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人を断った理由

 卜伝から最終奥義を授かった新右衛門。


 新右衛門がなんとか湖に浮かぶ孤島から村に戻ると、鬼道丸が卜伝の墓を作り手を合わせていた。


「新右衛門、ようやく戻ったか」

「ああ、卜伝先生の墓か?」

「そうだ。俺も先生の弟子であったが、先生は俺には奥義は教えてくれなかった。お前のことは相当気に入っていたのであろう。お前も手を合わせてあげてくれ」


 新右衛門は卜伝の墓に手を合わし、弟子として大事なことを教わったことを改めて感謝した。


「ところで、卜伝先生はなぜこの世界に呼ばれたのだ?」

「姫様の護衛をする我らに剣術を教えさせるために、現女王がこちらに連れてこられたのだ」

「そうか。おかげで俺は卜伝先生に弟子入りすることができた」


 新右衛門は卜伝に弟子入りしてから、以前のような勝負に異様なまでに執着する心が消えていた。


「新右衛門、俺と再戦したいか?」

「いや、俺は椿が守れればそれでよい。あんたとの勝負には拘っていない」

「そうか」


 鬼道丸は小さく笑みを浮かべると、村に戻って行った。


「おい、そこに隠れているのは誰だ?」


 新右衛門は卜伝の墓に手を合わして目を瞑っていたが、背後の木陰に気配を感じ問いかける。


「あ、あの、新右衛門様に聞きたいことがあって……」

「スミレか。どうした?」


 卜伝の墓場に来れば新右衛門に会えると思って来てみたが、鬼道丸と話しているのを見て、話しかけられず、木陰に隠れていたらしい。


「どうした?」

「あの、姉様がどうして人を食べなくなったのか知りたいのです……」


 スミレは椿が人をったわけが知りたくて、新右衛門が一人になるときを伺っていた。


「椿がなぜ人を食べないのかは俺にもわからぬ。以前に聞いことがあったが言いたくないと言っていた」

「そうなのですか……」

「何か問題があるのか?」


 新右衛門は妖力を蓄える際に鬼が人を喰うということは、椿から聞いていたが、妖力が無くなるとどうなるかまでは知らなかった。


「このままでは、姉様は死んでしまうのです。鬼は妖力を完全に失うと死んでしまいます……」

「……。それは本当か?」


 スミレはこくりと小さくうなずき、涙目になる。


「椿には俺から聞いてみよう!」


 新右衛門は卜伝の墓参りを終えると、椿と話をするため、村へと戻るのであった。


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