう……」


 金髪の鬼を倒して戻ってきた鬼道丸は新右衛門に椿を連れて人間の町に戻るように伝える。


「騎士団への報告もある。悪いが、椿を連れて人間の町へ戻ることにする」

「その方が良い。最後の青い髪の鬼を討ったら、俺は姫様と王都に向かう。お前も人間の町で椿様を休ませたら、王都に来い」


 鬼道丸は新右衛門に王都への地図を渡し、早く人間の町へ向かうように促す。


「わかった。王都で落ち合おう」


 新右衛門は荷台に椿を寝かせて、馬車を走らせる。


 丸一日荷馬車を走らせた新右衛門は人間の町に到着し、宿屋の夫婦に頼んで椿をベッドに寝かせてもらう。


「お兄ちゃん、これは相当傷ついているな。たしか、この村の北側の森に病をいやす泉がある。椿ちゃんが動けるようになったら、連れて行ってあげるといい」


 新右衛門は椿が目を覚ましたら、宿屋の主人が教えてくれた癒しの泉に椿を連れていくことにした。


「御主人、俺はこれから討ち取った鬼の首を騎士団へ届けに行きたいと思う。その間、椿を預けてもいいか?」

「ああ、俺たち夫婦で椿ちゃんをみててやるから行ってきな!」


 新右衛門はご主人に深々と頭を下げて、宿屋を出て騎士団のところへ向かう。


「ねぇ、あなたが向かおうとしている騎士団の団長ってこの人?」


 新右衛門が騎士団の事務所に向かい歩いていると、屋根の上に青い髪の鬼が座っていて、新右衛門に騎士団長の首を投げてきた。


「先回りされていたか……」


 青い髪の鬼は新右衛門が銀髪の鬼を討って騎士団長の元へ報告に来ることを予測し、先回りして町で新右衛門と椿が訪れるのを待っていたのであった。

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