knights of Lily
カチカチカチカチ!!
「みーちゃん!!軽減貼って!!」
「はい!」
カチカチカチカチカチカチ!!
「もう少しだけ耐えてね!」
「やばい死ぬ死ぬ死ぬ!!」
「大丈夫!!あと3、2、1。よしリキャストしたからはい!ヒール!!」
「生き返る〜」
「じゃあ倒しちゃうよ!」
「了解です!」
カチカチカチカチカチカチ
通話越しからコントローラの連打音が聞こえてくる。
無論、俺の部屋にも鳴り響いている。
「あと少しだよ!」
「痛い!!」
「大丈夫!!我慢して!!」
「ぬぉぉぉぉぉ!」
ザシュ!!
♪〜♪〜♪〜
「おおクリアだぁ〜」
「みーちゃんおめでとう!」
「ありがとうございます」
「じゃあドロップした装備は取ったね?」
「はい!」
「じゃあ出ようか」
「分かりました〜」
俺とシロさんはダンジョンに行き、俺のメインクエストの手伝いをしてくれた。
パーティーは俺たちの他に野良の人が2人加えての編成だった。
編成は俺がタンク、シロさんがヒーラー、野良二人がDPS。
基本的なパーティー編成となっている。
「いやぁ楽しかったねー」
「冷や冷やしましたけどね」
「冷や冷やしながらヒーラーを信じるのがタンクの仕事だよ」
「なるほどなぁ」
そうタンクはパーティメンバーの盾となり仲間を守るのが仕事だ。
そしてヒーラーは前線で戦っているタンクを回復させたり、敵の全体攻撃を受けた際には全体回復をさせたりなど、お互い責任重大なのだ。
「でもタンクとヒーラーが身内だとやりやすいんだよね」
「まぁ回復のタイミングとかも打ち合わせしやすいですもんね」
「そうなんだよね。レベルが上がるに連れて難しくなってくるから、後の事を考えると身内の方が良いのよ」
「なるほどです」
「そういえば、みーちゃんってどうしてMiyuなの?」
「ん?名前の事ですか?」
「うん。何かのアニメのキャラって訳じゃ無いよね?」
「違いますね〜。まあ簡単に言うと本名の苗字と名前の頭文字を取って付けただけです」
「ほぇー。そんな決め方もあるもんだね」
「逆にシロさんはどうなんですか?」
「私?私は飼っている猫の名前だよ」
「猫飼ってるんですね。種類は何ですか?」
「スコティッシュフォールドだよ」
「可愛いですよね。耳が倒れてるやつですよね」
「そうそう、うちのシロ様は可愛いんだよー」
「良いですよね猫」
「そうなんだよ」
この後猫好きトークで盛り上がりながら、クエストを進めた。
「あっ、来てくれるんだって。ルア君」
「ルア君?」
「うん、私の手伝いをしてくれてる人。そしてみーちゃんが入ったギルドのマスターだよ」
「ほぇ〜、ってことは強いんですか?」
「うん強いよ」
やっぱり強い人は居るもんだな。流石はMMO。いろんな人が居るな。
「ちなみにその人のメインジョブは何なんですか?」
「んー。一応DPSかな?なんか何でも出来るみたいよ」
「凄いですね」
「ねー」
ピコン
「あっ来たね」
「お疲れ様です〜」
「お疲れ〜。ルア君新人のみーちゃんだよ!」
「あー見つけてきたんだね」
「うん!しかもギルドに入れちゃった」
「マジか!?」
「初めまして。みーちゃんことMiyuです」
「うお!良い声!!」
「ありがとうございます」
「じゃあ俺もみーちゃんって呼ばせてもらうわ」
「どうぞ」
「それでね!ルア君!!みーちゃんってタンクなんだよ!」
「また大変なジョブ選んだね」
「あっやっぱり大変なんですか?」
「まぁ慣れだよ」
「慣れだね〜」
「そうなんですね」
「よしっ!じゃあ改めてようこそ、Knights of Lilyへ」
「パチパチパチパチ〜」
「あっ、そういう名前だったんですね」
「シロ言ってないの!?」
「確かに言ってないかも」
「よくみーちゃん入ってくれたね」
「いやぁ、なんか勢いで」
「なんか面白い子だね。というか声若そうだけどいくつなの?」
「それは・・・」
