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5時間の電話は別れ話ですか?

俺がKnights of Lilyに加入して一カ月が経った。


もう大学も春休みが終わり、オンライン授業と学校で行う対面講義の同時進行となっている。


「はぁ・・・。青春したいなぁ」


「そうだね~」


「みーちゃんは今青春してないの?」


「してないですね~」


カチカチカチカチカチカチ!!!


そう俺たちは今レイド戦にてボスと戦っていた。


「にしても4月って言うのに昼間は暑いのなんの」


「そうなの?こっちは寒いよ」


「俺の所も昼間は上着は邪魔だね~」


カチカチカチカチカチカチカチカチ!!


「桜も散ってしまってますし」


「そういえば二人はどこに生息してるの?」


「生息ってww。まあ俺は真ん中あたりかな」


「俺は西です」


「私は東側」


「なんでみんな方角で言うのww」


みんなオンラインゲームとの向き合い方に対して理解があるためざっくりとした情報である。


「いやまあ俺は別に言っても構わないですけど」


「そうなの?私も良いよ。仕事の派遣でここに来てるだけだし」


「じゃあ俺も言うよ。俺は東京に住んでますよ」


ルアさんから言うんだな。


「俺は福岡に住んでます」


「私は福島だよ」


「良い感じにばらけてるな~」


「ですね」


「そうだね~」


「これはこれで面白いね」


どうやらみんな生息地はバラバラのようだ。


「でも私、実家は福岡だよ」


「そうなんですね~」


「そんなことあるんだね」


「どの辺に住んでるの?」


「大学のそばですよ」


「じゃあ私の実家の近くだ」


「そうなんですね~」


まさかシロさんの実家が近いとは驚きだ。


「じゃあみーちゃんの所に遊びに行けるね~」


「かもですね~」


「なんか楽しそう」


「はは」


「ルア君もおいで」


「行くわww」


というかずっと関係ない話してたけど、レイド戦やってたな。


「あっ死んだ」


「みーちゃん!!」


「シロ、起こして!!」


「お願いしますー」


「ぎゃっ!私も死んだ」


「何やってんの二人とも」


「「すみません」」


「ほら蘇生あげるから起きて」


「「ありがたい」」


レイド戦は通常のダンジョンとは違いパーティーメンバーは最大8人となる。


そのため、タンクとヒーラーが二人ずつ、残りの四人がDPSとなっている。


俺がタンク、シロさん、ルアさんがヒーラーをしてくれている。


「はい蘇生したからみーちゃんは、軽減貼ってね」


「はーい」


「私のも蘇生欲しいな」


「もうあげたよ」


「ご迷惑をおかけしました」


「本当だよ」


その後も騒ぎながらレイド戦を行い、レイド開始から20分後に勝利した。


「ふぃ~」


「強かったねぇ」


「というかみーちゃんってもうレベルカンストしてんだね」


「春休みやりこみましたから」


「大学生だね。バイトはしてないの?」


「確かに、一人暮らしならしてるよね?」


「してますよ~」


「何のバイトしてるの?」


「家庭教師です」


「え!?」


「凄っ!」


どうやら言ってなかったみたいで驚かれている。


まあ家庭教師ってそこそこ大変な仕事ではあるしな。


「これでも先生やってんですよ」


「みーちゃんが先生って」


「なんか意外だなぁ」


「あれ?思ったより微妙な反応」


「だってみーちゃんって私と同じようにアホな子ポジションでしょ」


「流石シロの理解者のみーちゃん。城は逆にみーちゃんの理解者でもあったんだね」


「いや、占いの件はルアさんも理解者ですからね」


「俺はいいよ」


「俺も遠慮しますよ」


「ちょっとそこ2人遠慮し合わないで!!」


占いの件とは、数日前にシロさんが行きつけの美容師におすすめされたらしく試しにやってみたら、面白い結果になった。





『あなたは特殊な世界観をお持ちですね。それを理解できるのはおそらく二人だけでしょう』


「運命の相手とかは?」


『あなたの運命の相手は、その理解者の一人です』


「なるほど。顔はイケメンですか?」


『顔はまあ普通くらいですかね。特別イケメンという感じはないですね』


「そうなんですね。もうその人とは出会ってますか?」


『はい。もうその理解者とはこれまでの人生の中で出会っています」





占いを行った日の夜に、シロさんから報告があった。


占い結果を聞いて、理解者は誰かという話にもなったが、それよりも男性陣が気になったところは・・・