「19なんだって!!」
何故かシロさんが食い気味で答えた。
「なんでシロが答えた」
「だって!19だよ!未成年だよ!!若くない!?」
「まぁ若いけど、俺たちもいい歳だしな。26歳のシロさん?」
「あー言った!!ルア君が私の年齢をばらしたー」
「いやみーちゃんに言ってなかったのかよ」
「だって想像より若いんだもん!!」
「理由になってなくない!?」
「あはは」
「あー、みーちゃんが笑った~」
「笑いものにされたね」
「いや言い方!!」
「なんか面白いですね」
「そうでしょ」
「みーちゃんもこういう感じになっていくからね」
「そうなんですね」
「そうだよ」
「そういえばさ、みーちゃんって大学生なの?」
ルアさんが興味深々に聞いてきた。
「そうですよ。ぴちぴちの大学生です」
「羨ましい!!」
「そうだね~」
「まあすぐに20歳になりますけど」
「何月生まれなの?」
「5月ですよ」
「すぐじゃん!!じゃあその日にになったらみんなでお酒を飲もう」
「おお、シロ良い事言うね!じゃあみーちゃんそういう事だからね」
「分かりました!」
「じゃあ何かダンジョンか何かレイドかなんか行ってみようか」
「そうだね」
「分かりました」
ルアさんからの誘いで再びダンジョンに行くこととなった。
ダンジョンでは俺がタンク、シロさんがヒーラー、ルアさんがDPSで戦闘を開始。DPSとはタンクが壁となり、ヒーラーが回復させている間に火力を出し、モンスターのHPを削っていくジョブである。
「ひぃぃぃ!!死ぬぅぅ!!」
「みーちゃん耐えてw」
「そうだよみーちゃんシロが頑張ってヒールくれるから」
「その割にはシロさん、攻撃ばかりしてません!?」
「え?気のせいだよ」
「本当ですか!?」
「うん」
「みーちゃん頑張るね~」
「やばい死ねる!!」
「はいここでヒール」
「おお~」
「感謝して欲しいね~」
「感謝します!!」
「みーちゃんは単純だなぁ」
そこから順調にダンジョンを進めていき、時間は午前0時となっていた。
「よしじゃあ、良い時間だし今日の所は解散しようか」
「そうだね~」
「はーい」
「みーちゃんは明日というかもう今日だけど、インできる?」
「出来ますよ」
「じゃあ明日以降もよろしくね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
「よしっじゃあ俺は寝る!!お休み~」
「お休み~」
「お休みなさい」
ピロン
どうやらこのギルドは0時には解散のようだ。
「まあみんな仕事だろうしな」
2人とも良い人で良かった。これならこのゲームを続けられるかな。
「明日もインしてレベル上げよう」
ピコン
「ん?シロさんから通知だ」
『いやぁお疲れ!みーちゃんどうだった!?』
「え~っと、楽しかったですっと」
ピコン
『それは良かった!!じゃあまた明日からもよろしくね!』
「良い人だな」
『こちらこそよろしくお願いします』
ピコン
『うん!あとさルア君っていい声してると思わない?』
「確かになぁ。マイク乗りのいい声だったし」
『そうですね。いい声だと俺も思いますよ』
ピコン
『だよね!!やっぱみーちゃんも分かってくれるかぁ』
「ははっ」
『分かりますよww』
ピコン
『あれは彼女居るねww』
「まあいるだろうな」
『やっぱ居るんじゃないんですかね~』
ピコン
『やっぱあれは居るよね~。いやぁさぞかしモテるんだろうね。みーちゃんは居ないの?』
「痛いところ突いてくるな」
『居ないですよ~。性格はイケメンのはずなんですけどねww』
ピコン
『性格はwww。顔はそうでもないんだ』
『顔はそうでもないですよww』
ピコン
『あははww。そうなんだww』
『そうなんですよ~』
このまま小一時間こうした他愛無い会話が続いた。
『じゃあ私は明日というか今日は仕事だから、寝るね~』
『はい、お休みなさい』
『うん!お休み~』