「というか、その占いが仮に俺らだとしたらなんか傷ついて終わりなんですけど」


「そうだよなぁ。なんか俺達軽く傷ついたよな」


「だってそう言われたから仕方ないじゃん!」


そう、イケメンではないという判定をなんか勝手に受けて傷ついていた。









そこから現在に至る


「まあ占いって正直娯楽の一部ですよね」


「まあそうだよね」


「俺もそんなには信じてないし」


「俺もですね」


「やっぱ男性はそこまでなのかなぁ」


「かもね」


まあ人によるとは思うが、占いというのは当たるとか当たらないとか本気で信じている方が少ないと思う。そんな運だけで生きているならなんか虚しいしな。


「あっ、武器が壊れそう。修理してきますね」


「行ってらっしゃ~い」


「ん?ごめんなんか友達から電話来たから一回抜けるね」


「「はーい」」」


ピロン


「じゃあ私たちは適当にアイテムの納品してお金を貯めますか」


「そうですね~」


そこから俺とシロさんはアイテムを制作できるジョブに切り替え、お金を貯める作業をした。





1時間後


「ねぇねぇ」


「どうしました?」


なんかシロさんが面白そうな感じで話しかけてきた。


「ルア君の電話相手って女かな」


「言い方ね。でもどうなんでしょうかね。彼女とか居るかもですけど」


「別れ話だね」


「断定しちゃうんですね」


「だって一時間だよ。絶対女だよ」


「何故自信満々なんだ」


「経験があるのよ」


「あぁ~」


「私は長くはないけど」


「シロさんってなんかあっさりしてそうですよね」


「そうなんだよね。長電話とか私無理だもん。1時間が限界」


「だいぶ頑張ってる方じゃないですか。俺なんてそもそも電話自体好きじゃないから、30分で限界です」


俺は、あまり電話が好きではない。用があるならチャットでやり取りをするような人間だ。


「なんかみーちゃんらしいね」


「そうですかね~」


「うん」


そこから雑談をして時間が過ぎていった。


プライベートな話だったり、恋バナをしたりした。


気付けば時間は午前2時となっていた。


「ルア君が電話に行って、3時間経ったね」


「盛り上がってるんですかね」


「どっちかが未練があるんだろうね」


「あくまで別れ話なんですね」


「もちろん」


「なるほどなぁ」


「というかみーちゃんって、人の恋バナは好きなんだね」


「そうですよ。自分も恋愛したいとは思うけど、他人の聞くのも好きなんですよ」


「恋に恋してるパターンね」


「そうかもですね」


恋に恋焦がれているって面倒な奴だよなぁ。俺にも運命の相手が見つかると良いなぁ。


「もう良い時間だし寝ようか」


「そうですね」


「うん。じゃあおやすみ」


「はい、おやすみなさい」


ピロン


結局その日はルアさんは帰って来なかった。だが、シロさんと色々話して本当にお互いが理解者になったような気もする。






翌日


「ふぁぁぁ~眠い。でも講義があるな。大学に行くか」


ピロン


KOLのグループチャットの通知だ。KOLはKnight of Lilyの略称で、基本的に3人でゲームするときはこのグループを使っている。


『ごめん昨日は!!あの後5時間電話しちゃって。本当にごめんなさい!!』


ルアさんから謝罪のメッセージが来ていた。


「5時間って凄いな」


5時間って何を話すんだ?


まあ返信を送っておくか。


『大丈夫ですよ~』


こんなもんで良いか。


「やべっ講義に遅れる」


ピロン


「ん?」


今度は個人チャットでシロさんから連絡が来た。


『やっぱり別れ話かな!?』


なぜこんな嬉々として聞いてくるんだ?


『別れ話は一旦忘れましょう』


ピロン


『だって5時間だよ!!これは彼女の方が厄介だと見たね』


確かに。ルアさんってあんまり引きずったりしない感じだしな。


『そうかもですね』


ピロン


『あれ?みーちゃん?そこは突っ込んで欲しいなぁ~』


構って欲しいのかよ・・・


『これから講義なんですよ。突っ込みに体力を使ってられないんですよ』


ピロン


『そうだったんだ~。ちなみに私もこれから仕事だよ』


まあ普通に平日だしな


『じゃあお仕事頑張ってください』


ピロン


『はーい』


大学に行くか


ピロン


『みーちゃんも別れ話になった時は時間かかるよ!!』


めげないなぁ・・・

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